「XREAL One」 はゲーマーにオススメのXRグラス。XREAL CEOにその魅力や内蔵チップ 「XREAL X1」 について聞いてみた

12月11日、XREALは同社初となる自社開発の空間コンピューティングチップを搭載した新型ARグラス 「XREAL One」 の国内発売を発表した。

本製品の発表に先立ち、報道関係者向けにXREALのCEO兼創設者であるChi Xu (チー・シュー) 氏とのグループインタビューが実施され、「XREAL One」 の特徴や、内蔵する空間コンピューティングチップ 「XREAL X1」 の詳細等についてChi Xu氏本人から直接聞くことができた。

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「XREAL X1」 チップの搭載でXRグラスとしてはさらに一段レベルが上がった 「XREAL One」

「XREAL One」 は、同社初となる空間コンピューティングチップ 「XREAL X1」 を搭載したことで、本体のみでネイティブ3DoFを用いた固定大画面体験を可能にしたARグラス。従来モデルに比べて視野角が50度に向上したほか、グラス本体で処理を完結できるため、遅延を最小限に抑えることができるなど、XRグラスとしては最高峰の性能に仕上がっている。

また、今回の 「XREAL One」 はスピーカーを再設計した上で、音響業界のリーディングブランドであるBoseと共同でチューニングを実施し、クリアな音質と繊細かつ立体的な音響効果を実現している。

以下、CEOとのインタビューの内容。

記者:

Boseはオーディオグラス 「Bose Frames」 を販売してきたという経緯がありますが、「XREAL One」 の音質は 「Bose Frames」 と比べてどれくらいの音質になっているのでしょうか?

Chi Xu氏:

「Bose Frames」 のほうがスピーカーが大きく、またバランスなどの関係もあるので、どうしてもあちらの方が音質は良いと思うのですが、ひとつ言えるのはMetaのスマートグラス (Ray-Ban Metaスマートグラス) より音質はいいと個人的には思っています(笑)。Boseとは今後複数年にわたって協力関係を築いていくことになったので、お互いの良し悪しを補っていければ。逆に 「Bose Frames」 と比較してもらえると嬉しいです。

記者:

今回Boseをパートナーに選んだ理由は?

Chi Xu氏:

2点あって、1点目が各業界をリードしている会社と関係を深めたいからです。例として、映像ならソニーと連携をしていますし。2点目は、Bose側にもXR関連に手をかけたいという思惑があったので、そこでお互いの利害が一致したことにより、協業のパートナーに至りました。

記者:

視野角を広くするにあたって、どういった課題がありましたか?

Chi Xu氏:

視野角に関しては常に課題に直面してきました。今回、視野角を広くする開発を推し進めるために、新たに自社工場を2拠点開いています。常に限界突破しながらレベルを上に上げる努力をしてきました。この努力もまだまだ現在進行形ですので、今は50度だけど、今後は60、70と広がっていく未来も近いのかなと思っています。

「XREAL X1」 チップ

記者:

「XREAL One」 でゲームをすることの体験やメリットについて教えてください。

Chi Xu氏:

最大のメリットは、まさにX1チップの存在です。ゲーミングコミュニティからもフィードバックをいただいたのですが、どのデバイスでも単独で3DoFを実現できるため、FPSのように酔いやすいゲームでも、空間内で映像を固定することでその問題を解消することができました。

一方で、初代「Beam」と異なり「Beam Pro」では情報の入力ができなくなった点について、ゲーミングコミュニティから批判を受けたこともありました。ただ、こうした接続方式はどうしても遅延の原因となりやすいのが課題でした。

実は、私たちは「XREAL One」の登場を見据えていたため、あえてそのような機能を搭載せず、より低遅延で快適に楽しめることを優先しました。そして「XREAL One」には単独の3DoF機能を備えています。こうした設計のおかげで、現時点では「XREAL One」はゲームとの相性が抜群に良いデバイスだと自負しています。

記者:

XREALのデバイスを使う上で、どのゲーム機とよく併用されているか、割合などを教えてもらえますか?

Chi Xu氏:

XRグラスの主な用途は3つで、1点目がメディア消費、2点目がゲーミング、そして3点目が作業の効率化に使われています。

これを大前提として話を進めさせていただくと、具体的なゲーム機別の数字は回答できないのですが、やはり日本ではNintendo Switchと併用されるケースが一番多いですね。アメリカはSteam Deckとか、国・地域によって相性は変わってくるのかなとは分析しています。ただ、日本の市場は、我々にとっては非常に高いマージンを維持できていますので、今後日本のコミュニティともっと連携を深めていきたいと思っています。

ゲームプレイイメージ (画像提供:XREAL)

記者:

今回の 「XREAL One」 はゲーマーにとってはすごく良いデバイスだなと感じています。市場でシェアを獲得するために、どのような魅力があると思いますか?

