皆さんは、「Xiaomi(シャオミ)」という中国のスマホメーカーを知っているだろうか。
Xiaomiは最近、Appleの「MacBook」にとてもよく似た薄型ラップトップPC「Xiaomi Mi Notebook Air」を発売するなどで少し注目を浴びたメーカーだが、実は中国国内でAppleの「iPhone」などハイエンド端末に負けないような高品質なスマホを作っているメーカーだ。
Xiaomiについては、個人的にも前々から気になっていたメーカーで、一度でいいので同社の端末を触ってみたいと思っていたのだが、嬉しいことに「Xiaomi Redmi Note 3 Pro (小米科技 红米Note 3 全网通版)」というスマホ(日本では未展開)を触ることができた。
今回、海外の通販サイトGearBestにご協力いただいて上記端末を試すことができたので、使ってみた感想や同端末のスペックなどをお伝えしようと思う。
端末のデザインや特徴について、まずは外観からチェック
スマホはやはりカッコ良さも大事。デザインが優れていないことには、使っていても楽しむことができない。なので、まずは外観からチェックしていこう!
まず、こちらが「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の化粧箱。箱のデザインはどことなく「かの有名な」スマホをイメージさせるような白いデザインをしていて、側面には端末名が中国語で印字されている。
背面には端末の名前や使用について、ある程度詳しく書いてある。
今回入手した端末は「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」のRAM容量2GBでストレージ容量16GBの下位モデル。上位モデルになると、RAM容量が3GBになるので、よりハイスペックな端末を求める人は上位モデルを購入しよう。
「かの有名な」スマホの箱と比べると、どことなくデザインが似ている気がする。
中を開けるとこんな感じ。隙間なくぴったりと箱に埋め込まれるようにデバイスが梱包されていた。
同梱物は充電器と充電用のMicro-USBケーブル。充電器に関しては5V-2Aの充電に対応しているので、そこそこ早い充電が可能だが、同スマホはQualcomの急速充電「Quick Charge 3.0」に対応しているため、出来れば「QC3.0」に対応した充電器を使用するとより早く充電ができるだろう。
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の本体を取り出してみる。ディスプレイサイズは5.5インチとかなり大きめの端末で、どちらかというとファブレットと言われるべきサイズかもしれない。
Appleの製品で比較すると、ディスプレイサイズや端末サイズともに「iPhone 6 Plus / 6s Plus」とほぼ同じ大きさ。「iPhone 6s」と比較するとこのサイズ差で、一回り大きいくらいかな。
ちなみに画像だと伝わりづらいと思うが、「戻る」ボタンと「メニュー」ボタンが普通のAndroid端末と逆になっている。普通は左が「戻る」ボタンだが、この端末は左が「メニュー」ボタン、右が「戻る」ボタンで左手でスマホを操作する僕としては少しストレス。
ディスプレイの解像度は1,920×1,080と「iPhone 6s Plus」と同じ。ppi(pixels per inch)も403と、こちらも「iPhone 6s Plus」などと同じくらい高いので、ディスプレイに映し出される字はとても滑らか。
底面部には「Micro-USB」ポートが備え付けられていて、充電やPCとの同期はこちらで行う。
本体右サイドには音量調節ボタンと電源ボタン、左サイドにはSIMスロットが存在する。後述するが、SIMスロットにはmicroSDが挿入可能で、SDカードが外部ストレージとして使用できる。本体上部には、3.5mmヘッドフォンジャックと、iPhoneには存在しない赤外線センサー。
次に背面について。家に到着したばかりの端末には背面に簡単に剥がせるシールがつけられており、端末の型番などが書かれたシールがさらにその上から貼られている。これらのシールは粘着力がそこまで強いものではないので、簡単に剥がすことができる。
背面はメタリックシルバー。金属質の素材が使用されているが、端末の上下には樹脂のような素材も使用されているようだ。背面の上部には16メガピクセルのカメラとLEDフラッシュ、そして指紋認証のためのセンサーが搭載。背面の最下部には大きめのスピーカーが搭載されている。
ちなみに、指紋認証をすることで端末のロック解除をスムーズに行うことができるのだが、その認証精度はかなり高く、読み込みも素早い。誤認識をしたり、読み込みができないこともほとんどなく、快適に使えるのが非常に嬉しい。
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」は2万円以下で買える高性能スマホ
それでは、今度は「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」のスペックについて詳しく紹介していこうと思うのだが、まずは同端末のスペック表を見て、どんな性能なのか確認してほしい。
ちなみにスペックが比較的似ている「iPhone 6 Plus」のスペック詳細を隣に掲載しておいたので、ぜひ比べてみてもらいたい。
機能 | Xiaomi Redmi Note 3 Pro | iPhone 6 Plus |
---|---|---|
ディスプレイ | IPS液晶HDディスプレイ | RetinaHDディスプレイ |
ディスプレイサイズ | 5.5インチ | 5.5インチ |
解像度 | 1,920×1,080ピクセル(403ppi) | 1,920×1,080ピクセル(401ppi) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 650 1.8GHzヘキサコア ( 2 x A72 + 4 x A53 ) |
