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【レビュー】英RHAの高級イヤホン「T20i」は調和のとれたハーモニーを奏でる業界トップクラスのダイナミックイヤホン 生音が耳へダイレクトに伝わり、聴いていてとても心地いい

世界には「イヤホン」と呼ばれる製品が山のように存在する。

性能やデザイン、搭載する機能など多種多様。価格も千円程度で買えるイヤホンから10万円以上するイヤホンまで様々だ。

もちろん価格が高い製品ほど性能が高いことが多く、高ければ高いほど良い製品に出会える可能性は高い。そうなると、確実に高音質なイヤホンを手に入れるには、ある程度のお金を積まないとダメなのだろうか。

実はそんなことはない。数あるイヤホンの中でも、中には10万円以上する製品に匹敵する性能を持ったイヤホンも存在する。

これから紹介するRHAの「T20i」がまさにそれだ。今回、僕はナイコム株式会社から同イヤホンを提供してもらって、試しに2週間ほどじっくりと使ってみた。

お恥ずかしながら、「RHA」というメーカーについて僕はあまり詳しくは知らなかったのだが、先入観なく実際に使ってみたところ、記事タイトルでも触れたとおり「T20i」は調和のとれた最高の音質をユーザーに届けてくれる素晴らしいイヤホンだった。

その魅力を、このレビュー記事で紹介しようと思う。「T20i」のスゴさが少しでも伝わったら幸いだ。

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「T20i」は玄人ユーザーでも使える高レベル優等生イヤホン 高いコストパフォーマンスも魅力的

今回、僕は日本でRHAのイヤホンを販売するナイコム株式会社から「T20i」という高級イヤホンを提供していただくことができた。

こちらが「T20i」のパッケージ。これはデモ機用のパッケージで、一般ユーザーが購入するときのものとは少し異なる。実際にパッケージの隅には「DEMO UNIT」と書かれているのがお分かりいただけるだろう。

パッケージ内にはイヤホン本体の他に、イヤーチップ(イヤーピース)、チューニングフィルター、取扱説明書が同梱されていた。

イヤーチップはこのような箱に入っていた。イヤーチップが入っている割にはかなり大きいなと思っていたのだが、開けてみると中には大量のイヤーチップが入っていた。

おそらく店頭で展示する時などに、定期的にイヤーチップを交換する必要があるからだろう。「Mサイズ」だけでも20個のイヤーチップが入っていたので、まさに替え放題。

取り出しても、次々と新しいイヤーチップが中から登場

ちなみに通常の製品版では、各サイズで2ペアずつのイヤーチップが用意されているようだ。

チューニングフィルターはこちら。このフィルターについてはあとから後述するが、フィルターを標準のものと取り替えることによって、ユーザーの好みに近い音質に近づけることができる。

そしてこちらが「T20i」のイヤホン本体。ステンレス鋼のハウジングは、メタルインジェクション(金属粉末射出成形)技術によって製造された滑らかな形状をしているのが特徴。エルゴノミックデザインを採用しているため、装着時のユーザーへの負担はほぼ皆無だ。

デザインは完全に玄人向け。外見の派手さはほぼなく、ポップな印象は皆無なため一般受けするデザインではないかもしれないが、光が当たるとキラリとメタリックな反射をする姿が見た者に高級感を印象付ける。

また、同イヤホンが秘めたる実力を主張しすぎないデザインが採用されている点についても、個人的にはとても気に入っている。

「T20i」はいわゆる耳掛け(シュア掛け)式と呼ばれるタイプのイヤホンで、イヤホンから伸びるコードを耳の裏側へ回して固定する仕組み。

この手のイヤホンはコードの素材や形によっては使っているうちに耳が痛くなってしまうこともあるのだが、「T20i」は形状を記憶するイヤーフックを採用しているため、ユーザーは自身の耳の形に合わせてイヤーフックの形を形成することができるため負担は少ない。

また、イヤーチップは半透明のとても柔らかい素材が使用されており、ユーザーの耳にジャストフィット。耳の中を圧迫したり、ゴワゴワした不快感な硬さを感じることもない。

イヤーチップの素材と配慮されたイヤーフックのおかげで、長い間着けていても痛くなることもなく、「T20i」はかなり快適な音楽環境を提供してくれる(この点は本当に素晴らしい!)。

