
Metaが手がけるX対抗のSNS「Threads」が、ついにネイティブなダイレクトメッセージ(DM)機能のテストに踏み切った。2023年7月のローンチから約2年を経て、ようやく導入されるかたちだ。
対象国は香港、タイ、アルゼンチンの3カ国に限定されており、グローバル展開は「近日中に」とされているが、具体的な時期は明かされていない。
期待されていた「DM機能」ようやく登場
これまでのThreadsでは、投稿を他者と共有する唯一の方法がInstagramのDM機能を介す形だった。つまり、Threadsで見つけた投稿を友人に送ろうとすると、InstagramのDMを開いて、また戻ってくる必要があった。連携しているとはいえ、アプリ間の往復を強いられるユーザー体験はお世辞にもスマートとは言えず、リリース当初から一貫して「ネイティブDMが欲しい」という要望が繰り返されてきた。
Instagram責任者のアダム・モッセリ氏は当初、Instagramの受信箱をThreadsでも活用すべきだという立場を取っていた。しかし、ユーザーの行動が変化し、「InstagramのDMは親密すぎる」「アプリをまたいでメッセージを送るのは不自然」といった声が多く上がるようになったことで、方針を転換したとみられる。
今回のテスト導入により、Threadsには独自の受信箱が実装され、iOS/Androidアプリでは画面下部の封筒アイコン、Web版では左側のタスクバーからアクセスできるようになる。現時点では1対1のチャット機能に限られ、グループチャットやファイル送信、消えるメッセージといった高度な機能は搭載されていない。あくまで「最小限の導入」であり、Metaは今後の拡張を視野に入れている。
Threadsで見る
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競合はすでに先行、Metaは巻き返しを図れるか
競合サービスでは、Blueskyが2024年5月にDM機能を実装済みで、Xも一部のプレミアムユーザー向けに「XChat」としてグループチャットやファイル送信、メッセージ消失機能などをすでに提供している。そうした中で、ThreadsのDM機能はかなり遅れての投入となり、しかも機能的には非常に限定的だ。
Metaは意図的に段階的な導入を選んでいるようだが、ユーザーの期待値と他プラットフォームの水準を考えれば、より積極的な機能追加が求められることは間違いない。
モッセリ氏自身も「公開投稿よりも、ストーリーやメッセージングへのシフトが業界全体で起きている」と認めており、コミュニケーションの中心がフィードからクローズドな空間へと移行している今、ThreadsがネイティブDMを持たないままで居続けることは、もはや選択肢ではなかったとも言える。
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは「Threadsは次なる主要ソーシャルアプリになるポテンシャルを持っている」と明言しており、2025年4月時点で月間アクティブユーザーは3億5,000万人を超えたと報告している。Threadsの拡大の鍵となるのは、DM機能の拡張スピードと、Instagramとの棲み分けをどう整理するかだ。
(画像:Meta)