iPhone 12、自社開発の5Gアンテナモジュール搭載を計画か

Appleは今秋に発売を予定している次期フラグシップ型iPhoneこと 「iPhone 12」 シリーズで、はじめて5Gに対応したモデルを投入する計画だ。もともと、AppleはこのiPhone 12にQualcomm製の5Gアンテナモジュールを搭載する計画だったが、これを自社開発に切り替えたかもしれない。

Fast Companyは現地時間14日、Appleが5Gのアンテナモジュールを自社開発していることを報じ、早くも2020年のiPhoneに搭載される可能性を伝えている。

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iPhone 12にはAppleが自社開発した5Gアンテナが搭載か

Fast Companyによると、Appleは 「iPhone 12」 向けに自社開発の5Gアンテナモジュールを開発している模様。当初はQualcomm製ミリ波対応の5Gアンテナモジュール 「QTM 525」 が採用される予定であったものの、モジュールのデザインが次期iPhoneに適さないことから採用を見送り、結果的に自社で開発する道を選んだという。

ただ一方で、Appleは並行してQualcomm製の5Gアンテナモジュールを採用したiPhoneの開発も続けているとのこと。これを採用した場合、今年のiPhoneは厚みが増える可能性があるとのことだ。

Appleが独自に5Gアンテナモジュールを開発するのはiPhoneのデザイン以外にも理由があるかもしれない。

Appleは過去、Qualcommとの間でロイヤルティに絡む揉め事を起こしている。AppleはQualcommが求める高額なロイヤリティが不当なものとしてそれらの支払いを拒否。Qualcommとの取引が停止した。そこで、Intelが開発する5Gモデムを将来のiPhoneで採用する計画を立てた。

しかし、ある意味 “頼みの綱” だったIntelが同モデムチップの開発を諦めたことで、Appleは再びQualcommとの取引を再開せざるを得なかった。Appleは2019年4月にQualcommに対する訴訟のすべてを取り下げることに合意し、Qualcommに対してロイヤリティと一時金の支払いを行うことを発表していた。

とはいえ、依然としてAppleはQualcommの高額なロイヤリティに対して不満を持っているとみられており、Qualcomm製の部品をなるべく少なくすることを考え、5Gアンテナモジュールを自社で開発する計画を立てているのではないだろうか。

ちなみに、Appleは2019年7月にIntelからスマホ用モデム事業の一部を買収5Gモデムチップの自社開発を2021年までに完了し、それをiPhoneに搭載する計画であることが報じられている。一般的に5Gは4Gに比べて同時接続数が多く、さらに高い周波数の通信を行うことからモジュールの開発難易度は高いとされており、一から開発するには少なくとも数年はかかる見通し。

Appleがアンテナモジュールを自社開発したことは過去にもあるということを、あなたはご存知だろうか。Appleは2010年に発売した 「iPhone 4」 に独自のアンテナを搭載。しかし、このアンテナは持ち方によってうまく通信ができないなどの不具合が発生し、「アンテナゲート」 として大問題に発展した (ウォーターゲート事件をもじって) 。この苦い経験を再び引き起こすことは当然Appleとしても避けたいはず。Qualcommの5Gアンテナモジュールを採用したモデルを並行で開発する理由はここにあるのかもしれない。

参考までに、Appleは次期iPhoneに搭載する5GモデムチップはQualcomm製のものを採用する見通し。これは先日発表されたSamsungの最新スマートフォン 「Galaxy S20」 に搭載されることが分かっている。

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