9月26日、Microsoftは千葉県・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2024」にあわせて、Xboxの新作タイトルに関する情報番組 「Xbox Tokyo Game Show 2024 Broadcast」 を配信。Xboxプラットフォームで配信される、新作タイトルの最新情報が発表された。
この配信に先立ち、当媒体ではMicrosoft Gamingのグローバルパートナーシップ・ビジネスデベロップメント部門でパートナーシップディレクターを務める加藤芽奈氏へのグループインタビューに参加する機会を得た。
今回のインタビューでは、Xboxのグローバルパートナーシップ展開における日本のパートナーシップ強化ディレクターとして、加藤氏がどのようにパブリッシャーとの関係を深め、日本発のゲームの海外展開を推進しているかを伺うことができた。本稿では、そのインタビューの内容をお届けする。
ーー きょうはよろしくお願いします。早速ですが、今回の 「Xbox Tokyo Game Show 2024 Broadcast」 のテーマ、伝えたいキャッチフレーズを一言で言うとどうなりますか。
加藤氏:
Xboxはファーストパーティ、サードパーティ共に強いラインナップで攻めていきたい。それを感じ取れる十分な内容になってるかと思います。
ーー アジア地域において今後Xboxの存在感を増したり、パートナーシップを深めていきたいということですけれど、現在アジア圏のユーザーから注目度が大きくなっているというのは、何かキッカケのようなものがあったのでしょうか?
加藤氏:
私の個人的な推察も含めますが、たとえば、日本でXboxが初めて出たときに 「黒船」 などと表現されましたが、その印象はまだまだ残っているのかなと感じています。一方で、Xboxはさまざまなデバイスでゲームをプレイできる環境の構築に重きを置く戦略をとっていますが、(この戦略上において) アジアは絶対的に成長が大きい市場だと見ています。
コンソールだけでなく、PCやクラウド (Xbox Cloud Gaming) 経由、さらには各社から発売しているハンドヘルドデバイスなど、さまざまなデバイスで遊ぶことができる。遊びの幅を持たせるということは、アジア地域において遊べる環境が広がっていくということ。これまで難しかったアジア地域における大きな成長に繋がっていくと、我々はみています。
ーー 最近はコンソールが高額になってきていて、他社も価格を下げられないでいます。そのなかで、Xbox Game Passを通じてスマートフォンなどでもリッチなゲーム体験ができるというのはすごく先進的なことをされていると思います。それでは、今後Xboxのコンソール事業はどのようになっていくのでしょうか。クラウドを利用したサービス等が中心になっていくのでしょうか。
加藤氏:
もちろん、そのお考えのとおりだと思っています。そして、これまでフィル・スペンサーやサラ・ボンドも言い続けていることですが、それが 「成長の鍵」 だと我々は思っています。色々なエクスペリエンスを色々な場所でできる、たとえば先日発表した 「Fire TV Stick」 などもそうですけれど、ヘビーなユーザーじゃなくても、このデバイスがあればXboxのプラットフォームへエントリーできる。エントリーポイントが増えるということは、それだけ手に取ってもらいやすい環境が出来て来ているのかなと思っています。
ーー ユーザーが払うコストを低めにしたことで、手に取りやすくなっているのでしょうか。いまコンソールと言うと10万円近くになってきてしまっていて、その価格帯だと日本のユーザーもコンソールに対して手が出しづらくなってきています。いろんな収入世帯のユーザーがゲームに触れやすくするような施策というのはどれだけ考えられているのでしょうか?
加藤氏:
具体的なところに関してはお話しできないですが、色々なユーザーのニーズに応えることが重要だと思っています。エントリーポイントを増やしていくことが、ユーザーに応えていくということに繋がるのかなと思っています。
ーー 先ほどコンソールの価格についてのお話があったと思うのですが、たとえば他社などでも大幅な値上げをしたことでユーザーからネガティブな反応があったりもしました。Xboxも他社ほどの値上げ幅ではないにせよ、コンソールは値上げしていましたが、それに対してユーザーからの反応や、売り上げに直接的な影響はあったのでしょうか?
加藤氏:
これは簡単に下せる決断ではなく、ユーザーへの影響も理解しています。しかし、プレイヤーの皆さんに最高のXboxエクスペリエンスを提供し続けるために、市場の状況変化による現地価格の影響を定期的に評価し、価格設定を調整する必要があると思っています。一方で、日本で発売する 「Xbox Series X – 1TB デジタル エディション (ホワイト)」 や 「Xbox Series S – 1TB デジタル エディション (ホワイト)」 についてはユーザーから反響をいただいています。来月販売を開始できることを楽しみにしています。
ーー アジア圏では、ゲームをクラウドで遊ぶユーザーが多いのでしょうか?それともコンソールで遊ぶユーザーが多いのでしょうか?
