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Sonos Japanは、今年1月に新型サウンドバー 「Sonos Arc Ultra
「Sonos Arc Ultra」 は、Sonosのサウンドバーの中で最上位のプレミアムモデルに当たる製品で、「Sonos Arc」 内部の音響構造を一新し、より重低音を強化した。さらに本体もよりスリム化したことで主張を抑え、周囲のインテリアに馴染みやすく、よりコンテンツに没入しやすくなっている。
「Sonos Sub 4」 は、2020年5月に発売した 「Sonos Sub (Gen3)」 の後継モデルにあたるワイヤレスサブウーファー。向かい合わせた2つのデュアルカスタムウーファーを搭載し、音の歪みをキャンセルしながら、よりディープでダイナミックな低周波を生成する。Wi-Fi 6をサポートしたことで、通信の安定性も向上した。
同製品の発売にあわせて、Sonos Japanより両製品を自宅で試す機会を得ることができた。約2週間ほど自宅テレビに接続して生活してみたので、本稿では 「Sonos Arc Ultra」 と 「Sonos Sub 4」 の使用感をご紹介したい。
デザイン:スリムになったArc Ultraのおかげで、よりテレビの映像に集中しやすく
「Sonos Arc Ultra」 と 「Sonos Sub 4」 は、どちらもSonosが販売するサウンドバー・ワイヤレスウーファーの中でも最上位モデルにあたる製品。Sonos製品を使ってホームシアター環境を構築するのであれば、現時点ではこの組み合わせが最強ということになる。
「Sonos Arc Ultra」 は、従来モデル 「Sonos Arc」 を改良し、音響性能とデザインを進化させたプレミアムモデルだ。特に低音域の強化が図られ、より迫力のあるサウンドを実現している。
本体サイズは幅1,178 × 奥行き110.6 × 高さ75mm。幅は従来モデルよりもわずかに広くなったが、高さと奥行きは小さくなった。重量は5.9kgと、前モデルから0.35kg軽量化している。これにより、Arcよりも見た目はスリムになり、周囲のインテリアに溶け込みやすいデザインに。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色展開だ。
テレビの前に置いてみても、自然に馴染んで主張があまり激しくないのも筆者のお気に入りポイント。狭ベゼルのテレビと組み合わせてもサウンドバーが邪魔に感じることはほとんどないはずだ。ただし、横幅はサウンドバーとしては大型の部類にはなるため、購入前にはテレビ台のサイズを確認しておくことをオススメする。
タッチコントロールはスピーカーの後ろ側に搭載するようになったことで、正面から見たときのデザインが良くなった。本体中央部分では、再生・一時停止、曲送りの操作が可能。
本体右側には、指で直感的に音量調整ができる画期的なタッチコントロールが搭載。右側にスライドすることで音量アップ、左側にスライドすることで音量ダウンとなる。感度はかなり良く、大きい音が出てしまったときにシュッとすばやくスライドすると一瞬で音量を下げることができる。
電源コードを差し込む部分やHDMIポートなどは背面の窪みに隠れるように配置。今回は新たにBluetoothペアリングボタンが用意されており、テレビを見ていないときにもスマートフォンなどのデバイスからBluetooth経由で音楽を再生するときに便利に使える。もちろん、従来のWi-Fiストリーミング (2.4GHz/5GHz) やAirPlay、Spotify Connectなどの外部サービスとの連携も可能だ。
イーサネットポートの隣のボタンでは内蔵マイクを物理的にオフできる仕組み、プライバシーにも配慮した。
音声アシスタントはGoogleアシスタントを廃止し、AlexaおよびSonos独自の音声コントロール 「Sonos Voice Control」 を採用。Eraシリーズと同様のシステムを採用し、スマートホームとの連携も強化した。ただし、「Sonos Voice Control」 はアメリカ英語とフランス語のみの対応となっており、日本語には対応しないので注意していただきたい。
サウンド面では、円筒形の筐体内に前モデルより3基多い14基のドライバーを搭載。内訳は7つのツイーター、6つのミッドレンジドライバー、新開発の 「Sound Motion」 ウーファーで9.1.4chに対応する。
9.1.4chのうち、それぞれ 「9」 は水平方向の音、「1」 はウーファー、そして 「4」 のうちの2つは上向きに音を放射し、もう2つは後方に音を放射して反射させることで、ユーザーの頭上から音が降ってくるようなハイトチャンネルを実現している。
このうち、「Sound Motion」 はトランスデューサーのサイズを大幅に縮小しながら重低音を強化できる業界初の技術を採用しており、Arcの2倍の重低音を響かせることができる。
オーディオフォーマットは、Dolby Atmosのロスレスオーディオに対応。DTSサラウンドにも互換性を持つが、DTS:Xには非対応となっている。
今回、Arc Ultraと組み合わせて使った 「Sonos Sub 4」 は、2020年5月に発売した 「Sonos Sub (Gen3)」 の後継モデルにあたるワイヤレスサブウーファーだ。
向かい合わせた2つのデュアルカスタムウーファーを搭載し、音の歪みをキャンセルしながら、よりディープでダイナミックな低周波を生成する。Wi-Fi 6をサポートしたことで、通信の安定性も向上した。
本体サイズは幅402 × 奥行き158 × 高さ389mm、重量は11.79kg。おしゃれな置き物のようなデザインのため、部屋に置いても違和感はないが、サイズは少し大きめ。できればテレビ台の近くに置いておきたいところだが、本体から直線的に音を出すというよりはもっと空間的に音を出す製品であることから、ソファーの横などに置いても違和感なく使うことができるはずだ。
