筆者はよく外で仕事をするが、その時の相棒は大抵13インチMacBook Pro。MacBook Proはコンパクトながら外出時に必要な作業をほぼすべてこなせるほどパワフルな性能を持っている。欠かせない相棒だ。
しかし、そんなMacBook Proにもひとつ “悩み” があった。それはMacBook Proの純正電源アダプタが巨大で重たいということ。仕事柄、筆者はMacBook Proと一緒にカメラなどを持ち歩くことが多いため、これらをすべて合わせると何キロもの重さになってしまう。一日中歩くと肩や腕がクタクタだ。
どうにかしてこの問題を解決できないだろうかと常日頃考えていた筆者だったが、なんとRAVPowerの新製品が見事に問題を解決してくれた。
今回紹介するのはRAVPowerから新発売の 「RAVPower RP-PC112」 。同製品は、新素材GaN (窒化ガリウム) を採用し、超小型ながら最大61W出力のPD (Power Delivery) に対応したUSB充電器だ。
61Wと言えばMacBook Pro (13インチモデル) の純正電源アダプタと同じ出力。同製品を導入したことで外出時の持ち物が軽量化できたので、そのレポートをレビューとしてお伝えしたいと思う。
もちろん、MacBook Proユーザーでなくとも61W以内の出力で足りるのであれば、同製品がおそらく最適だ。是非、「RAVPower RP-PC112」 の詳細をご覧になっていただきたい。
61Wと高出力ながらコンパクトなサイズを実現
RAVPowerでGaNを採用した充電器といえば以前にも 「RP-PC104」 を紹介したことがある (レビュー記事) が、同製品は最大45W出力に対応した製品だった。しかし、今回紹介する 「RAVPower RP-PC112」 はそれよりもさらに小型であるにも関わらず、61Wの高出力に対応した製品となる。
本体の大きさは49mmx49mmx32mmで、手で握りしめられるほどコンパクト。しかも電源プラグは折りたたみ式だ。
重量はわずか102グラム。こんなコンパクトで軽量なのに61Wの高出力に対応しているというのだから驚きだ。プラグも折りたたみ式であるため、ポーチなど小型バッグにだって躊躇うことなく入れて持ち運べるはずだ。
このコンパクトさと軽量さを実現したのは、窒化ガリウム(GaN)と呼ばれる半導体。難しい話になってしまうので細かい説明は省くが、同素材を採用したことで従来のUSB充電器よりも小型で高出力を可能とする製品が作れるようになっている。
GaNを採用している製品は徐々に増えてきており、類似商品として前述の 「RP-PC104」 や 「Anker PowerPort Atom PD 1」 などがあるが、前者は最大45Wで 「RP-PC112」 よりもサイズはやや大きめ。「Anker PowerPort Atom PD 1」 は 「RP-PC112」 と同じくらいか少し小さいくらいのサイズであるものの、最大出力は30Wでプラグは折りたたみ不可だ。
つまり、今回の新製品 「RP-PC112」 は過去最高の小型USB充電器ということになるだろう。少なくとも筆者の知る限りでは。
筆者は同製品を手に入れたことで、荷物の軽量化とコンパクト化が実現できた。上記は普段から持ち運んでいるMacBook Pro一式だが、電源アダプタを純正から 「RP-PC112」 に変えたことでこのように変わった。
画像を見る限り、「あんまり変わっていないじゃん」 と感じるかもしれない。筆者も実際に写真に撮ってみたらそう感じてしまったのでその気持ちはよくわかる。
しかし、体感ではまったく異なることを伝えておきたい。充電器がコンパクトになったことでカバンの中はかなりスッキリし、肩や腕の負担が少し軽減された。少し大袈裟かもしれないが、純正アダプタが今まで体に負荷をかけていたんだなと感じさせるくらいの変化があった。性能や充電器の比較はあとで詳しくお伝えするが、とりあえず言いたいのはMacBook Proユーザーは是非買った方がいいということ。
ちなみに、「RP-PC112」 で充電できるデバイスは以下のとおり。これ以外にもUSB-Cポートを搭載したデバイスならほぼすべてが充電することが可能だ。
- iPhone XS / XS Max / XR / X / 8 / 8 Plus
- Samsung Galaxy S9 / S9+ / S8 / S8+ / Note 8 / Note 7など
- iPad Pro (2018, 11インチ)など
- MacBook Pro(2016,13インチ) / MacBook/ Mi Notebook Air/DELL XPS 13など
- Nintendo Switchなど
性能を検証&他製品と比較してみた
「RP-PC112」 の実力を検証してみた。
RAVPowerによると、「RP-PC112」 は最大61Wの出力ができるということなので、今回はこれを確かめられる13インチMacBook Proに接続して検証してみた。
「RP-PC112」 の詳しい規格は以下の通り。
入力 | AC 100V-240V, 50/60Hz, 1.5A |
---|---|
出力 | 5V/3A, 9V/3A, 12V/3A, 15V/3A, 20V/3A, 20.3V/3A |
最大出力 | 61W |
出力ポート | USB Type-C |
