最新スマートフォンやノートPCの中には、最新Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6」 対応を謳っているものが多い。
Wi-Fi 6は従来よりも通信速度が速く、動画配信サービスやオンラインゲームが快適に楽しめるほか、同時接続数が多くなっても安定した通信を提供するため、IoT家電などWi-Fiに接続する機器が多くなっても回線が混雑しにくくなるというメリットがある。
このWi-Fi 6に対応したTP-Linkの最新Wi-Fiルーター 「Archer AX90」 が2月25日に国内で発売した。本製品は最新のWi-Fi 6に対応しているのに加えて、5GHz帯の電波を2つ出せるトライバンドに対応していることで、接続デバイスを分散して快適に通信できるのが大きな特徴だ。
今回、TP-Linkから 「Archer AX90」 のサンプルを提供いただき、実際にWi-Fi環境を構築してみたので、通信速度など詳細についてお伝えする。Wi-Fi 6対応デバイスを持っていて、自宅のWi-Fi環境をアップグレードしたい方はぜひ参考にしていただきたい。
デザイン・サイズ
まずは 「Archer AX90」 のデザインについて。Wi-Fi 6対応ルーターは高性能なものほど大きくて派手な見た目をしているイメージがあるが、本製品はまさにそのイメージどおりの見た目をしている。
本体サイズは幅311 × 奥行き207 × 高さ174mm。横幅が広く、さらに周囲に8本の太いアンテナが配置されている関係で、配置するには少し大きめのスペースが必要だ。
中央から放射状に線が広がっていくようなデザインが採用されているのが特徴で、本体の大きさも相まって存在感は少し強め。ゲーミングルーターのような派手なデザインのルーターを使ったことがない方からすれば、少し主張が強いと感じるかもしれない。
正面下部には3つのボタンがあり、それぞれ左からWi-Fi オン/オフボタン、LEDライト オン/オフボタン、WPS オン/オフボタンとなっている。
上記は背面のポート類を撮影した写真で、青色のポートがWAN/LANポート、黄色のポートがLANポート、一番左はHDDなどが接続できるUSB 2.0ポートとなっている。
青色のポートは左側が2.5Gbps、右側が1Gbpsで、初期設定時には2.5GbpsポートがWANポートとして機能する。この場合、右側はLANポートとして使用できるため、実質的に4台のデバイスを有線LAN接続できることになる。
USBポートは本体右側面にも用意されていて、こちらはUSB 3.0に対応している。背面のUSB 2.0ポートと同じでHDDなどが接続できるが、USB 3.0に対応したHDDなどを使っている場合、こちらに接続した方が転送速度が早くて便利だ。
製品仕様
「Archer AX90」 は最新のWi-Fi 6規格に対応していて、最新スマートフォンやノートPCに高速かつ低遅延な通信を提供する。
Wi-Fi 6対応ルーターの市場はどんどん大きくなっている中、本製品はデュアルバンドではなくトライバンドに対応しているのが大きな特徴だ。5GHz帯の電波を2つ、2.4GHz帯の電波を1つ飛ばす仕様になっていて、各周波数帯のWi-Fi速度は、1つ目の5GHz帯が4804Mbps、2つ目の5GHz帯が1201Mbps、2.4GHz帯が574Mbpsとなっている。
これら3つの電波が飛んでいることで、Wi-Fiに接続するデバイスが多くなっても混雑を緩和し、各デバイスの通信を安定させられるというメリットがある。IoT家電などWi-Fi接続を必要とするデバイスが多くなっても安心だ。接続できる合計デバイス数は最大100台で、同時に通信できるデバイス数は最大8台となっている。
Archer AX90の特徴でもある8本のアンテナは、Wi-Fiの信号を増幅させて広い範囲をカバーする役割を持っていて、公式で公開されている仕様では4LDKをカバーできるとしている。また、本製品はビームフォーミングにも対応していて、各デバイスにWi-Fiの電波を集中し、高速で安定した通信を実現する。
アプリでWi-Fi環境を構築
Archer AX90でWi-Fi環境を構築するには、スマートフォンアプリ 「TP-Link Tether ( iOS / Android )」 を利用する。アプリに表示される手順に従って設定していけば、簡単にセットアップを完了できる。
手順の説明は初心者でもわかりやすくなっていて、ルーターの設定に詳しくない方でもスムーズに設定を完了できるはずだ。
