先日、Appleは、バッテリーが劣化した古いiPhoneの性能を意図的に低下させていることを正式に認める声明を発表。
Appleとしてはユーザーに端末の買い替えを促すためのものでなく、端末の突然のシャットダウンを防ぐ為に意図的にプロセッサの処理能力を下げる機能を搭載しているとのことだったが、これを受けて米国では訴訟問題にまで発展していた。
そして本日、これらの騒動に対し、Appleはユーザーにきちんとした説明を行わなかったことを正式に謝罪。本来であれば、AppleCare+に加入していない場合はバッテリー交換に79ドル(日本円では8,800円)がかかっていたが、「iPhone 6」以降の端末のバッテリーを交換する場合、この金額を大幅に値下げし、29ドル(日本円で約3,200円)で交換できると発表している。この交換は2018年1月下旬から同年12月の間だけ行うことができるとのこと。
また、2018年初頭には、iPhoneのバッテリーの状態を確認することができる新機能を追加することも発表。同機能はiOSのアップデートで追加されることになるとのことだ。
Appleは意図的に古いiPhoneの性能を引き下げていた
この問題は、今月12日に海外の掲示板Redditで投稿された指摘が発端。投稿者は、「iPhone 6s」の動作が遅くなってきたことから、バッテリーを交換したところ、性能が劇的に向上したことを報告。Geekbenchによるベンチマーク結果がそれを裏付けていた。
これについて、GeekbenchのJohn Poole氏も、iPhoneの性能とバッテリーの劣化具合は相関関係がある可能性を指摘。検証によって、バッテリーの劣化はiPhoneの性能を悪くすることが明らかになっていた。
そして今月21日に、AppleはTechCrunchを通じて、この現象を正式に認めていた。ただし、理由はiPhoneのバッテリーが劣化をすることをiOS側が検知した場合、プロセッサの処理能力が一時的に抑制され、予期せぬシャットダウンが起きないような仕様になっているとのことだった。
つまり、Appleは意図的に古いiPhoneの性能を引き下げていたことになる。
この仕様は「iOS 10.2.1」で、「iPhone 6 / 6 Plus」「iPhone 6s / 6s Plus」、そして「iPhone SE」の予期せず電源が落ちる問題を修正するために搭載されたもの。さらに、同機能がユーザーに対して有用だったことから、「iOS 11.2」で「iPhone 7」以降の端末にも導入されているとのこと。
ただし、Appleはユーザーに対してこうコメントしている。「AppleはユーザーにiPhoneの買い替えをさせるために、旧機種の性能を引き下げているわけではない」。あくまでユーザーのためにやったことであるとのこと。
シャットダウンを繰り返すことでiPhoneが使い物にならないよりはいくらか良い気もするが、しかしながらAppleが顧客に対して十分に説明をしていなかったのもまた事実。
Appleは本日、この不十分な説明について謝罪を行なった上で、失われた処理性能を復活させるための手段としてバッテリー交換をすることを考慮。バッテリーの交換料金の引き下げを行なっている。
一応、Appleの説明通りの仕様であるならば、バッテリーを交換しさえすれば、性能はある程度戻るはず。もしiPhoneの性能が落ちたことを実感しているなら、バッテリー交換を行うのも手かもしれない。
[ via The Verge ]