
昨今、スマートフォンのカメラ性能の向上により、4Kや8K動画が誰でも気軽に撮影できるようになった。旅先での楽しい思い出はもちろん、帰りがけに見た綺麗な夕焼けのような、日常の何気ない瞬間でさえも高画質で残すことができる。
しかし、動画のデータ容量は写真に比べて大きく、ほんのちょっと撮影しただけでもあっという間に数GB〜数十GBになってしまう。筆者も取材で動画を撮影することがあるのだが、取材が何件も重なると、あっという間にiPhoneのストレージがいっぱいになってしまうことも。
筆者の場合、撮影した動画は一度MacBook Proに退避して、その後時間を見つけてクラウドストレージや自宅のNASに転送するようにしているのだが、出張が絡むと滞在先のホテルのネットワーク回線が毎回快適とは限らないため、MacBook Proのストレージもパンパンになりがち。
そんなときに便利なのがポータブルSSDだ。ケーブル1本でデータを高速で退避できる上に、持ち運びにも優れる。今回、サンディスクからUSB4 (Gen 3×2) に対応した「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」を借りて使ってみることができたので、筆者の環境においてどれほど便利に使えるのかご紹介したい。
高い堅牢性と高速データ転送が特徴の高品質ポータブルSSD
「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」は、2025年1月に発売したポータブルSSD。
USB4 (Gen 3×2) をサポートし、最大3,800MB/秒の読み出しと最大3,700MB/秒の書き込みに対応する、動画編集者・写真家・ゲーマーなどデータの高速転送を必要とするプロフェッショナルユーザーに最適なモデルだ。容量は2TBと4TBの2種類から選択可能で、今回は2TBモデルをお借りした。
本体は堅牢なシリコンシェルと鍛造アルミシャーシを採用しており、高い耐久性を確保。最大2mの高さからの落下試験をクリアしているほか、IP65の防塵・防滴に対応するため、屋外への持ち運びも安心だ。
こちらが製品本体。サンディスクのポータブルSSDといえば黒とオレンジの色使いが特徴的だが、本製品もその特徴を受け継いでいる。右上の穴にはカラビナなどを通すことができ、リュックに取り付けて持ち歩くこともできる。
本体サイズは68.7×140×11.9mm、重量は約172g。服やカバンのポケットに入れても邪魔になりにくいコンパクトサイズで、重量も軽いので、カラビナでリュックに取り付けての持ち運びも負担に感じることはないはずだ。
表面はシリコンシェルの素材のおかげで滑りにくくなっており、汗ばんだ手で持っても落としにくい。万が一落としてしまったとしても、最大2mの落下試験をクリアした堅牢性のおかげで、地面や床に落としたくらいで壊れてしまうことはほとんどないはずだ。
動作温度は5〜45℃となっていて、真夏の日本でも直射日光に晒し続けなければ問題なく動作してくれそうだ。ただし、最低温度が5℃のため、スキーやスノボなど冬のアクティビティでの利用には気をつけたいところ。
PCなどに接続するためのUSB Type-Cポートは本体底面にある。ポート部分が凹んだりしていないので、どんなケーブルでも問題なく接続することができた。
Type-CポートはUSB4 (Gen 3×2) とThunderbolt 4に対応。転送速度は読み出しが最大3,800MB/秒、書き込みが最大3,700MB/秒と驚異的なスピードを誇る。
実際にMacBook Pro (M4 Pro) に接続して、「Blackmagic Disk Speed Test」で転送速度を計測してみたところ、読み出し (READ) が3050.6MB/s、書き込み (WRITE) が2316.0MB/sという結果に。
試しに約5GBの動画を転送してみたところ、わずか2〜3秒で転送を完了できたほか、数百枚ほどの写真が入ったフォルダー (約3GB) は17秒で転送を完了することができた。
業界でも最上位クラスの転送速度になっているわけだが、ただ数字だけを聞いてもピンと来ないと思うので、筆者が持っている他のポータブルSSDと速度を比べてみた。
今回比較したのは「SanDisk Extreme Portable SSD」と「Lexar SL660 BLAZE Gaming Portable SSD」の2つのモデル。前者は、同じSanDiskのポータブルSSDで、一般ユーザーや日常的なバックアップ、写真・動画の保存を目的とするユーザーに適したモデルだ。後者はゲーミングポータブルSSDとして販売されていたLexarの商品だ。
比較 | SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD | SanDisk Extreme Portable SSD | Lexar SL660 BLAZE Gaming Portable SSD |
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3GBの画像フォルダ | 17秒 | 28秒 | 1分52秒 |
4GBの動画ファイル | 3秒 | 6秒 | 47秒 |
検証として、3GBの画像フォルダと4GBの動画ファイルをそれぞれのSSDに書き込みしてみた。結果は上記のとおりで、いずれの検証でも「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」が圧倒的な速さを実現していた。特にLexerのSSDに比べると6倍以上早くデータの読み書きができていたことになる。もちろん、書き込んでいる間にデータ転送速度が減衰するということもなかった。
この書き込み速度&安定感なら、ネット回線が低速でクラウドストレージなどへの退避が難しい環境でも、大量の動画を素早く退避してストレージの空き容量を確保することができそうだ。
検証を経て、一般的なユーザーであれば「SanDisk Extreme Portable SSD」で十分という感覚はあるものの、もし頻繁に大容量のデータ転送をやり取りする機会があるのなら「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」を選ぶと作業時間を短縮することができるだろう。
価格はちょっぴり高めだが、それに見合った価値あり
「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」は、水やホコリ、最大2mからの落下にも耐える高い堅牢性を持ち、高速でのデータ転送に対応することで動画などの大きめのデータの退避もスムーズに行える便利アイテムだ。
本製品は暗号化機能には対応していないが、セキュリティソフトなどを併用することでソフトウェアベースで暗号化することはできる。もしくは、セキュリティ性の高いデータなどはできるだけ持ち歩かないようにするなどユーザー側で用途を限定することで、大きな問題にならないように対策することはできるはずだ。
価格は2TBモデルが54,780円、4TBモデルが88,880円 (どちらも税込)。少しお高めではあるのだが、性能を考えると妥当な価格帯とも言えるため、高速転送ができて安心してデータを持ち歩ける堅牢性を求める人は、購入を検討してみてはどうだろうか。