『ポケモンごいた』先行試遊レポ。伝統ボドゲがポケモン仕様に!仲間との静かな連携や相手チームとの駆け引きが熱い

「ごいた」というゲームを知っているだろうか。ボードゲーム好きでなければ、初めて耳にする人も多いかもしれない。

「ごいた」は、江戸時代末期に石川県能登町・宇出津地区で生まれた、知る人ぞ知る伝承娯楽だ。将棋の駒に似た竹製のコマを使い、2人1組で相手チームと得点を競い合う頭脳ゲームで、運と戦略がほどよく交差することから「和製ボードゲームの傑作」と評されることもある。

宇出津という限られた地域で親しまれてきたこの遊びは、今では能登ごいた保存会の普及活動を通じて海を越え、世界のボードゲーム愛好家たちにまで広がっている。

その奥深い伝統娯楽に挑むのが、株式会社ポケモンだ。2025年12月18日(木)に、新作ボードゲーム『ポケモンごいた』が発売される。

発売に先駆けてメディア向けの先行体験会が開かれ、実際に『ポケモンごいた』を遊ぶ機会を得た。ルール自体はシンプルながら、ときに高度な読み合いが要求される本作。果たして筆者は本ゲームをどう楽しんだのか、その模様をお伝えしたい。

スポンサーリンク

『ポケモンごいた』はどんなゲーム?

今回発売する『ポケモンごいた』は、伝統ゲーム「ごいた」のルールを用いた2対2の協力対戦型ボードゲーム。

プレイヤーはランダムに配られた手持ちの8枚のコマを先にすべて出し切ると「あがり」となり、そのチームに得点が入る。これを繰り返し、合計150点に到達したチームが勝利となる。プレイ時間は20分ほどと短く、気軽に楽しめる点も魅力だ。

ゲームの中心となるアクションは、次の3つ。

  1. 【受け】:前の人が出したコマと同じコマを表向きで1枚場に出す。
  2. 【攻め】: 【受け】た後に、自分の好きなコマを表向きに1枚出す。相手が【受け】づらいコマを選ぶのがポイント。
  3. 【なし】:手番をパスしたいときに宣言する。

試合前には、まずはミュウツーとミュウ、2枚のポッポの合計4枚を裏返して混ぜ、1人1枚ずつ取り、ミュウツーとミュウを取った人がペア、ポッポを取った人がペアになる。ペア同士は向かい合って座る。

ミュウツーとミュウを取ったチームは、どちらかを「親」に決め、その人から反時計回りに【受け】と【攻め】を繰り返してゲームを進めていく。

ゲームの戦略性を高めているのが、「チーム同士で相談できない」というルールだ。味方がどんな手を狙っているのか、相手がどのコマを持っていそうかを読み合うことで、思惑が当たったときの楽しさや外れたときの笑いが生まれ、ゲームを大いに盛り上げてくれる。

登場するコマは、ミュウツー、ミュウ、リザードン、カイリュー、ピカチュウ、ライチュウ、ポニータ、コラッタ、ポッポの全9種類。それぞれ枚数と点数が異なり、ポッポが10枚、ポニータ・コラッタ・ピカチュウ・ライチュウが各4枚、リザードンとカイリューが各2枚。そしてミュウツーとミュウは各1枚の構成だ。

点数は10点から50点まで設定されており、最高得点の50点コマはミュウツー(王)とミュウ(玉)となっている。

スポンサーリンク

実際に勝負してみた。読み合いが熱い2対2の頭脳戦

細かいルールを一通りチェックしたら、早速チームを組んで『ポケモンごいた』をプレイしてみた。まず、それぞれのプレイヤーに8枚のコマが配られたら、トランプのように相手に見えないようにコマを持ってゲームスタートだ。

プレイマットの「受け」「攻め」と書いてある部分にコマを置いていく仕組みで、まずは左隣の人が出してきたポケモンに対して、同じポケモンで受ける。受けることができたら、好きなコマを出して右隣の人を攻めることができる。

受けられるポケモンがない場合は「なし」と宣言してパスをすることになり、もし受けられる場合でも戦略的にパスすることもできる。基本的にはこの流れを繰り返してゲームが進んでいく。

たとえばこの回の筆者の手持ちは、ポッポが4枚、ピカチュウが2枚、カイリューが2枚。左隣の人がポッポで攻めてきたので、まずはポッポで受けて、同じくポッポで右隣の人を攻めてみた。

「受け」のタイミングでは、基本的には同じポケモン同士でしか受けることができないが、ミュウツーとミュウだけは「ポッポとコラッタ以外の全てのポケモンを受けることができる」というルールがある。相手チームのどちらかの人のコマが少なくなってきてあがられる可能性がある、というときに便利に守れるコマだ。

ゲームを進めていくと、筆者がピカチュウで攻めたときに他の全員がパスし、もう一度筆者のターンになるシーンがあった。このときには、好きなコマを裏返して自分のコマを受け、また右隣の人を好きなコマで攻めることができる。

このようにどんどんコマを出していき、最初に8つのコマを出し切った人が「あがり」となり、最後に「攻め」に出したコマに書かれている得点をゲットできる。このとき、特別ルールとして、自分の「攻め」を他の全員がパスしてもう一度自分のターンになり、かつそのターンで「あがり」のとき、裏向きで「受け」に出したコマと「攻め」に出したコマが同じなら得点が2倍になるというボーナスがある。

筆者はこのボーナスを狙い、「全員がパス → カイリューを裏返して受けに置く → カイリューでフィニッシュして得点2倍(80点)」という作戦を立てていた。しかしその意図は相手に読まれていたようで、ミュウで受けられてしまってあがることができず、最終的に得点は相手チームのものとなった。

