現地時間7月26日、米司法省はT-Mobile USとSprintの合併を承認した。T-Mobile USは米国3位、Sprintは米国4位の携帯通信大手。今回のT-MobileのSprint買収によって、経営規模は265億ドルになる。
両社の経営統合に反対する州もいくつかあるが、今回の司法省の承認はそれらの訴訟を有利に運ばせるだろうとみられる。ちなみに訴訟とは関係なく経営統合自体は可能だが、少なくともすべての訴訟が終了するまでは買収手続きを進めることはないという。
SprintとT-Mobile USの合併が正式に承認
米司法省は、昨年4月から1年以上をかけた長い審査を行った。一部の経営資産を他の会社に売却することを条件に統合することを求めていたが、T-Mobile USとSprintの両社はこの条件に合意している。
売却が求められているのは、T-Mobile USとSprintが保有しているプリペイド事業と一部の周波数帯について。売却先は、携帯ネットワークへの新規参入を目指す衛星テレビ事業者Dish。同社は5Gネットワークを自らの力で構築できるまで、最大7年間T-Mobileのネットワークを使用できる契約を結ぶ。米司法省は経営統合によって大きく変化する携帯電話市場のバランスを考慮し、同条件をつけている。
さらにFCC (米連邦通信委員会) は5Gネットワークの展開速度を上げることも条件に課している。米国の全人口97%を3年以内に、6年以内に99%の人口をカバーする通信網を構築することをT-Mobile USとSprintは宣言している。
ちなみにSprintはソフトバンクグループ傘下の会社だが、ソフトバンクGはSprintの出資比率を27% (現在は84%) に引き下げて連結対象から外し、持分法適用会社にする。以前にSprintとT-Mobile USの合併が破談になった際、ソフトバンクG代表取締役会長兼社長の孫正義氏は 「Sprintの経営権維持を重要視する」 と話していたが、今回の合併でソフトバンクはSprintの経営権を手放すことになる。ちなみに孫正義氏は新しいT-Mobile USの取締役に就任するという。