本体のLEDライトが青色に点灯すれば、セットアップが完了してWi-Fiに接続できるようになった証。もし他の色になっていたり、LEDライトが点滅している場合は何らかの問題が起こっている可能性があるため、ルーターがどのような状態になっているのか確認しよう。LEDライトの色・点滅の状態と対応するルーターの状態は以下のとおりだ。
ランプの状態 | ルーターの状態 |
---|---|
オレンジ点灯 | Wi-Fiオフ |
オレンジ点滅 | システム起動中 |
赤点灯 | インターネット未接続 |
赤点滅 | Wi-FiオフでWi-Fiにも未接続 |
青点灯 | ルーターが正常に動作中 |
青点滅 | ファームウェアアップグレード中・WPS接続確立中・ルーターリセット中のいずれか |
アプリではセットアップのほかに、Wi-Fiに接続しているデバイスと、各デバイスがどれくらいの通信速度で通信しているのかを確認できる。デバイスは周波数帯ごとに確認できるため、どのデバイスがどの周波数帯につながっているのかも一目瞭然だ。
また、アプリでは 「HomeShield」 機能により、ペアレンタルコントロールや端末別の通信優先設定などもできるようになっている。必要な場合はこちらも活用しよう。
実際の通信速度を計測してみた
アプリを使ってセットアップが完了できたところで、Archer AX90の通信速度がどれほどのものなのか検証してみた。
筆者の自宅は2階建てになっているのだが、今回は1階のリビングにArcher AX90を設置し、どれほどの通信速度が出るのかを検証してみた。
やはりリビングに近い方が通信速度が速く、快適に通信できていたのは事実なのだが、驚いたのがルーターから遠い場所でも快適に通信できていたこと。
過去に筆者が使っていたWi-Fiルーターは、リビングから遠い部屋で5GHz帯の通信が安定せず、2.4GHz帯でしか接続できないことが多々あった。そのため、現在はメッシュWi-Fiルーターを1階と2階に設置することで通信範囲をカバーしているのだが、Archer AX90はリビングに1台設置しただけで遠い部屋でも安定して5GHz帯を利用できていた。
通信速度に関しては、やはりルーターから離れれば離れるほど遅くなる傾向にあるため、家中どこにいても最速で通信したい場合は複数のメッシュWi-Fi対応ルーターを使ってメッシュWi-Fi環境を構築した方が快適と言えるが、部屋数の少ないマンションなどにお住まいの場合は、Archer AX90を1台導入するだけですべての部屋で快適な通信を利用できるのではないだろうか。
また、Archer AX90のLANポートを使って有線LAN接続も試してみた。本製品に搭載されているLANポートはいずれもギガビットポートのため、オンラインゲームを快適に遊ぶことができた。通信を有線したいデバイスがルーターの近くにあるなら、ぜひ有線LAN接続を活用していただきたい。
ちなみに、Archer AX90はTP-Link独自のメッシュWi-Fi技術 「OneMesh」 に対応していて、他に 「One Mesh」 に対応している製品をお持ちの場合は、メッシュWi-Fi環境を構築できる。
今回は対応製品がないため検証できなかったのだが、もしOneMesh対応の中継器を持っている場合はArcher AX90と組み合わせてメッシュWi-Fi環境を構築できる。ぜひ利用してみていただきたい。
まとめ
「Archer AX90」 は、最新のWi-Fi 6に対応しているWi-Fiルーターで、トライバンド仕様により接続デバイスが多くても通信が混雑しにくく、快適で安定したWi-Fi通信を利用できるのが大きな特徴だ。
8本のアンテナのおかげで広い範囲をカバーでき、家の隅々まで安定したWi-Fi通信を提供する。ルーターから離れた部屋で通信が安定しないなどの問題があるなら、本製品を導入すれば快適に通信できるようになるかもしれない。
唯一気になる点としては本体サイズが大きく、存在感がある見た目ということ。置き場所のスペースが限られていたり、目立つルーターを使いたくない場合は、TP-Linkが販売している小型のメッシュWi-Fiルーターなどの購入がオススメだ。当サイトではメッシュWi-Fiルーター 「TP-Link Deco X20」 のレビューも公開しているので、こちらもぜひ参考にしていただきたい。
「Archer AX90」 はAmazonや楽天市場、PayPayモールなどで24,800円(税込)ほどで購入可能。購入は以下から。