
米カリフォルニアに拠点を置くオーディオブランド「Sonos」は、Bluetooth対応のプレミアムヘッドフォン「Sonos Ace」向けに、複数の新機能を実装する大規模アップデートを配信した。
今回のアップデートでは、空間補正型の仮想サラウンド「TrueCinema」や、2人同時接続に対応した「TV Audio Swap」機能の拡張、高度化したアクティブノイズキャンセリング (ANC)、通話品質の向上など、リリース当初には間に合わなかった機能が盛り込まれている。
部屋の音響に最適化された仮想サラウンド「TrueCinema」が登場

TrueCinemaは、Sonos AceとSonos製サウンドバーを組み合わせることで機能する新たな空間補正技術だ。Sonos ArcやBeamなどのサウンドバーが部屋の音響特性を測定し、同時にAce本体のマイクがリスナーの位置情報を取得。
そのデータをもとに、3D空間にスピーカーが設置されているかのような仮想サラウンド体験を生成する。これは、同社スピーカーの「TruePlay」機能の延長線上にある機能で、スマートフォンを用いた音響測定の仕組みをヘッドフォンに適用した格好だ。
「TV Audio Swap」が2人同時接続に対応

加えて、TV Audio Swap機能も強化された。もともとSonos Arcでのみ対応していたこの機能は、2024年後半からBeamやRayなどのエントリーモデルでも利用可能となり、Androidデバイスにも対応していたが、今回のアップデートにより2台のSonos Aceで同時接続が可能に。
これによりTVの音声を2人のリスナーが完全同期で楽しめるようになり、Sonos Aceで2人用パーソナルホームシアターを構築することが可能だ。また、夜間や共有スペースなど、音を外に出せない環境下でも没入的な視聴体験を可能にする。
ノイズキャンセリングと通話機能も向上

今回のアップデートでは、アクティブノイズキャンセリング(ANC)も一新された。Sonos Aceに内蔵されているセンサーが髪型、眼鏡、帽子などの装着状態をリアルタイムで検出し、音漏れを補正。装着スタイルに応じて、密閉性を最適化し、より高い静寂性能を実現する。
また、通話機能にも新機能「SideTone」が導入され、ANCがオンの状態であってもユーザーの声が自然に聞こえるようになり、会話中の違和感が軽減される。通話時の音声品質について、高解像度オーディオで処理され、雑音が排除されたクリアな音声通話が可能になっている。
Sonosのソフトウェア戦略の根幹にあるのは、「継続的に進化する製品を届ける」という思想だ。同社はこれまでにもTrueplayやスピーチエンハンスメント機能などを既存スピーカーに追加してきた経緯があり、今回のアップデートもリリース後も継続的に機能を追加することで製品寿命を引き延ばす設計思想が貫かれている。
Sonos Aceのアップデートは、スマートフォン用「Sonos」アプリから行うことが可能だ。