Chi Xu氏:

「XREAL One」 にはウルトラワイドで画面を表示する機能があって、これまでは16:9のアスペクト比だったのが、32:9とすごく横長です。本来であれば、32:9のウルトラワイドディスプレイを購入するとなると費用が高くなるものですが、「XREAL One」 は価格を安く、かつ高い没入感を得ることができます。これによってまたひとつレベルを上げることができたのかなと自負しています。

もうひとつ大事な点として、XRデバイスというのは 「空間ディスプレイ」 と 「空間コンピューティング」 という大きな2つのカテゴリーに分けられると思うのですが、「XREAL One」 はまさに 「空間ディスプレイ」 を体現した製品になっています。「空間コンピューティング」 は6DoFやホログラムなど、外部からのコンテンツがとても重要になり、制作会社からの支援が必要になるというハードルがあると言えます。

そういった理由から、「XREAL One」 はぜひアクセサリーとして認識いただければと思っています。それぞれのゲーム機には相性の良いアクセサリーがあると思うので、「XREAL One」 のアクセサリーとしての相性にもぜひ注目してください。

記者:

XREALのデバイスでゲームがプレイできるようになったことに対して、ゲームの制作会社などゲーム業界の会社からどのような反応がありましたか?

Chi Xu氏:

以前から、ゲーミングとXRを組み合わせた体験に対するリクエストは多くいただいていました。ゲーマーの皆さんは、これまでゲーム体験を向上させるためにサードパーティ製のソフトを利用することが多かったと思います。しかし、我々としては、X1チップを活用することで単体でも機能を拡張できる点が、開発者の皆さんにとっても魅力的に映るのではないかと考えています。

また、開発者の間では、「ARと相性の良いゲーム体験をどう向上させるか?」という点が課題として挙げられることが多く、そうしたフィードバックを頻繁にいただいています。

記者:

「XREAL One」 の登場で、従来のAirシリーズはどうなりますか?併売し続けますか?

Chi Xu氏:

結論から言うと、取って代わる予定です。そもそも 「XREAL One」 が上位互換にあたるので、Airシリーズに関しては 「Air 2」 シリーズが最後のモデルになります。

X1チップは将来のデバイスには絶対に搭載しないといけないチップだと思っていて、まずはXR製品からX1チップを打ち出していくというところがあります。今回のX1チップによって、「XREAL One」 は従来デバイスよりも大幅な進化を遂げています。おそらく競合がこのレベルに追いつくのは相当難しいでしょう。

記者:

BtoBの6DoFについてはアップデートで対応する予定はありますか?

Chi Xu氏:

6Dofの後継機に関してはX1チップを搭載する見込みで、3Dofとかハンドトラッキング、低遅延に対応していく予定です。総合的に見ると今後発売するどの製品にもX1チップが搭載される見込みです。

実は、X1チップは3年前から開発していました。互換性等における課題を潰すためチップの開発は必要と認識していましたが、3年前の段階ではこのチップを作ってくれる会社がなかったということがありました。ケーブルで接続するグラスにおいては我々がリードしているという認識だったので、チップに関してはMetaなどではなくXREALがやるべきと認識していました。この方向性については正しいと考えています。

記者:

「Beam Pro」 はなくなっていく方針なのでしょうか?

Chi Xu氏:

先ほど、空間ディスプレイと空間コンピューティングのお話をしましたが、空間コンピューティングは外部のデバイスによる支援が必要です。「Beam Pro」 はホストデバイスとしての役割を果たしてくれるので、X1チップとの融合で空間コンピューティングとしての路線を維持できると考えています。そういった位置付けになります。

記者:

「XREAL One」 と 「Beam Pro」 を使ってVRの映像体験はできますか?

結論としては 「YES」 。VRっぽいことも実現できると思います。ただ、VR機器は視野角が広がるとその分遅延が伴う。VRはどちらかというとVST (ビデオシースルー) のカテゴリーになるので、VSTからOST (光学シースルー) に移り変わっていくことに期待しています。

我々としてはOSTを扱ってる身として、VSTの80%の体験を担保しながら、VSTの20%のコストで実現するというのを大きなテーマとして掲げており、それに向かって最善を尽くしています。

Steam Deckなどの携帯ゲーム機と組み合わせて使うシーンもあると思うので、単独で確立できるようなデバイスとしての方向性を辿っています。VRを取り扱う会社がメガネに移っていく流れには特に驚きはないですね。

記者:

SteamVRへの対応は考えていますか?

Chi Xu氏:

現時点では言えないんですけど、これからもっと視野角が広がっていけば対応の余地はあると考えています。よく他のメディアさんにも言っているのですが、おそらく数年の間にこの業界自体に何らかの爆発が起こると思っています。その次の数年でAR業界に何か大きな話が出てくると思いますので、皆さんもそこの進展に注目していてください。

記者:

仕事においてどのように使えるかをお聞きしたいです。たとえばデスクで作業する時に 「XREAL One」 があればディスプレイたくさん設置しなくて良い、など。

Chi Xu氏:

先ほど、XRグラスの主な用途の3つのうち、3点目に作業の効率化について挙げました。

これまではさまざまなプラットフォームに対応する必要がありましたが、X1チップで単独で動作できるようになったことでこれは解消できました。これから予測している世界の話になりますが、ホログラムが現実の空間に点在してるような世界を想像していて、ゆくゆくは現実との融合という観点から、360度色んなところにホログラムで自分の欲しい情報をピンポイントで出すような世界を想像しています。

記者:ありがとうございました!

「XREAL One」 の国内販売価格は、単体で69,980円、「XREAL Hub」 とのバンドルは72,980円 (どちらも税込) 。本日から公式サイトなどで予約受付を開始している。

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