「iPhone 6s / 6s Plus」から、AppleはiSightカメラのレンズカバーに硬度の高いサファイアガラスを使用しており、少しくらい硬いもので引っ掻いたとしても簡単に傷がつくことはない…はず。
このサファイアガラスでできたカメラレンズカバーは本当に強い硬度を持っているのだろうか。これを検証した動画が公開されているので詳しく紹介しておこう。
傷がつきやすい理由はサファイアガラスの純度が低いことが原因か
今回の検証動画を公開しているのは、海外YouTuberの中でも有名なJerryRigEverything。事の発端は、先日JerryRigEverythingが公開した「iPhone 7」のスクラッチテストから始まった。
このスクラッチテストは「iPhone 7」を鍵やナイフなどの硬い道具で引っ掻いて、同端末が耐えられるのかどうかを実験したものなのだが、この検証内ではカメラレンズカバーについても検証が実施されており、本来傷つくはずがない硬度6の道具でも簡単に傷がついてしまうことが発覚。
@Lunnzies Not true. Camera lens cover and top of Home Button both Sapphire. #iPhone7
— Philip Schiller (@pschiller) 2016年9月17日
これを受けて、とあるユーザーがAppleの上級副社長であるPhil Schiller氏に、Twitter上で「iPhone 7はカメラレンズカバーにサファイアガラスを使用していないのではないか」という指摘をしたところ、同氏が「iPhone 7」にはサファイアガラスが使用されていると回答していることに疑念を抱き、今回の検証動画の撮影を行なったとのこと。
話は今回の検証動画に戻る。今回の検証では、実際にサファイアガラスが使用されているTISSOTの腕時計と「iPhone 7」を並べ、それぞれのガラス製カバーを硬度の高い道具で引っ掻くというもの。
結論から言うと、TISSOTの腕時計はモース硬度8(数字が大きいほど硬度が高い)の道具で傷がついたのに比べて、「iPhone 7」のカメラレンズカバーは硬度6で傷ついてしまうことが判明(ちなみに、硬度6とはナイフでギリギリ傷がつかないレベルの硬さ)。
この検証のおかげで、やはり「iPhone 7」に採用されているサファイアガラスは、一般的に硬度の高いと言われるサファイアガラスよりも硬度が低いことになる。
しかし、なぜサファイアガラスと謳っているにも関わらず、「iPhone 7」のカメラレンズカバーは傷がつきやすくなっているのだろうか。
JerryRigEverything曰く、この問題の原因は、同端末に採用されているサファイアガラスに含まれるサファイアの含有量が少ないことにあるという。
電子顕微鏡や、蛍光X線分析器と呼ばれる機械でレンズカバーを分析した結果、レンズの内側は外側部分に比べてサファイアの含有量が少なく、またカーボンやシリコンといった不純物もいくらか含まれており、TISSOTで使用されているサファイアガラスに比べて硬度が低くなってしまっていると指摘されている。
「iPhone 7」に採用されているサファイアガラスは純粋なサファイアガラスではなく、あくまで強化ガラスをサファイアコーティングしたものでしかないため、硬度の高い道具でスクラッチした場合にどうしても傷がつきやすいのだろう。
今回の検証から言えることは、サファイアガラスとはいえども場合によっては簡単に傷がつくこともある。iPhoneを硬いものにぶつけたり、引っ掻いたりしないように普段から気をつけるべきだということだ。
[ via The Verge ]