携帯電話の2年契約を途中解約するときにかかる違約金が、今後は上限1,000円になることがわかった。携帯電話料金に対する政府方針として、7日に日本経済新聞が報じた。
日本経済新聞によると、政府は携帯電話の2年契約を途中で解約する際の違約金を上限1,000円にする方針。現在は各社9,500円に違約金を設定しているが、これが大きく引き下げられることになる。
2年契約の違約金の上限が1,000円に
これまで違約金が9,500円と高額に設定されていたのは、各キャリアがユーザーの流出を防止するためだ。各キャリアは、通信料金を原資に大幅な端末価格の値引きを行ってきたが、これはユーザー側の長期契約が前提の仕組みだった。
しかし、政府としては各キャリアの競争を促すために、よりユーザーが乗り換えしやすくなる方法を模索している。そのひとつの方法が乗り換えを阻んでいた一つの問題、高額な違約金の引き下げだ。
ちなみに、政府調査によるとユーザーの8割を超える人が、許容できる違約金の金額を1,000円と回答していたとのこと。
携帯端末の値引きも2万円に制限
また、同時に携帯端末の値引きも制限する方針であるとのこと。通信契約をすぐ解約できる場合であっても、値引額は上限2万円に設定する予定で、これが起きれば一時的に端末価格が上がる恐れがあるという。
日本経済新聞は、AppleのiPhoneを例にキャリアでの端末価格がどうなるかを伝えた。
例えば、米アップルが約12万円に設定している「iPhoneXS」を新規購入するときに店頭では実質6万円程度で販売される例がある。
割引上限を2万円とすると店頭価格は10万円に高止まりすることになる。割引額には端末の下取り費用も含む可能性がある。
これまでキャリアの端末割引によって、実質6万円で購入できたiPhoneが、2万円の割引上限が設定されることによって、キャリアでの端末価格は10万円になる可能性がある。しかも、割引額は端末の下取り費用を含む可能性があるため、下取り端末がない場合はさらに端末価格が上昇する可能性も。
ただし、この方針によってスマートフォンメーカーは端末の卸売価格の引き下げ圧力が加わる可能性があるため、将来的にはスマートフォンの値段は今より安くなる可能性はある、と日本経済新聞は指摘。
違約金の引き下げと端末割引を制限することで、スマホメーカーと各キャリアに競争を促す
長期契約を途中解約するときにかかる違約金の引き下げと、端末価格の引き下げ圧力によって、ユーザーがより乗り換えをしやくなる環境を作るのが政府の狙いだ。
ただし、一時的である可能性があるとはいえ端末価格が大幅に上がるのも事実。今後数年内は、スマートフォン販売数が減少傾向になる可能性も十分に考えられそうだ。
ちなみに、今回の携帯電話の利用料を巡る抜本対策は2019年秋以降に行われる予定。政府は今月11日に携帯料金を議論する総務省の研究会に改革案を示し、今夏には答申をまとめる方針だという。