来年以降に発売するiPhoneやiPadには、QualcommのLTEモデムではなく、IntelやMediaTekの製品が使用されることになるようだ。
米メディアのThe Wall Street Journalによると、AppleはすでにIntelやMediaTek製のLTEモデムを使用する方向で動いているとのこと。現状では確定はしていないものの、問題がなければ遅くても2018年6月以降にサプライヤーを変更する予定であると伝えている。
来年発売のiPhoneやiPadにはQualcomm製のチップは利用せず?
AppleがQualcomm製チップからIntel・MediaTel製のチップに変更する理由は、性能や価格に問題があったからではない。
AppleとQualcommは、2017年初頭からLTEモデム技術に関する特許侵害訴訟で係争中。Qualcommは不当なライセンス料を米連邦取引委員会やAppleに求めたとして提訴されており、10億ドルの支払いを要求されている。最初の提訴後に、Qualcommは必要とするソフトウェアの共有を停止し、話題になっていた。
これまで、QualcommのLTEモデムに依存気味だったAppleだが、同訴訟が起きてからサプライヤーの見直しに迫られている。事実、「iPhone 7」シリーズの際に、Intelもサプライヤーに加え、Qualcommの独占体制が崩れている。さらに来年には、新たにMediaTekを加えることになるという。
WSJの報道によるとQualcomm製のLTEモデムを使用しないことになるため、サプライヤーは全部で二社になることに。
ちなみに、「iPhone 7」シリーズの際は、IntelとQualcommのLTEモデムが使用されていたが、Intel製チップの性能が劣るため、性能を均一にするべく、あえてQualcommのLTEモデムの性能を引き下げていたことが話題になった。
つまり、いくら係争中だからとはいえ、高い技術力を持つQualcommをサプライヤーから外すことにはデメリットもある。来年の新型iPhoneの発売までに、IntelやMediaTekのチップの性能がどこまで向上するかは不明だが、もしQualcommをサプライヤーから外すとなれば端末の性能が下がる可能性は十分にありえる。
今後、同計画は変更される可能性があるとWSJは伝えているが、果たしてどうなるのだろうか。ちなみに、今年発売の「iPhone 8」シリーズや「iPhone X」にはIntel製、Qualcomm製の2種類のモデムが使用されているとのことだ。
[ via 9to5Mac ]