Appleは、バッテリーが劣化した古いiPhoneの性能が落ちる可能性があることを正式に認めた。先日から話題になっている、「Appleはバッテリーが劣化した古いiPhoneの性能を意図的に落としているのではないか」という指摘に対して、実質的に回答を行なっている。
この問題は、今月12日に海外の掲示板Redditで投稿された指摘が発端。投稿者は、「iPhone 6s」の動作が遅くなってきたことから、バッテリーを交換したところ、性能が劇的に向上したことを報告。Geekbenchによるベンチマーク結果が、その事実を示した。
これについて、GeekbenchのJohn Poole氏は、iPhoneの性能とバッテリーの劣化具合は相関関係がある可能性を指摘。検証によって、バッテリーが劣化はiPhoneの性能を悪くすることが明らかになっていた。
この問題について、AppleはTechCrunchを通して声明を発表。この問題は、おおよそ事実であるようだ。
Appleは古いiPhoneの性能を意図的に低下させている
結論を言うと、やはりiPhoneのバッテリー劣化はiPhoneの性能は下がる可能性がある。
この理由として、Appleはこう説明する。iOSにはiPhoneのバッテリーが劣化していることを検知し、プロセッサの処理速度を抑制する仕組みが内蔵されている。これによって、デバイスの予期せぬ動作を防ぐことができている。
同問題について、Appleは以下のようなコメントを発表している。
我々のゴールは、ユーザーに対して最高の体験を提供すること。その中には、端末の総合的パフォーマンスとデバイスの寿命を伸ばすことも含まれている。しかし、リチウムイオンバッテリーは低温状態、もしくは古くなった時に、バッテリーの容量が減少することがある。そうなった時に、デバイス内の部品を守るために、突然のシャットダウンが発生することがある。
昨年、AppleはiPhone 6 / 6s / SEに、突然のシャットダウン問題を解決するためのOSアップデートを公開した。この機能は、iPhone 7においても「iOS 11.2」で提供しており、他の端末にも同様の機能が搭載される予定である。
つまり、Appleは突然のシャットダウンを防ぐために、意図的にプロセッサの処理能力を下げる機能を搭載していると言うこと。しかし、それはユーザーに対して端末の買い替えを促すためではなく、デバイスを保護するためのものである。
同問題が指摘されてから、Appleはユーザーに対してiPhoneの買い替えを促進するために、iPhoneの性能を落としているのではないか、という指摘や議論が巻き起こったが、Appleの回答は正当なものであると言える。
しかし、このコメントを伝えたTechCrunchのMatthew Panzarino氏は、「Appleはこの事実をユーザーに説明するべき。事実を広く知らせる必要がある。」と指摘する。TechCrunchを通じて、間接的に明らかになった事実ではあるが、Appleから直接ユーザーへのコメントを出すべきであるということだ。
ちなみに、iPhoneのバッテリー劣化がiPhoneのパフォーマンスに影響することが分かった以上、今後はiPhoneのバッテリーを劣化を防ぐことが大事になる(もしくはパフォーマンスの低下を実感しているなら、バッテリー交換ができないか、Appleに相談するのも手かもしれない)。
バッテリーを劣化させないためには、暑いところに放置したりしないなど、ユーザー側の努力も必要になる。Appleもバッテリーライフを伸ばす努力をしているというが、長く使い続けたいのであれば、iPhoneの使い方を今一度見直すことも大事なのかもしれない。
[ via 9to5Mac ]