システムに接続するためのペアリングボタンは側面に配置されていて、1回押しで設定を開始できる。Sonosアプリを開いていればポップアップが表示されるため、迷わず設定できる。
セッティング:Sonosアプリを使って簡単設定
Arc UltraとSub 4をテレビと組み合わせるには、Sonosアプリを使って設定する必要がある。設定手順としては、まずはArc Ultraの設定を完了したあとにSub 4を追加するのがもっともスムーズ。
両製品の設定は、Sonosアプリさえあればほぼ困ることはない。電源が入ったSonos製品が近くにあれば、自動でポップアップが表示され、設定するか尋ねられるため、あとは指示に従って設定を進めていけば迷うことなく設定できる。
Arc Ultraは、アプリに表示される選択肢をポチポチと設定していくだけでものの数分で設定が完了する。Sub 4の追加時には、アプリがSub 4を認識したあと、本体側面にあるNFCタグにスマートフォンを近づけるよう指示されるため、その指示に従ってスマートフォンを近づけるだけで、すばやくシステムに接続することができた。
正確な時間は計っていないが、おそらく2つの製品を設定するのに10分もかからなかったのではないだろうか。新しい製品の設定が苦手な人も安心して使い始めることができるハズ。
テレビとの接続が完了したら、次はTrueplayの設定もお忘れなく。TrueplayはSonos独自の音場補正機能で、これを設定することでSonos製品が部屋の壁や家具などによる音の反射を計算して、部屋のどの場所にいても最適なサウンドを聴くことができるように自動で設定してくれるというものだ。
設定を始めると、「みょんみょん……」 と一昔前のSF映画に出てくる宇宙船やUFOの発する音のようなものが数秒間流れる。このタイミングで部屋の中のものが動いたり、別の音が鳴っていると調整がうまくいかないため、設定時にはできる限り静かな環境で、自分を含めて部屋の中のものを動かさないようにしよう。
エクスペリエンス:Arc Ultra+Sub 4の組み合わせでどんな体験ができる?
設定が完全に完了したら、いよいよArc Ultra&Sub 4の音質をチェック。すでにメディア向けに開催されたデモの機会に音を体験してきてはいたのだが、その環境を自宅で実現したところ改めてその威力に驚いた。
まずは、iPhoneからAirPlay経由で音楽を再生。Arc Ultraは先代モデルのArcに比べて重低音が強化されている上に、Sub 4の効果も上乗せされて、音圧マシマシのパワフルなサウンドを実現。Arc Ultraのハイトチャンネルのおかげで、正面から音を聴いているはずなのに、背後からも音が鳴るという空間的なサウンドを楽しむことができる。
映画は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と『ボーン・レガシー』を視聴。どちらの映画も銃撃戦や爆発のシーンがあるが、Arc Ultra+Sub 4のダイナミックな重低音のおかげで、ホームシアター環境にもかかわらず、映画館と同等あるいはスクリーンが近いからか映画館よりも高い没入感のなかで視聴することができた。
新しいセンターチャンネル構造の採用によって、登場人物のセリフがより聞き取りやすくなった 「スピーチエンハンスメント」 機能をオン (低・中・高の3段階のうち 「中」 に設定) にして視聴してみた。大きな音と登場人物のセリフがかぶる部分が何度かあったのだが、そのいずれも綺麗にセリフを聞き取ることができて、かなり感動した。
音楽と映画のほかに、ゲームでも音をチェックしてみた。今回は、PS5で『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』をプレイ。すこし古い作品にはなるものの、戦闘機のエンジン音やミサイルの爆発音、戦場に入り混じる無線通信など、本当に自身がコックピットで操縦しているかのような没入感が得られた。
今回は、大量の敵が出現して激しい戦闘になる 「ミッション15」 をプレイ。敵の戦闘機と高速ですれ違うときや、至近距離で敵のミサイルが炸裂したときの臨場感がハンパない。
ミッション15は戦闘区域が複数に分かれており、「〇〇で味方が苦戦しているから助けに行け」 と指示されることがあるのだが、あまりにも戦闘が激しいとこの指示をたまに聞き逃してしまうことがある。
そんなときには、人の声を増幅して聞き取りやすくしてくれる 「スピーチエンハンスメント」 機能をオンにしておけば、どんなに激しい空戦の最中にも無線通信の内容を漏らさず聞き取れる。指示を聞き逃してのミッション失敗が多い人は絶対にオンにして使ってもらいたい。
昨今は 「エースコンバット」 シリーズのようにサウンドにこだわった作品も多いことから、Arc Ultra+Sub 4はゲームプレイ時においても大活躍してくれること間違いなしだ。
まとめ:Arc Ultra+Sub 4は映画・音楽はもちろん、ゲームでも没入感あふれるサウンドが楽しめる
今回のレビューでは、「Sonos Arc Ultra」 と 「Sonos Sub 4」 を自宅で実際に使用し、改めてその魅力を深掘りした。事前に開催されたメディア向けのデモ体験でも映画や音楽を通じてそのプレミアムなサウンドを体感することができたが、自宅でも同様の高品質な音響を楽しむことができた。
特に、自宅ではデモ体験では試せなかったゲームをプレイしてみて、繊細な音の表現や力強い低音により、映画のような臨場感あふれる体験ができた。ゲームをプレイする人にも、このサウンドシステムの組み合わせは大きな恩恵があると言えるだろう。
また、デモ体験では、リアスピーカーとして 「Era 300」 を2台加えた究極のサラウンド環境を体験してきたが、正直なところ、日本の住宅事情を考慮すると、Arc Ultra+Sub 4の組み合わせでも十分すぎる迫力と没入感を得られると感じた。
映画、音楽、ゲームと幅広いコンテンツでその実力を発揮するこのシステムは、限られた空間でも最高の音響体験を求める人にとって、非常に魅力的な選択肢となるはずだ。