定額制音楽配信サービスの「Spotify」が、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場するため、米証券取引委員会(SEC)に上場を申請したことが判明した。
Reutersによれば、Spotifyは2018年前半の上場を目指しており、時価総額は200億ドル(2兆2500億円程度)になるとみられている。
Spotifyは、新株の発行を伴わない「ダイレクトリスティング(直接上場)」方式による上場を検討しているようだが、同仕組みでの上場ができるかは取引所との協議次第ということになりそうだ。
なぜ、Spotifyが「ダイレクトリスティング」という方法による上場を目指しているのか。その理由は明らかにされていないが、理由の一つとして、既存の株主にとって持ち株の希薄化がないことが挙げられる。
また、引き受けを行う証券会社を選ぶ必要もないため、当然だが多額な手数料を証券会社に支払う必要もない。
さらに、既存の株主が上場後に株を売却することのできない期間(ロックアップ期間)が設定されないため、既存株主がすぐに株を売却することができるなどのメリットも挙げられる。
その一方で、上場後に株式売買の流動性を十分に確保することができないなどのデメリットも指摘されている。
それでも同社が「ダイレクトリスティング」を選択する理由は、Spotifyは自身の赤字体質を気にしているからかもしれない。
投資家からの評価があまりに低い場合、本来の上場では急激な株価下落が想定される。しかし、このダイレクトリスティングを利用すれば、機関投資家の株式売買をある程度避けることができるため、株価の下落を最小限に抑えることができるかもしれない。
Spotifyは本日、有料サブスクライバーが7,000万人を超えたことを発表した。昨年7月の段階で6,000万人と発表していたことから、5ヶ月で1,000万人ものユーザーが増えたことになる。ユーザー数の伸び自体は驚異的ではあるが、しかしながら業績は赤字拡大を続けているのが現状。
また、つい先日には楽曲が再生されたにも関わらず、ソングライターに対して十分な楽曲使用料を支払っていなかったと訴えられており、1,800億円規模の巨額な著作権訴訟が発生している。上場を控えるSpotifyにとって、あまり良い話ではないのは間違いないだろう。
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