
今年2月にグローバルで発表された、ASUSの新型フラッグシップスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」がいよいよ国内向けに発売する。
Zenfone 12 Ultraは、ハイエンド向けの高性能SoC 「Snapdragon 8 Elite」 を搭載したほか、ジンバル付きカメラ、144Hzディスプレイを搭載した「全部入り」スマホ。さらに、おサイフケータイや防水・eSIMなどにも対応させるなど、日本市場への最適化も行なっている。
今回、同モデルの国内発売に先がけて、ASUS JAPANより実機をお借りし、先日の台湾取材のお供として試用することができた。そこで本稿では、実際に使って感じた使用感や特徴をご紹介したい。
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デザイン:大型化したボディに詰め込まれた魅力

まずは筐体デザインから見ていこう。Zenfoneシリーズといえば、これまでのZenfone 9や10では「片手で操作できるコンパクトさ」が高く評価されてきた。
しかし、大型モデルに対する世界的需要の高まりを受け、昨年登場した「Zenfone 11 Ultra」からは筐体が一回り大きくなった。その流れを継ぐ形で登場したのが今回の「Zenfone 12 Ultra」だ。
実は、このZenfone 12 Ultraは、昨年11月に発売された「ROG Phone 9」と基本スペックや筐体サイズがほぼ同じ。ただし、バッテリー容量や側面のトリガーボタン、USB Type-Cポートの仕様など、一部の仕様には違いがある。実際には「ROG Phone 9」からゲーミング要素を取り除いた一般向けモデルと捉えるのが妥当だろう。

筐体サイズは163.8 x 77.0 x 8.9mm、重量は220g。片手で操作するには少し大きめだが、両手で操作するなら問題なし。防水・防塵性能はIP68に準拠するため、水回りやホコリっぽい場所での使用も安心だ。
ディスプレイは6.78インチのLTPO AMOLEDで、解像度は2,400×1,080ドット(FHD+)。リフレッシュレートは最大144Hzまで対応している (144Hzの設定はゲームプレイ中にGame Genieから行える)。画面輝度は最大2,500ニト。この高い画面輝度のおかげで、台湾の強い日差しの下でも画面をハッキリと視認できた。なお、ディスプレイにはCorning社のGorilla Glass Victus 2が採用されており、耐久性も十分だ。
本体内蔵のスピーカーは、端末上下に搭載されたステレオ仕様。音の広がりが良く、音圧も十分。あとは、Dirac Virtuoによる空間オーディオとaptX Adaptive/Lossless対応のBluetoothオーディオも利用できるなどオーディオ品質については申し分ない性能だ。さらに、近年スマートフォンでは廃止されがちな3.5mmイヤホンジャックを引き続き搭載しているのも、有線イヤホン派にも嬉しいポイントだろう。

背面カメラは、メイン(広角)+超広角+望遠の3眼構成。3眼構成であることは先代モデルから違いはないものの、実はカメラバンプはかなりコンパクト化されており、よりスマートな見た目になっている。また、背面パネルも地味な変化があり、以前はASUSの「A」を模したロゴが大きく入っていたのに対して、今回は「ASUS Zenfone」という文字のみとなり、これもまたスマートな見た目を演出している。

なお、カラーラインアップは、エボニーブラック、セージグリーン、サクラホワイトの3色展開。今回のレビュー機は「サクラホワイト」で、名前のとおり桜の花びらのような薄いピンク色が入った上品なカラーになっている。
落ち着いた色味というよりは、可愛らしい印象が先行する色味になっていて、個人的にはカバンから取り出すたびに「かわいい〜!」と毎回ほっこりしていた。近年のZenfoneシリーズのカラーの中では、個人的に一番のお気に入りかもしれない。可愛いZenfoneが欲しい人は今年のモデルは必見だ。
CPU・GPU性能:Snapdragon 8 Eliteで高負荷ゲームも快適



SoCには 「Snapdragon 8 Elite」 を搭載し、前世代比でAI処理性能が40%向上しているという。パフォーマンスを数字化するため、AnTuTuベンチマークとGeekbench 6でベンチマークスコアを計測してみた。
計測の結果、Antutuベンチマークの総合スコアは2721758。Geekbench 6はシングルコアスコアが3100、マルチコアスコアが9723、GPUスコアは20318だった。やはりSnapdragon 8 Eliteを搭載していることもあり、スコアはかなり高めだ。

ゲームの動作はどうだろうか。筆者が普段からプレイしているHoYoverseの『ゼンレスゾーンゼロ』を画質「高」でプレイしてみたところ、戦闘の激しいタイミングではわずかにカクつくことはあったが、プレイに支障が出ることはほぼなく、快適にプレイすることができた。