A8プロセッサ (64bit) M8モーションコプロセッサ |
RAM + ストレージ | RAM3GB + 32GB RAM2GB + 16GB |
RAM1GB + 16GB / 64GB / 128GB |
OS | Android 5.0 (MIUI 7) | iOS 8 ~ 10 |
バッテリー | 4,000mAh | 2,915mAh |
リアカメラ | 1,600万画素 | 800万画素 |
フロントカメラ | 500万画素 | 120万画素 |
SIMサイズ | MicroSIM / nanoSIM | nanoSIM |
microSD | 最大128GB (nanoSIMスロットと共用) | なし |
通信 |
802.11a/b/g/n/ac |
802.11a/b/g/n/ac Bluetooth 4.2 |
センサー | 指紋認証センサー ジャイロセンサー 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー |
Touch ID (第1世代) ジャイロセンサー 加速度センサー 近接センサー 環境光センサー 気圧計 |
サイズ / 重量 | 152 x 76 x 8.7mm / 164g | 158.1 × 77.8 × 7.1mm / 172g |
カラー | シルバー / グレー / ゴールド | シルバー / スペースグレイ / ゴールド |
価格 | 32GB:194.69ドル(約19,973円) 16GB:144.76ドル(約14,851円) 上記は記事執筆時の価格 |
現在は販売終了 |
「iOS」のようなファームウェア「MIUI 7」が搭載
Xiaomi端末の一つの特徴。それは、「MIUI 7」という「Android 5.0.2 Lollipop」をベースにしたiOS風カスタムROMが搭載されているという点。
今回僕が入手した「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」も例外ではなく、Xiaomi独自のファームウェア「MiUI 7」が搭載されていて、「Android 5.1.1 Lollopop」をサポートしていながら、UIはほぼ原型を留めていないほど改変されている。
このUIが使いやすいかどうかについては、僕もまだ使い始めなので判断は難しいが、iOSで慣れている僕からすると割と使いやすいという印象だ。
そういった意味では、今までAndroidを使ったことがない人にとってはエントリーモデルとして最適だと言える。
ちなみに初回起動時は、使用言語とロケールについて設定することになるのだが、言語は「日本語」が用意されているので、基本的な使用は問題ないだろう。ただ、設定内などは所々で英語が混在するので英語が全く分からないという人は少し苦労するかもしれない。
そして、ロケールについては残念ながら日本の項目がない。僕が入手したモデルは中国版なので日本のロケールが入っていないとのことだが、グローバル版(Oversea Edition)には日本も存在するとのこと。
処理速度は「iPhone 6」と同等かそれ以上
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」を使ってみてビックリしたのは、処理速度が予想以上に早かったこと。値段にして2万円弱のスマホなので、そこまで高い処理性能を持っているとは正直思ってもみなかった。
試しにベンチマークアプリで、内蔵されているSoCなどのベンチマークテストを行なってみた。まずはAndroidで定番のベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」を使い、その後にiOS端末でおなじみの「GeekBench 4」でベンチマークを計測した。
結果は以上の通り。まずは「Antutu Benchmark」で計測したものだが、総合スコアは74317。順位にすると24位とまずまずの検討。ベンチマーク的な性能としては「Nexus 6」よりも若干劣り、「iPhone 6」と「iPhone 5s」のちょうど中間くらいの性能だ。
いずれの端末も「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」よりも高額だったことを考えると、同端末がどれほどコスパが高い端末であるかお分かりいただけるだろう。
次に「Geekbench 4」で計測したベンチマークテスト結果。こちらはiOS端末の「iPhone 5s」と「iPhone 6 Plus」「iPhone 6s」と比較してみた。
Xiaomi Redmi Note 3 Pro | iPhone 5s | iPhone 6 | iPhone 6 Plus | |
---|---|---|---|---|
シングルコア | 1384 | 1276 | 1534 | 1630 |
マルチコア | 2635 | 2092 | 2516 | 2915 |
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」に搭載されているSoCは、「Qualcomm Snapdragon 650」というミドルレンジのスマホ向けに製造されたもの。
ミドルレンジといっても性能は決して低いものではなく、2年前のiOS端末と同じくらいの性能を持つことを考えると、高負荷をかけるような作業をしない限り十分優秀な端末だろう。
内蔵されているRAM(メモリ)容量は2GBなので、こちらは「iPhone 6 / 6 Plus」よりも1GBほど多い。複数のアプリを立ち上げておくのにはどうしてもRAM容量が求められるので、ここは多いに越したことはない。
ちなみに僕が今回入手したモデルには上位モデルが存在し、そちらはRAMが3GBになっている。
