
7月24日、米オーディオブランドのSonosは、トム・コンラッド氏を正式な最高経営責任者(CEO)に任命したと発表した。任命は即日付けで有効となり、同氏は引き続き取締役としても在任する。同氏は、今年1月よりSonosの暫定CEOを務めていた。
前CEOのパトリック・スペンス氏は、2024年5月のアプリ刷新をめぐる混乱を受けて辞任。このリニューアルでは多くの既存機能が失われ、バグの多発も重なってユーザーからの批判が集中。Sonosは新製品の投入を延期し、アプリの改善を最優先にせざるを得なかった。最終的に同社は100人以上の人員削減を行うなど、大規模な見直しを強いられた。
そうした状況のなかで指揮を執ったのがコンラッド氏だ。過去6カ月の暫定CEOとしての実績が評価され、今回の正式な就任に至ったかたち。
取締役会会長のジュリアス・ジェナチョウスキー氏は、「包括的かつ競争力のある選考プロセスを経て、トムが次章を率いるに最適な人物であると確信した」と語る。
Pandora創業者が見据えるSonosの「再創造」に注目が集まる
コンラッド氏は音楽ストリーミングサービス「Pandora」の共同創業者であり、SnapchatやQuibiでも製品開発責任者を歴任してきた人物。Appleにも在籍経験があり、30年以上にわたってコンシューマーテクノロジー業界でキャリアを積み、2017年からはSonosの取締役も務めていた。
暫定CEOとしての短期間で、同氏はソフトウェアと製品体験の品質を大きく改善し、フラッグシップとなるワイヤレスヘッドフォン「Sonos Ace」やサウンドバー「Sonos Arc Ultra」を市場に投入。また、ユーザーからのフィードバックを受けてアプリの品質改善にも注力した。
今回の正式就任に際して、コンラッド氏は「これは始まりにすぎない。再構築のフェーズから、次世代体験の “再創造” フェーズへと進む」とコメント。よりスマートで、生活にシームレスに溶け込むオーディオ体験の実現に向け、さらなる投資と開発を進めるとした。
なお、同氏のリーダーシップのもと、Sonosはスリムで俊敏な組織への転換を図り、200人規模のレイオフも実施。IKEAとの共同プロジェクト「Symfonisk」の終了も決定するなど、戦略の再定義も進めている。混乱を乗り越えたSonosが再びイノベーションの道を歩み始めるのか。今後の展開に注目が集まる。
(画像提供:Sonos Japan)