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Apple、「Swift Student Challenge」 受賞者4名を紹介。日本からは 「花札」 のアプリを開発した濱本太輝さんが掲載

Appleが毎年主催する「Swift Student Challenge」は、学生開発者に世界を舞台に飛躍する機会を提供する国際的なプログラムだ。今年は38の国と地域から350の入賞作品が選ばれ、そのうち特に優秀な50名が、6月にApple Parkで開催される開発者イベント「WWDC(Worldwide Developers Conference)」に招待される。

5月8日、Appleは同プログラムの受賞者のうち日本人受賞者を含む4名を紹介した。

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『Hanafuda Tactics』花札の魅力を次世代へ:濱本太輝さん(日本)

熊本県出身の濱本太輝さん (22) は、制作したゲームアプリ『Hanafuda Tactics』を通じて日本の花札を次世代に継承することを目指した。

濱本さんは、地元のゲームショップで花札に出会い、幼い頃に家族と遊んだ記憶から懐かしさを感じた。しかし、同世代で花札の遊び方を知っている人が少ないことに気づき、この伝統文化が失われつつあるという危機感を抱いたという。

そこで、スマートフォンで手軽に遊べるようにすることで、花札を日本だけでなく世界にも広め、次世代に繋げたいと考え、アプリ『Hanafuda Tactics』の開発に至った。

『Hanafuda Tactics』では、最もポピュラーな遊び方のひとつである「こいこい」を中心にプレイできる。

初心者でもルールやカードを理解できるよう工夫がなされており、花札の伝統的な絵柄(全48枚、12ヶ月の季節の植物が描かれている)を忠実に守りながらも、ヒットポイント(HP)の要素を取り入れたり、SwiftUIのDragGestureを活用してカードの動きに合わせて傾いたり輝いたりするダイナミックで反応性の高いエフェクトを実現するなど、現代的な要素を導入している。さらに、Apple Vision Proでプレイできるようにすることも視野に入れているとのことだ。

なお、濱本さんが所属する熊本県立大学総合管理学部・飯村研究室では、昨年も入賞者を輩出しており、研究室としては4年連続の入賞者輩出を果たしている。

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『EvacuMate』21歳が祖母のために作った防災アプリ:Marina Leeさん

南カリフォルニア大学の3年生でコンピュータサイエンスを専攻しているMarina Leeさん (21) は、テクノロジーに詳しくないが、危機の際にアクセスしやすい信頼できるリソースを得るべき人々のためのアプリ『EvacuMate』を作った。

ロサンゼルス各地で山火事が広がった際、サンガブリエル・バレーに住んでいる彼女の祖母が避難警告を受けた後にパニックになってしまい、何をすれば良いのか、どこに行けば良いのかがわからなくなってしまったと電話を受け、そこからインスピレーションを受けてこのアプリを作ったという。

『EvacuMate』では、ユーザーは避難用の荷物に入れるべき重要なアイテムの緊急チェックリストを準備することができる。さらにユーザーが重要な書類のコピーをアップロードできるように、LeeさんはiPhoneのカメラロールをアプリに統合し、iPhoneの連絡先リストを通じて緊急連絡先を読み込める機能を追加。大気汚染レベルのチェックや救急箱の用意といったトピックに関するリソースも含めた。

Leeさんは本アプリについて、今後は様々な言語への対応を追加したいと考えているほか、WWDCに向けて、Leeさんが率いる団体であるCitro Techでハッカソンを開催したり、USCのWomen in Engineeringで指導者を務めたりと、仲間のデベロッパーと新しいつながりを育むことを楽しみにしているとのことだ。

『BreakDownCosmic』15歳の天文少女が宇宙を身近に:Luciana Ortiz Nolascoさん

11歳の誕生日に望遠鏡を贈られ、宇宙に夢中になったLuciana Ortiz Nolascoさん。しかし、工業都市のスモッグと周りに語り合える仲間がいないことにすぐに気づく。地元の天文クラブでようやく居場所を見つけた彼女は、同じ情熱を持つ仲間や指導者との出会いを通じて、もっと多くの人に宇宙の魅力を伝えたいと願うようになる。

そんな彼女が開発したのが、ARアプリ『BreakDownCosmic』だ。これは、ユーザーが世界各地の天文イベントをカレンダーに追加したり、ミッションをクリアしてメダルを集めたり、観測仲間と交流できる仮想空間。まるで宇宙旅行をしているかのような体験を提供する。

開発言語にSwiftを選んだのは「覚えやすく、Xcodeも直感的」だから。エラーも比較的見つけやすく、開発に没頭できたという。WWDCへの参加を経て、彼女の目標はApp Storeでの公開だ。

「アプリにログインしている間は、宇宙空間を旅しているように感じてほしい。宇宙は謎と無限の可能性に満ちていて、それは一部の特別な人だけのものではない。私たちが住む場所、私たちの家なんだから、誰もが知るべきだ」。『BreakDownCosmic』は、AR技術を通して、誰もが気軽に宇宙に触れられる未来を切り開くかもしれない。

『AccessEd』エチオピア育ちの学生が教育を変える: Nahom Workuさん

エチオピアとカナダで育ったNahom Workuさん。飛行機嫌いをきっかけにエンジニアの道へ。コロナ禍でプログラミングに目覚め、子供向け学習支援NPOでの経験から、教育課題に強い問題意識を持つように。

彼が開発した「AccessEd」は、オフラインでも使えるAI搭載学習アプリだ。Appleの機械学習と自然言語処理を活用し、ノート写真からフラッシュカードを自動生成。学生の背景に合わせたコース提案や、タスク管理機能も搭載。

質の高い教育へのアクセス格差をなくしたい。そんなWorkuさんの願いが詰まった「AccessEd」は、テクノロジーで学びの可能性を広げる挑戦だ。彼のアプリが、教育分野におけるAIの革新的な活用を示すことになるかもしれない。

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(画像:Apple)