急速充電規格 | USB Power Delivery 3.0 (PD3.0) 対応 |
サイズ | 約 49 × 49 × 32 mm |
重量 | 約105 g |
検証に使用したのはSatechiのUSB-C電流チェッカー 「USB-C パワーメーターテスター」 。同チェッカーをUSB-C充電器などに挿すことで、そのポートからどれくらいの電流が流れているのかを目視で確かめることができる。
上記画像は実際にチェッカーで測ってみたときの写真。チェッカーには 19.8V / 2.90A と記載されており、約57Wで出力できていることがお分かりいただけると思う。これは、ほぼフルスピードに近い充電速度だ。
電力の計算方法は中学校の理科などで V(ボルト)×A(アンペア)=W(ワット) という関係を勉強したと思うのだが、この計算を使えばすぐに出力を求められる。
61Wも出力があれば大抵のデバイスが充電できる。例えば、iPad Proは18W(最大30W) で充電可能。12インチ型MacBookやMacBook Airも最大30Wの出力に対応する。
もちろん13インチMacBook Proも充電可能。15インチMacBook Proに関しても充電は可能だが、高負荷時などにちょっぴり力不足を感じることもあるかもしれない。
また、最新のiPhoneであればUSB-C to Lightningケーブルを使うことで高速充電することができる。
上記画像はiPad ProやiPhone XSと接続したときの検証の様子。iPad Proと接続したときは30W(14.8V / 2.04A)。iPhone XSと繋いだときは約15W(9.07V / 1.67A)といずれもフルスピード充電できることが確認できた。
これらの検証から、MacBook Proだけでなく他製品に対しても十分性能を発揮できることがわかった。この小さな充電器1個あればラップトップからタブレット、さらにはスマホまで、ほぼすべてのデバイスが充電できるようになったわけだ。すごい時代になったものだ。
せっかくなので他の充電器とも比較してみた。
まずはAppleが販売している純正の61W電源アダプタ。これはMacBook Pro (13インチモデル) に付属してくるアダプタで、出力は同じ61Wだがサイズは約半分程度、重さもピッタリ半分だった (純正アダプタは204グラム) 。
両製品との差はサイズと重さと価格。いずれも 「RP-PC112」 の方が優っているため、よっぽどApple純正品へのこだわりがなければ 「RP-PC112」 を買うべきという結論になる。
純正アダプタ | RP-PC112 | |
---|---|---|
最大出力 | 61W | 61W |
サイズ | 約 74 × 74 × 29 mm | 約 49 × 49 × 32 mm |
重量 | 204g | 102g |
価格(税込) | 7,344円 | 白:4,599円 黒:4,799円 |
RAVPowerが販売している 「RP-PC104」 とも比較。重さは 「RP-PC104」 の方が軽く、形状も違うため大きさも比較しづらいものの、最大出力ではやはり 「RP-PC112」 の方が優れている。このことから13インチMacBook Proをお持ちの場合は 「RP-PC112」 が最適と言えるが、45W以下の出力で十分なのであれば薄くて軽い 「RP-PC104」 の方が最適かもしれない。
RP-PC104 | RP-PC112 | |
---|---|---|
最大出力 | 45W | 61W |
サイズ | 約 80 × 56 × 16 mm | 約 49 × 49 × 32 mm |
重量 | 約82g | 102g |
価格(税込) | 5,999円 | 白:4,599円 黒:4,799円 |
関連記事 ▶︎ 【レビュー】「RAVPower RP-PC104」 45W出力対応の小型・軽量USB-PD充電器
まとめ:MacBookユーザーはマストバイのUSB充電器
これまでのUSB-PD充電器はどうしても製品サイズが大きくなりがちだったが、「RP-PC112」 はポケットにも入るコンパクトさが最大の魅力。窒化ガリウム(GaN) の力を十二分に発揮し、未だかつてないほどコンパクトで高出力を実現したUSB-PD充電器であることがわかった。
MacBookユーザーには必携のアイテム。特に荷物をなるべく軽くしたいMacBook Proユーザーにとっては、間違いなく今年のマストバイアイテムになると筆者は感じている。
ポケットやカバンに1個忍ばせておくと、万が一の時に役立つこともあるだろう。また、自宅で使ってもコンセントを占領しないというメリットもある。
実際、筆者は同製品を3週間近く使っているが、取材や出張の際に大いに役立っている。こんな凄い製品がサードパーティから出ているのに、Appleはいつまで巨大な電源アダプタを販売しているんだろうと思ってしまうくらい、満足感の高い製品だった。もし、これからUSB-PDに対応したUSB充電器を購入するなら、ぜひ同製品を購入することをオススメする。
「RAVPower RP-PC112」 は本日8月1日から販売が開始されている。カラーラインナップはホワイト・ブラックの2種類で、価格はホワイトモデルが4,599円(税込)、ブラックモデルが4,799円(税込)。