
Appleは、MacやiPhoneを活用して活動する学生たちを紹介する 「学生にMac」 というキャンペーンを昨年から実施している。
2025年のキャンペーンでは、「学生にMac | 最適な戦略をつくる | Apple」 という動画をYouTube公式チャンネルで公開。iPhoneとMacを駆使して自分たちのプレーをデータ化して戦略を作り上げ、学生ラクロス日本一を目指す立教大学の体育会女子ラクロス部の活動を紹介していた。
今回、この動画に出演した立教大学の女子ラクロス部の練習を取材する機会に恵まれ、彼女たちが日々の練習や試合において、どのようにMacやiPhoneを使ってデータ分析をしているのかをこの目で見ることができた。本稿はそのレポート記事となる。
学生アスリートの活動の場でAppleデバイスが活躍

今回取材した 「ULTIMATES」 は、立教大学の体育会女子ラクロス部。全国大会優勝歴もある大学生の女子ラクロスの強豪チームで、部員数は約140名と規模も大きく、学生ラクロス日本一を目指して活動している。
このチームには、試合に出場するメインメンバーとサブメンバーに加えて、1年4ヶ月前に発足した 「AS班」 と呼ばれる分析チームが存在する。
AS班のメンバーたちは、特別に分析を学んでいたり、専門の学部に属しているというわけではないが、MacやiPhoneを活用して試合や練習中のプレーを分析。勝利のために論理的に戦術を組み立てるという、ユニークな取り組みを行っている。
ASチームは約26人が所属しており、その中で本格的に分析を行っているメンバーは約10名。今回の取材では、副将でありAS班にも所属する神子知菜さんに、練習試合のなかでどのようにデータ分析をしているのかを詳しく教えてもらった。
MacとExcelで試合の“流れ”を可視化。導入のキッカケは決勝で敗れた苦い経験

神子さんは自身のMacBook Airで、ExcelとSPLYZA Teamsと呼ばれる動画分析アプリを使って、日々の練習や試合を分析している。




練習試合が始まると、神子さんは自身のMacBook Airを持ってコートの端に立ち、同じAS班のメンバーと協力しながら、Excelのシートに試合の中で起こった事象を細かく記録していく。
試合の中で起こる事象にはそれぞれポイントが割り振られていて、そのポイントの増減で試合の流れ (Tied) を数値化し、グラフとして可視化。どういった流れの中で得点・失点したのかを分析するためのデータを取得していく。




神子さんによると、この分析方法を取り入れ始めたキッカケは、2023年の大会の決勝戦だったという。試合の途中まではリードしていたものの、最後の最後で逆転負けを喫し、悔しい思いを味わった。
実力的には互角の相手だったにもかかわらず、なぜ試合の流れを奪われてしまったのか――。
当時は 「理由はよく分からないけど、後半は相手の流れだった」 という曖昧な結論になっていたというが、その後の合宿でコーチから 「試合は得点だけではなく、目に見えない “流れ” も奪い合っている」 という指摘を受けたことで、現在の分析方法を導入することに。
その結果、チーム全体が試合の流れをより意識するようになり、試合後に「なぜ負けたのか分からない」と感じることはほとんどなくなった。

また、この分析方法を取り入れたことで、選手たちが感情に左右されにくくなったのも良い面だったという。
勝っている試合なのにひたすらシュートを打ち、その結果ミスが生まれてしまう下級生のプレーを見て、「今のでTied下がったね」 「ここはシュートを打たないでキープしたほうが優位になれる」 と大局的に行動を分析する上級生を見て、チーム全体の成長を感じたという。
シュートをセーブされて相手ボールになるとTideが下がってしまうことから、勝っている状態では無理にシュートするのではなくボールをキープするようにチーム内で呼びかけるなど、数値に基づいた客観的な視点からのコミュニケーションが増えた。その結果として、チーム全員が作戦に納得した上で試合に臨めるようになったという。
エアドロでiPhoneからMacへ動画を送り即座に分析



練習試合では、Excelを使ってデータを分析するメンバーに加え、iPhoneで試合の様子を撮影するメンバーもいる。撮影した動画は試合後、神子さんのMacBook AirにAirDropで転送され、SPLYZA TeamsやInstagramに投稿されることもある。
AirDropはWi-Fi環境がなくても利用できるため、まずは撮影した動画をMacBook Airに送信し、後で安定したWi-Fi環境下で投稿するといった使い方ができる。共有された動画を見るかどうかは各選手に委ねられているが、多くの選手が積極的にチェックしており、キーとなるプレーについて「ここはこうした方がいい」とコメントし合う場面も多いという。

MacやiPhoneを活用することで、プレー分析や戦略の精度を高めている「ULTIMATES」。試合中にMacBook Airでデータを記録し、Excelで流れを可視化することで、感覚に頼るのではなく、論理的に戦術を組み立てることが可能になった。また、iPhoneで撮影した試合映像をAirDropで即座に共有し、チーム全体で振り返ることで、より客観的な視点からプレーを改善できるようになった。
こうしたデータ活用の取り組みは、選手個人の成長を促すだけでなく、チーム全体の勝利への意識を高めることにもつながっている。今年から試合中の電子機器の持ち込みが可能になり、神子さんは「より多くの試合データを正確に収集するのはもちろん、選手一人ひとりのデータも分析し、例えば特定のエリアでのボールロスト率などを個々に伝えることで、より効果的な練習につなげていきたい」と語る。
バッテリー駆動時間が向上したMacBookなら、長時間電源が確保できない屋外のコートでも活躍できる。iPhoneとの連携によって、撮影した動画をすぐに大画面で確認したり、データを分析したりすることも可能だ。Appleのデバイスが、学生アスリートの活動の場にも活用されている――。そんな一例を、今回は紹介させていただいた。