Appleが極秘で開発していたスマートスピーカー「HomePod」。5年も前から開発計画はスタートしていたようだが、残念ながら当初発表していた12月の発売は失敗に終わってしまった。
次なる目標は2018年初頭。「Amazon Echo」や「Google Home」といった他社製品に遅れを取る形となるが、現在最後の仕上げを行なっているとみられる。
しかし、この「HomePod」。実はAppleは、何度も開発を中止した経緯があるようだ。
知られざる「HomePod」の開発秘話が今語られる
Bloombergによると、BoseやJBLなどのハイエンドオーディオデバイスより良いスピーカーを作ることを目的として、Macのオーディオ技術者たちが立ち上げたプロジェクトが、「HomePod」のはじまり。今から5年前の2012年の話だ。
オーディオ技術者たちは、自身の持つ本来の仕事を行うと同時に、同サイドプロジェクトを進行させていったが、技術者たちの日常の業務が大変だったからか、プロジェクトは幾度となく中止と再開を繰り返したという。
断続的にプロジェクトを進行させていった結果、プロジェクト開始から2年後の2014年に、同製品は正式に開発コード(B238)を与えられたことで、開発は本格化する。
Appleは複数の試作機を作り製品をテストしていたとみられ、Apple Storeの従業員に頼み、大学の寮やワンルームアパート、一般家庭の居間などあらゆる環境で試験を行なったという。
しかし、開発をスタートしてから3年後の2015年に、Amazonからスマートスピーカー「Echo」が登場したことで状況は少々変化。
「Echo」は他のデバイスに依存することなく動作するスタンドアロン製品。クラウドベースのオペレーションシステムを搭載し、デベロッパーはスキルを開発することで多数の機能を実装することができる。
それに対して、「HomePod」はiPhoneの拡張版、つまり延長線の製品であるとBloombergは言う。音声認識技術は「Siri」の方が優秀かもしれないが、あくまでiPhoneを経由して動作するアクセサリにすぎない。「AirPods」のように。
このことからBloombergは、「HomePod」は音質を重視した製品であると伝えており、スマートスピーカーとしての能力は「Amazon Echo」を下回る可能性があると指摘する。
「HomePod」は先日の報道で、発売が12月から2018年初頭に延期している。何が原因で発売が遅れたのかは不明だが、”HomePodは主力端末という位置付けではなく、あくまでアクセサリ”、他社のスマートスピーカーに比べて発売が遅れたのは、こういった考えがあったからなのかもしれない。