Samsung、初のAndroid XRデバイス「Galaxy XR」発表。AIと拡張現実の融合を掲げる

Samsungは、GoogleとQualcommと共同開発した新プラットフォーム「Android XR」を採用した初のヘッドセット「Galaxy XR」を正式発表した。米国では10月21日、韓国では10月22日より販売を開始している。価格は1,799.99ドル。

購入者には12カ月分のGoogle AI Pro、YouTube Premium、Google Play Passなどが提供される。専用トラベルケースやコントローラーも別売で用意されている。

Galaxy XRは、AIネイティブをうたう新カテゴリのデバイスで、音声・視覚・ジェスチャーによる操作を実現する。GoogleのマルチモーダルAI「Gemini」がシステムレベルで統合されており、ユーザーの音声や視線から周囲の状況を理解し、アシストする。Samsungはこの製品を、Android XRエコシステムの「最初の一歩」と位置づけており、今後はAIグラスなど複数のフォームファクターを展開する計画だ。

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人間工学に基づいた軽量設計を採用、Snapdragon XR2+ Gen 2チップを搭載

Galaxy XRは人間工学に基づいた軽量設計が特徴で、本体重量は545g。バッテリーパックを分離することで装着時の負担を軽減した。額と後頭部に圧力を分散する構造を採用し、長時間の使用でも快適さを維持する。取り外し可能なライトシールドも備え、没入感と開放感を切り替えられる。

ディスプレイは3,552×3,840ピクセルの4K Micro-OLEDを採用し、視野角は水平109度、垂直100度を実現。リフレッシュレートはデフォルトが72Hzで、60Hzと90Hzも利用できる。

Snapdragon XR2+ Gen 2チップを搭載し、16GBメモリと256GBストレージを備える。バッテリー駆動時間は最大2.5時間(動画視聴時)で、充電しながらの使用も可能だ。

センサー類は、高解像度のパススルーカメラが2基、トラッキングカメラが6基、アイトラッキングカメラが4基、さらに深度センサーやIMUなども含まれる。虹彩認証にも対応し、デバイスのロック解除や特定のアプリでのパスワード入力などが行える。

音響面では、ウーファー+ツイーター構成の2ウェイスピーカーと6マイクアレイを搭載。ビームフォーミング対応により、周囲の雑音を抑えながらクリアな音声入力を実現する。

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Geminiの統合により、Google Mapsのナビゲーションや検索体験が拡張現実に最適化

Galaxy XRでは、Geminiを通じて日常的なアプリが拡張現実空間に溶け込む。Google Mapsを使った3Dナビゲーションでは、行き先の検索だけでなく、周辺スポットの提案もAIが行う。YouTubeでは視聴中の映像について追加情報を尋ねることができる。

また、パススルーモードでは現実の物体に手で円を描く「Circle to Search (かこって検索)」が利用可能。目の前のものをその場で検索できる。さらに、2Dの写真や動画を自動で3D化する「オートスパシャライズ機能」も備え、記録したコンテンツを立体的に再体験できる。

映像体験も充実しており、4K映像のストリーミングはパーソナルシアターのような臨場感を生む。スポーツ中継では複数試合を同時観戦でき、XR対応ゲームではGeminiがリアルタイムでコーチングやヒントを提供する。Adobeの「Project Pulsar」を使えば、3D空間上での映像編集も可能だ。

Galaxy XRは、GoogleとQualcommとの協業により、OpenXR規格に準拠したオープンな開発環境を提供する。既存のAndroidアプリはそのまま動作し、開発者はUnityやWebXRを通じて容易にXR体験を展開できる。Samsungは今後、産業向け用途にも注力する予定で、Samsung Heavy Industriesとの提携を通じて、仮想造船訓練での活用が進められている。

さらに、次世代のAIグラスに向けては、米Warby Parkerや韓国のGentle Monsterと提携。テクノロジーとファッションの融合を視野に入れたプロダクト展開を計画している。

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(画像:Samsung)

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