指紋認証センサーの読み込み速度がかなり早い バッテリー持ちも1日ぐらいは余裕
普段からiOS端末の指紋認証システム「Touch ID」で慣れてしまった僕としては、「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の読み込み速度に驚いた。
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の指紋認証は背面のセンサーで行う。位置的には人差しや中指の指紋を登録して認証することになるだろう。
指紋認証をすればスマホのロックを解除することができるようになるのだが、Xiaomiの発表によると、指紋認証にかかる時間は0.3秒。触れて間もなく端末のロック解除に成功する。指紋の誤認証が起こることもなく、快適に使えている印象。
また、バッテリーライフについても触れておこうと思うのだが、「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」のバッテリー容量は4.000mAhと割と大きい。
フル充電にしてから継ぎ足し充電なしで使ってみたのだが、余裕で1日は持つ。2日目以降は使い方次第なところもあるので何とも言えないが、それでもiPhoneに比べたらかなり長いバッテリーライフを実現できているような気がする。
カメラ性能は1,600万画素と比較的高め
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」に搭載されている背面カメラは、1,600万画素とミドルクラスからハイエンドスマホの中では平均な性能を持つ。背面のど真ん中にカメラレンズが装備されているので、撮影しにくいということもなく使いやすい。
画質については特段、他のスマホと比べて高い画質というわけではない。ミドルクラス相応の画質といったところで、写真の画質にこだわりがある人はもっとカメラ性能が高いスマホを購入するべきかも。
試しに写真を撮影してみた。上が「iPhone 6s」の12メガピクセルカメラで撮影したもので、下が「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の16メガピクセルで撮影した写真。室内で撮影した写真で恐縮だが、両者の写真にはそこまで差はないか、もしかすると「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の方が総合的な画質は下かもしれない。
ちなみに、フロントカメラは500万画素でこちらも平均的だった。Skypeなどでビデオ通話する際には問題なく使える印象だ。
SIMスロットは少し特殊 デュアルスタンバイに対応
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」のSIMスロットの形状は少し変わっている。
どう変わっているかというと、中にSIMカード(nanoSIMとmicroSIM)を1枚ずつ入れられるデュアルSIMに対応しているほか、SIMカードの代わりにMicroSDカードを入れ、外部ストレージとして利用することができるという点だ。
ただ色々と制限があり、SDカードは128GBまで利用することができるが、SDカードを入れてしまうと代わりにnanoSIMを入れることができなくなる。
また、デュアルSIMによるデュアルスタンバイが可能だが、使うキャリアによっては通信ができる組み合わせと、そうでない組み合わせがある(auのSIMによるデュアルスタンバイは可能だけど、docomoのSIMのみのデュアルスタンバイはできない)など複雑。
ちなみに、同端末は日本の技適がついていないため、日本での使用はグレー。技適がないスマホは、海外ローミングSIMを利用している場合に関しては利用OKだったりとこちらも法律的に複雑。もしSIMによる通信を利用する場合は、しっかり調べた上で自己責任でお願いします。
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」は2万円以下で買える高コストパフォーマンス端末
以上が、「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」の詳細なスペックと、実際の使用感だ。
見た目は5.5インチ型の「iPhone」をちょっとゴツくした感じで、持った感じは意外と軽く、手に馴染むいい端末だと感じた。またスペックも「iPhone 6 Plus」程度の性能で、普段使用にもまったく問題はなし。フルHD画質なので、AbemaTVなどストリーミングを見るのにも最適で、セカンドスマホなどで使うとすればコスパ最高で非常にいい端末だ。
SIMカードを挿して使うには、技適の問題からあまりお勧めはしないが、家でWi-Fi運用する端末に使うなど使い方は様々。
個人的には中華スマホの進化を見せつけられ少し面食らってしまったが、安いスマホを探しているようだったら、「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」を購入してみてもありかもしれない。
「Xiaomi Redmi Note 3 Pro」は現在、GearBestで150ドルから180ドル(約1万5000円〜8000円)前後で販売中。
ちなみにGearBestとは海外の通販サイトで、日本の通販サイトに比べるとトラブルが発生する可能性が少なからずある。おそらくトラブルになるケースは少ないとは思うが、商品を購入する場合にはそういったリスクがあるということをしっかり認識し、あくまでも自己責任の上で注文を行うようにしてほしい。
また、GearBestにはTwitterの日本語サポートアカウントがあるので、何か分からないことがあったりトラブルに見舞われた場合には、こちらに問い合わせてみよう。
そういったリスクが怖い場合は、少し値段も高くなるがAmazonなどの他通販サイトで購入するのもありかもしれない。