
米カリフォルニアのAI・ロボティクス企業1Xは、家庭向けヒューマノイドロボット「NEO」の予約受付を開始した。NEOは家庭の雑務を自動化し、ユーザーにパーソナライズされた支援を提供することを目指す製品で、同社は「世界初のコンシューマー向けヒューマノイドロボット」と位置付ける。
NEOは1Xにとって初のヒューマノイドではなく、以前は倉庫作業用の「EVE」を開発していた。競合としてはテスラの「Optimus」、中国のXPENGによる「Iron」などがあるが、いずれも量産・販売時期は未定ということで、NEOがコンシューマー向け市場で先行する形となる。

NEOは身長168cm、体重30kgと軽量で、柔らかい3Dラティス構造のポリマーボディを採用。色はタン、グレー、ダークブラウンの3色から選択可能だ。Wi-Fi、Bluetooth、5Gに対応し、内蔵スピーカーと組み合わせることで家庭用オーディオとしても利用できる。

操作は音声コマンドや専用アプリで可能。基本的な動作としてはドアを開ける、物を運ぶ、照明を操作するなどが可能だ。雑務処理機能「Chores」を利用すれば、洗濯物の折りたたみや整理整頓も行える。
ただし現状、NEOはまだ完全自律型ではなく、複雑な作業では1Xの従業員がVR経由で遠隔操作し、操作データを学習に活用する必要がある。この方式はユーザーのプライバシーへの配慮として、許可した場合のみ遠隔操作が行われ、耳元のLEDリングが青に変化するなど稼働状況を可視化する仕組みとなっている。


NEOは22自由度(22DoF)の手を備え、最高68kgの物を持ち上げ、25kgまで運搬可能。騒音レベルは22dBで、現行の家庭用冷蔵庫より静かだ。バッテリー駆動時間は4時間で、自動充電機能も搭載する。体格は男女中立的で、音声は男性・女性から選択可能。ハードウェア面では高トルクのモーターとテンション駆動機構を採用し、安全性と柔軟性を両立している。
1XのCEO、Bernt Børnichは「ヒューマノイドは長らくSFの世界にあった。研究段階を経て、NEOでようやく日常に届く製品になった」と述べる。家庭内での体験を通じて学習を進め、将来的にはより高度な自律タスクも可能にする計画だ。

また、家庭用ロボット市場の将来性についてBørnichは「NEOは最初の粗削りな段階だが、ユーザーの経験を通じて進化する。最終的には家庭だけでなく社会全体の知能・労働を支援するAGIのプラットフォームになる」と語る。現段階ではまだ専門家による遠隔操作が必要な部分も多いが、1Xはデータを蓄積し、自律性を高めることで将来的な家庭内ユーティリティを拡張していく方針だ。
NEOは購入価格20,000ドル、もしくは月額499ドルのサブスクリプションで利用可能。予約には200ドルのデポジットが必要で、米国内向け出荷は2026年、他地域向けは2027年を予定している。
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(画像:1X)



