映像配信サービスの巨人「Netflix」がAppleによって買収されることになるのかもしれない。CitiのアナリストJim Suva氏とAsiya Merchant氏は、AppleがNetflixを買収する可能性が40%ほどあると分析している。
同レポートは、Citiグループの顧客向けに作られたもので、米大統領トランプ氏の減税政策を受けて、Appleは海外に保有する多額の資産を使い、Netflixを買収する計画であるとのこと。
AppleがNetflixを買収する可能性は40%
以下のグラフは、Netflixを買収した際のApple資産における影響度(縦軸)と、Appleが買収する可能性が高い企業(横軸)を表したもの。また、円の大きさは買収額の大きさを示している。
同グラフを見ればお分かりいただけると思うのだが、AppleがNetflixを買収する可能性は他企業に比べてかなり高い。
これは、おそらくAppleが「Hulu」「Netflix」といった大手映像配信サービスに対抗するため、独自の映像コンテンツ製作に力を入れていることが理由。実際に買収するかどうかはさておき、ライバルの一つであるNetflixを手に入れることができれば、同社の持つ多数のコンテンツを獲得し、「Hulu」などに対抗することができる。
買収額は800億ドル程度で、Appleの資産に与える影響は5%~10%程度。買収するとしたら、Appleが海外にプールしていた2,520億ドル(約28兆円)の一部を利用する可能性があるという。
この2,520億ドルは、Appleが海外で稼いだ資金をあえて米国内に還流せずに貯めておいた資金になる。米国では国内だけでなく、海外で稼いだ利益に対して35%と高い法人税を課しているため、Appleだけでなく多くの多国籍企業が米国に資金を戻すことを躊躇っている。その結果、海外には2兆5,000億ドルから3兆ドルほどがプールされていると試算されている。
米トランプ大統領は、この巨額の海外資金を米国内に呼び戻すことを促すために、海外から資金を還流させた企業に対し税率を優遇する政策「レパトリ減税」を打ち出した。
Appleは同政策を受けて、2,520億ドルの一部を米国内に戻すことを検討しているのだろう。この資金の使い途として、Netflixの買収に充てると、Citiのアナリスト達は予想しているのだ。
Appleは独自の映像コンテンツ製作に、10億ドルの予算を用意している。同予算内でAppleは巨匠スティーブン・スピルバーグ氏や敏腕プロデューサーと契約をし、実際にコンテンツ製作を開始していると伝えられている。2018年中にはいくつかの作品が公開される予定で、Apple Musicのユーザーの獲得に本気を出している。
Netflixを本当に買収する気なのかどうかは不明だが、決して買えない金額でもないだけに、買収の可能性は否定できないだろう。ちなみに、同レポートはディズニーが21世紀フォックスの資産を買収する前に作成されたもので、レポート内ではAppleがディズニーを買収する可能性を20~30%と見積もっている。その他、ゲーム制作スタジオ・販売会社のActivisionやElectronic Arts、Take-Twoなどの買収も予想されている。
[ via Yahoo! Finance ]