以前、ソフトバンクは傘下の米SprintとT-Mobile USを経営統合させる方向で動いていることが報じられていたが、いよいよ大筋合意に至ったようだ。
日本経済新聞によると、ソフトバンクグループはドイツテレコムと、SprintとT-Mobile USの経営統合で大筋で合意。早ければ月内にも正式発表される見通しだという。ソフトバンクはSprintに83%、ドイツテレコムがT-Mobile USに64%を出資しているが、両社は株式交換による統合を協議しているとのこと。
両社はT-Mobile USとSprintの統合に大筋合意 ただし実現のハードルは高い?
業界3位のT-Mobile USと4位のSprintが統合することで、AT&TやVerizonの2強に匹敵するほどの事業規模に。この経営統合が実現すれば、米国の携帯電話市場の再編が大きく進むことになる。
ただし、経営統合への道のりは簡単なものでもなさそうだ。というのも、経営統合には米国司法省や米国連邦通信委員会(FCC)からの認可が必要となるのだが、大手携帯電話会社が4社から3社に減ることで競争が阻害されることに、当局は難色を示す可能性があるためだ。
SprintとT-Mobile USの経営統合に関しては、2014年にソフトバンクがドイツテレコムからT-Mobile USを買収する方向で検討したことがある。しかし、この時はFCCの反対によって阻止されており実現に至っていない。
当時のオバマ大統領から、米政権が規制緩和に対して前向きなトランプ大統領に移行したため、実現する可能性は増したとは言え、司法省やFCCが認めるかどうかは十分なハードルと言えそうだ。
ソフトバンクがなぜT-Mobile USの買収を目指すのか。その理由は、米国の事業規模を拡大させ、収益力を高めるのはもちろんだが、次世代通信規格「5G」を使ったIoT事業で大手2社に対して優位に立ちたいからだ。
ソフトバンクグループは昨年7月に、イギリスの半導体大手アーム・ホールディングスを買収。さらにはIoT事業を主とするベンチャー企業に投資するファンドを設立し、IoT企業への投資を惜しみなく行なっている。これらの強みを生かし、ソフトバンクは米国の携帯市場を席巻する狙いがあるとみられる。
近く、ソフトバンクとドイツテレコムは出資比率などの最終交渉に入るとされている。米国にAT&TやVerizon規模の大きな通信事業者が誕生するのかどうか、注目が集まる。