オーディオケーブルの表面にはゴムの素材を使用しているようだが、質感はかなりしっかりしており、簡単に断線をするようなヤワな製品ではなさそう。

デバイスとの接続は金メッキが施された3.5mmミニプラグで行う。

最近は「iPhone 7」シリーズでイヤホンジャックが廃止された関係で、ワイヤレスイヤホンが主流になろうとしているが、バッテリーを気にせず使える上に多くのデバイスで使用できるという面においてはやはり安心感があるのは間違いない。

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生きた音がダイレクトに耳に伝わる見事なハーモニー

「T20i」の最大の魅力は音質の良さだ。このイヤホンで音楽を聴いた時のファーストインプレッションはまさに驚き。普段聴いていた曲が生まれ変わったかのような衝撃を受けた。

タイプはいわゆる「ドンシャリ」なのだが、ただ音を真正面に押し出す「ドンシャリ」ではなく、それぞれの音がきちんと整理されてスッキリとまとまった印象を受ける「ドンシャリ」だ。

イヤホンの奥から聞こえてくる音は、キレがあって非常にクリア。ひとつひとつの音の輪郭がくっきりしているので、どんな音も埋もれてしまうことがなく、楽曲の頭から終わりまで全ての音を伝えてくれる。

[ img via LiteWriting aka Loreen72 ]

そして、「T20i」は、アーティストの息遣いやバイオリンの弦に弓が触れた瞬間の音などがリアルに聴こえてくるので、まさに「音」が生きているという感覚を味わうことができる。

音が聴こえてくる方向や音との距離感も正確で、オーケストラの演奏を聴くと、どこからその楽器が鳴っているのか分かるほど。

また、音は耳元だけではなく頭の周りをふわっと包み込むように聴こえてくるので、目を瞑るとまさに目の前で演奏が行われているよう。

3万円前後のイヤホンというと決して安い部類の製品ではないが、「T20i」には10万以上もする超高級イヤホンの音色があるように感じた。

もし高級イヤホンを使ったことがない人が聞くとアメイジングな感覚を覚えると思う。なぜなら、ミドルクラスイヤホンでは聞こえなかった音がハッキリと聞こえてくるようになるはずだから。

ちなみに、同イヤホンはハイレゾ音質に対応している。高ビットレート音源でも十分クリアには聞こえるが、このレベルの製品であればぜひハイレゾ音源で音楽を楽しんでいただきたい。

僕も手元にあるハイレゾ音源で試してみたが、その威力は凄まじかった。この感動を文字で表現するには限界があるので、あとは店頭などで実際に聞いて確かめてみてもらいたい。

ちなみに、「T20i」の遮音性はそこそこ。完全なる遮音は実現できていないものの、外からの音はほぼ全てシャットアウトできている上に、外へ音が漏れることもほとんどない。遮音性に関するストレスは、僕はほぼ感じることがなかった。

ハウジングに秘められたパワフルドライバーが音楽の魅力を最大限に引き出す

この素晴らしい音質の秘密は、ハウジング部分に隠されたドライバーユニットにある。

搭載されているドライバーユニットの名前は「DualCoil(デュアルコイル)ダイナミックドライバー」。これはRHAが独自で開発したドライバーユニットで、ユニットの中には2つの独立した動力を持ったボイルコイルを配置。

外側のコイルには高中音域から高音域、内側のコイルには低中音域から低音域の音場が割り振られてあり、これらを組み合わせることで最高のハーモニーを実現している。

そのバランスはまさに絶妙。ダイナミックドライバーを搭載したハイエンドモデルは世界にも数多く存在するが、これほどの性能を持ったドライバーはそこまで多くはないだろう。

「T20i」には音質を調整するための3つのチューニングフィルターが存在する。

購入時から装着されている「リファレンス」の他に、低音域が増す「ベース(Bass)」と高音寄りの「トレブル(Treble)」の2種類だ。

フィルターを変えることで音質が劇的に変わるわけではないが、これらのチューニングフィルターはいとも簡単に交換することができるので、若干の音の違いをその日の気分で変えて楽しんでみるのもいいかもしれない。

ちなみに、僕は「ベース」と「リファレンス」を時々入れ替えて使っている。

変えるタイミングは完全に気分で、元気が出ないときは低音重視のフィルターにしてハードなロックをガンガンにかける。聴き始めて30分もすれば自然と体はイケイケモードに入っているため、その日の活力をチャージするにはもってこいだ。

今回紹介している「T20i」には、「T20」という前モデルが存在する。性能的にはさほど違いはないようだが、「i」が名前の後ろについた理由は、Apple製品と接続した時に音声コントロールが可能になるリモコンがケーブル途中に配置されたから。