加藤氏:
多くのプレイヤーがコンソール上でもクラウドゲーミングを楽しんでいるので、比率を測定することは難しいと思います。ただ、最近はクラウドはゲーム業界だけでなくさまざまなコンテンツにとって成長していることを踏まえると、同じように成長の大部分を占めているということは言えると思います。我々としても期待をしているというのも大きいところです。
ーー 長年サードパーティとの付き合いをされてきた加藤さんの感触として、現在の役職に就任されてからこの1年で、日本・アジア地域のサードパーティからの注目度に変化はありましたか?
加藤氏:
業界の流れもあるのかなと思うのですが、クロスプラットフォームやマルチプラットフォームというキーワードのなか、この数年 (Xboxに対する注目度が) 大きく上がっているのかなと思っています。我々としてもコンペティターの方達が活躍することが市場を活性化させると思っていますし、パートナーの方々が元気でいること、コンテンツが売れて、ユーザーがいて……というのが、ビジネスのおいてはとても大事だと思っています。
私が現職に着任する前からあることですけど、私自身も色々とお話をさせていただいている中でもそういったお話をお聞きしています。
ーー 感触としては良くなってきている?
加藤氏:
そうですね。この1年に限った話ではないですが、徐々にそうなっていると聞いています。
ーー 加藤さんは、日本の中で割と大きなパプリッシャーと付き合うことが多いのでしょうか?それともインディーズと付き合うことが多いのでしょうか?どういう体制で、どういう向き合い方をされているのでしょうか?
加藤氏:
私の責任範囲は、大手のパブリッシャーさんが基本です。インディーの方にはまた別チームがいて、私がそのサポートをしているような状態です。日本における包括的なリーダーシップとしてサポートしている感じです。私自身がスタジオ前 (プロジェクトが本格的な制作に入る前の準備段階や企画段階) を経験していることもあって、インディーズには知ってる方々がすごく多くて、ネットワークもありますので、そのブリーチ (異なるチームや関係者同士の連携やサポートを行っているという意味) もさせていただいているという感じです。
ーー 日本の市場をどう分析していて、日本に対してどのように働きかけていくか、考えを教えていただけますか?他のアジア地域と違う点など教えていただければ。
加藤氏:
私はサードパーティとのお付き合いがあって、そこを通しての考えというところで言うと、日本の会社さんにとって日本市場はホームグラウンドなので非常に大事に思っています。自分の足元のマーケットが元気じゃないとなかなか難しいというところがありますので、引き続き注力していきたいというのは変わっていません。
アジアと違う点と言うと、やはり日本はプレイヤーもパブリッシャーもすごく成熟しているんですね。歴史が長いというのもありますし。そういった意味では、日本はアメリカやヨーロッパに比べてマーケットのサイズとしては小さいかもしれないのですけれども、影響力であったり、持っているコンテンツやIPの独特さのある 「ジャパニーズ」 というのは、Xboxの中でも非常に特別な部分を占めているというところがあります。その辺がひとつアジアとは違うところかなと思っています。
日本のチームがここ (品川本社) にいますけども、日本において日本のパブリッシャーをサポートすることが日本市場を元気にすることだと思っていますので、そういう意味ではアジアに比べても特別なのかなと思っています。日本は職人技的なところがあり、コンテンツも独特ですし、バリエーションもすごいですし、そういったところでは 「日本発」 であるというところを意識していくことが、日本の市場を元気にしていくことかなと思っています。
ーー 今回発表したタイトルの中で、加藤さんのイチオシのタイトルは?
加藤氏:
個人的には『みんな大好き塊魂アンコール』はカラフルで好きで、とても日本的でいいなと思いますね。あとはビッグタイトルで言うと『メタファー:リファンタジオ』であったり、『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』なんかはジャパニーズな感じで、世界にも誇りを持っていけるかなと思います。あとは面白いところでいうと『オーバーウォッチ2』と『僕のヒーローアカデミア』のコラボなんかも。これはファーストパーティーですけど、とても面白いと思います。
今回の 「Xbox Tokyo Game Show 2024 Broadcast」 は、バリエーション豊かなところがアジアの特徴を捉えていると思うんですね。そういう意味では、私としてもとても楽しみなライブになっているという感じです。
ーー 最後に、日本のユーザーへのメッセージをお願いします。
加藤氏:
今回のブロードキャストの内容を見ていただくとわかると思うんですが、これまでになかったようなフランチャイズが初めて登場したり、スクウェア・エニックスさんからは多数のタイトルが来ていただいたりとか、インディーズも元気で、『スリッダーヘッド』であったりとか、キューゲームズからは可愛いタイトルが出てきたり。これからのXboxに期待をしてもらえるようなブロードキャストになっていると思います。それを含めて楽しみにしてもらえればと思います。
ーー ありがとうございました!
(画像提供:Microsoft)