ルールそのものは覚えてしまえばシンプルだが、相手や味方が出すコマを読みながら、どのコマを残し、どの順番で使うかを判断するのが非常に難しい。

たとえばミュウではポッポを受けられないため、さっきの状況でポッポ4枚のうち1枚とカイリューを残していれば「あがり」になった可能性もある。しかし、まだ場に出ていないポッポが1枚残っていたこともあり、どのみちあがるのは簡単ではなかったかもしれない。

ちなみに、コマの右下に書いてある数字は、何枚のコマが場に出る可能性があるかを示す数字になっている。たとえば、すでに場にピカチュウが2枚出ていたら、ピカチュウはあと2枚残っていると計算できる。ただし、裏返して置かれているコマは自分以外の人は見ることはできないため、「もしかしたら裏返しのコマがピカチュウかも?」と考える必要もあるということだ。

筆者の参加した卓では「ごいた」経験者が相手チームに入っていたこともあり、やや一方的な戦いとなってしまっていたことから、筆者が入った初心者チームが逆転をするには一度に大きな得点を稼ぐ必要があった。筆者に配られたコマは重複したものが多かったので、先ほどのカイリューのように一発逆転を狙ったのだが、やはり経験者はそこを警戒していたようだ。

最後には、なんと配られたコマで相手チームに「手役」ができてしまうというラッキーが起こり、駆け引きを始める前に勝敗がついてしまった……笑

少し悔しかったので、2回戦目もスタート。しかし、ここでも筆者は少し良いところまでいったものの残念ながら最後まであがることができず。

チーム戦なので、もし自分があがれなくても、仲間があがれば勝利に近づくことができる。しかし、やはり経験者は状況を読むのが上手で、筆者も仲間も一度もあがることができずに負けてしまった。

元々の「ごいた」がチーム戦を採用しているのは、限られた情報の中で読み合いや駆け引きを楽しむためだ。プレイヤーは自分の手札しか分からないため、1人で戦うとどうしても運の比重が大きくなってしまう。

そこで仲間と敵が交互に並ぶ2対2の形式にすることで、仲間の手を推理しながら動いたり、敵の攻めを止めて仲間を助けたりと、協力プレイならではの面白さが生まれてくる。「攻め」と「受け」が交互に巡ってくるゲームの構造そのものが、チームで動くことで深みを増すように設計されているわけだ。

さらに、「ごいた」は相談禁止のため、プレイ中の挙動がそのまま仲間へのサインになる。仲間がピカチュウで攻められてパスした場合、「もしかすると仲間はピカチュウを持っていないのかも」と察することができ、その後の判断に役立つ。こうした静かなやり取りがうまく噛み合うと、チームとしての一体感が生まれ、とても気持ちよくプレイできる。

また、ミュウツーとミュウは終盤の決め手にもなる。ポッポとコラッタ以外のコマを受けることができるため、受け用のコマとして優秀ではあるのだが、誰かがすでに場にミュウツーもしくはミュウを1枚出していたり、自分がミュウツーとミュウの両方を持っているときには、攻めのコマとしても使うことができる。最後まで温存しておいてあがりのコマとして出せば、50点(2倍なら100点)という大きな得点をゲットできるというチャンスもある。

奥深さを手軽に。無料ティーチングアプリでルールを勉強

「ごいた」は非常に評価の高いボードゲームである一方、初期のルール理解が比較的難しいタイプのゲームだという側面があった。株式会社ポケモンはこの課題を解決し、『ポケモンごいた』に手軽に触れてもらうため、ルールを勉強できる無料ティーチングアプリを同時に開発している。

このアプリは2025年12月中旬にiOS/Android向けに配信予定で、ダウンロード無料(ゲーム内課金なし)で提供される。

アプリには、ルールを覚えるためのチュートリアル(スキップ可)のほか、プレイヤーを飽きさせない複数のモードが搭載される。

  • 腕試しモード: CPU相手に最大4連戦(1回戦から決勝まで)を行い、決勝戦クリアで殿堂入りとなる。コマや盤面表示の方法もそれぞれ2種類用意されており、達成アイコンを集めるといった収集要素も楽しめる。
  • 勝ち抜きモード: 殿堂入り後に解放され、連続対局で何連勝できるかに挑戦できる。

また、アプリのBGMには『ポケットモンスター 赤・緑』のBGMが使用されており、往年のファンには嬉しい要素となりそうだ。

「ごいた」の魅力そのままに初心者でも遊びやすい『ポケモンごいた』

『ポケモンごいた』は、伝統ゲーム「ごいた」の魅力である「読み合い」と「チーム戦の面白さ」をそのままに、初心者でも遊びやすいように工夫されたボードゲームだ。

コマの種類や役割、得点の構造はシンプル、かつ味方の意図を推測し、相手の狙いを見抜く奥深い駆け引きも健在。特に、相談禁止の中で生まれる静かな連携や、終盤におけるミュウツーやミュウの使いどころなど、短いプレイ時間の中に戦略性が凝縮されていたように思う。

経験の差が結果に直結するほど思考の深いゲーム性がありながらも、初心者であっても一発逆転のチャンスがあるため、最後まで気が抜けない。2対2の協力戦ゆえに、うまく噛み合ったときの一体感も大きな魅力だ。

伝統ゲームとポケモンの融合という点でも新鮮で、家族や友人、ライト層からボードゲーム好きまで幅広く楽しめる一作に仕上がっている。短時間で盛り上がる協力対戦ゲームを探している人には、ぜひ一度プレイしてみてほしい。

©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
TM, ®, and character names are trademarks of Nintendo.
※画面は開発中のものです。

ポケモン取材
FOLLOW US
タイトルとURLをコピーしました