このリモコンを使えば、ボリュームの上げ下げや再生開始/停止などをコントロールできるようになるため、Apple製品を使うユーザーは間違いなく「T20i」の方を購入するべきだろう。

ちなみに「T20i」の実力に関しては、あのAppleも高く評価している。もともと「T20i」は、Apple Storeで独占販売された製品で、その後の2016年に販路が拡大。大型家電量販店などでも購入することが可能になった。

この「T20i」を開発したRHAだが、ここ数年で急速に世界的認知度が高まっており、そのハイコストパフォーマンスと確かな実力を高く評価する人も多い。

RHAの本社はスコットランドのグラスゴーにある

「T20i」を開発したRHAの本社は、スコットランドのグラスゴーにある。

グラスゴーは日本ではあまり馴染みのない都市のひとつかもしれないが、TravisやMogwaiなど有名ロックバンドがいるため、ロック繋がりで知っている方もいるかもしれない。

[ img via Michel Curi ]

どちらかというとRHAの「T20i」は、このグラスゴー出身のロックバンドの曲調がよく似合う。メリハリのある低音は聴いていて非常に心地よいため、上記のアーティストに似たジャンルの楽曲を主食にしている方にはピッタリだろう。

ただ、ロックな曲が合うからといって他のジャンルの曲が合わないわけではなく、ジャズやソウル、クラシックからEDMまでどんな曲でも幅広くオールマイティに使うことができるため、とても頼もしい。

「T20i」の悪い点を挙げるのはいまいち難しいが、強いていえば、ケーブルの長さが少し長すぎることくらいだろうか。

ケーブルの長さは約140cmと、一般的なイヤホンよりも20cm程度長め。そのため、道を歩きながら使うにはケーブルがダラっと垂れてしまいがち。

安全のためにどこかに引っ掛けたりしないように注意するのはもちろん、断線などによる故障には気をつけてもらいたい。

ちなみに、RHAは購入から3年間は品質を保証している。これほどまでに長い期間を保証できるということは、それだけ製品への絶対の自信があるということだろう。万が一、保証期間中に故障してしまってたとしてもすぐに新品に交換してもらえるなどサポートも手厚いようなので、購入後も安心して使えるはずだ。

「T20i」を「VRゲーム」のヘッドホンとして使う贅沢

「T20i」の活躍する場は、何も音楽を聴くときだけはない。これほどまでに優秀なイヤホンならば、映画やゲームでも生かされるのではないだろうか。

結論から言おう。映画に使うのも、ゲームに使うのも断然アリだ。「T20i」の性能をもってすれば、ほぼ全てのコンテンツは迫力が増すだろう。特に爆発シーンなどが多いアクション系の作品なら尚のこと。

ここ最近、僕は今流行りの「VRゲーム」にどっぷりなわけだが、「T20i」をヘッドホンに使うことで、ただでさえ没入感が高いコンテンツが、さらにもう一段上の没入感を味わうことができた。作品によっては、まさに自分がゲーム世界にいるかのような錯覚を覚える。

高い音質がそうさせるのか、それとも音の出る方向や距離感がハッキリしているからなのかは分からないが、ゲームに同イヤホンを使う贅沢さを僕は味わうことができた。

結論:高い性能と驚愕のコストパフォーマンスを実現した「T20i」は名機

以上が「T20i」の使用感。

数字やデータを持って性能を表現することが難しいため、僕の主観的な感想で終始してしまった感もあるが、このレビューで僕が伝えたかったのは、「T20i」は10万円を超えるようなハイエンドイヤホンに匹敵するパワーを持った製品であるということだ。

これだけ高い性能を実現したイヤホンは、世界的にもそう多くはないだろう。しかも、それが3万円程度で手に入るというコストパフォーマンスの高さに驚愕。正直かなりお得だと言える。

日本でも知名度が徐々に高まっているように、世界のオーディオマスター達に人気が出てきているのも頷ける。ミドルクラスのイヤホンを探している人はもちろん、ハイエンドイヤホンを探しているユーザーにもオススメできる良製品であることは間違いない。

もし、「T20i」に興味が出た人は、以下から商品をチェックをしてみてほしい。クオリティに関しては僕から太鼓判を押しておくが、決して安い買い物ではないため、できれば買う前に店頭などで試聴して自分好みの音質かどうかを確かめてから購入してもらいたい。

「T20i」は現在、RHAの公式サイトApple公式サイトやAmazon等でも購入可能。カラーは「ブラック」の他にも「シルバー」も用意されているので、お好きなカラーをチョイスしよう。