ゲームプレイ中には、画面の左上もしくは右上から中央にスワイプすることで「Game Genie」というアシストツールを呼び出すことが可能。
本ツールでは、ユーザー操作を記録して自動で操作を行うマクロを実行できるほか、ゲームプレイ中に充電器を繋いだ時に、バッテリーを介さずシステムに直接電力を供給して発熱を抑える「バイパス充電」などの便利機能を利用できる。ROG由来の機能だが、本製品でも利用できるのが嬉しいところ。適宜活用したい。

カメラ性能:高性能カメラ+AIが生む、色鮮やかな描写

Zenfone 12 Ultraの背面カメラは、メイン(広角)+超広角+望遠の3眼構成。メインカメラはソニー製LYTIA 700を採用し、5,000万画素の高解像度を誇る。特徴的なのは6軸ジンバルOISで、歩きながらの撮影でも手ブレを大きく抑えてくれる。
先日、ASUSのメディア向けイベントとCOMPUTEX取材のために台湾出張に行ってきたのだが、その際に本機でさまざまなシーンを撮影してみた (一部は日本で撮影)。赤い提灯やネオンサイン、夜市でのワンシーンなど、ザ・台湾と呼べる風景を撮影してきたが、どの写真も自然な色味かつ鮮やかに再現されている印象だ。
以下、筆者が撮影してきた写真。クリックで大きな画像を見ることが可能だ。









ちなみに、撮影した写真はAI消しゴムやAIピンボケ補正など、AIを活用した編集によって撮影後に簡単に補正できる。邪魔なものが写り込んだり、急いで撮影してピンボケ写真になってしまっても安心だ。
大容量バッテリー、eSIM・おサイフケータイ対応など日々便利に使える


Zenfone 12 Ultraのバッテリー容量は5,500mAhとなっており、Web閲覧約14時間・ストリーミング視聴約21時間とスタミナも十分。
充電・通信用のポートはUSB Type-C (USB 2.0に準拠)。搭載位置が端末側面にあるのは、ゲームをプレイする際、あるいは動画を視聴する際に充電ケーブルが持つ手を邪魔しないようにする配慮とみられる。
充電仕様としては、Quick Charge 5.0およびPD充電をサポートし、最大65Wでの充電が可能。また、最大15Wのワイヤレス充電にも対応するなど、使い勝手の面でも抜かりはない。


また、本モデルはシリーズで初めてeSIMに対応。物理SIM+eSIMによるDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)も利用可能だ。それでいて、SIMスロットにはこれまでどおり2枚の物理SIM(nanoSIM)を挿せる仕様になっているため、従来の物理SIMユーザーも安心できる。実際、海外取材などでは今でも物理SIMのほうが便利な場面が多く、eSIMと物理SIMの両方に対応してくれているのは、個人的にも非常にありがたいポイントだ。
そして、国内での利用には欠かせないおサイフケータイも完備。Zenfone 12 Ultraの場合はカメラユニットのすぐ下あたりがNFC/FeliCaの検出エリアとなっており、この部分を決済端末にタッチする。また、スマートフォン向けの公的個人認証サービス「スマホ用電子証明書」にも対応予定だ。
レビュー総評:「Ultra」の名にふさわしい1台に

Zenfone 12 Ultraは、“片手サイズ” にこだわってきたZenfoneシリーズから大きく舵を切った先代のZenfone 11 Ultraからの流れを引き継ぎ、フラッグシップとしての存在感を強めたハイエンドスマートフォン。「Zenfone 10」 以前の小型モデルへの回帰を望む声も聞こえてきそうだが、使ってみると現代のスマートフォンに必須な機能がほぼすべて盛り込まれていることもあり、安心して使用できるまさに「全部入りスマホ」という印象だった。
高性能なSoCによる余裕ある処理性能、そしておサイフケータイやeSIMといった国内需要に応える仕様は、普段使いでもしっかりと役立つ。加えて、動作の滑らかさや長時間のバッテリー駆動など、日常的に不満を感じにくい完成度の高さは特筆すべきポイントだ。
大画面は動画視聴やゲームプレイにも没入感をもたらし、発色や明るさの面でも満足度は高い。片手操作のしやすさこそ失われているものの、その代わりに得られる快適さや見やすさは、スマートフォンの使い方そのものを広げてくれる。
従来のZenfoneファンにとっては驚きのある進化かもしれないが、今このタイミングでスマートフォンを買い替えるのであれば、Zenfone 12 Ultraは確実に検討に値する一台と言えるだろう。ハードもソフトも抜かりなく、日常を一段階引き上げてくれるハズ。

最後に、ピンクカラーの「サクラホワイト」がとても可愛いので、特に女子がこの記事を読んでいたら、ぜひ同モデルを検討していただきたいところ。
Zenfone 12 Ultraは、12GB+256GBモデルと16GB+512GBモデルの2モデル展開となっており、価格はそれぞれ149,800円、169,800円 (どちらも税込)。発売は5月30日を予定している。
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