
AI関連機器を手がけるPLAUDは10月21日、東京都内で新製品発表会を開催し、音声AIデバイスの新製品「Plaud One」と「Plaud Note Pro Flow Edition」を国内初公開した。
発表会には、同社日本法人でHead of Salesを務める鈴木直幸氏と、Principal Product Managerの加納智之氏が登壇。
音声の録音や文字起こし、議事録の作成といった従来の用途から一歩進み、会話の内容や仕事の文脈を理解したうえで、資料の作成や情報共有などの作業まで代行する「AIエージェント」の構想を紹介した。
Plaud One:eSIM搭載でスマホなしでも通信、会話から資料作成やメール送信まで支援するAIイヤホン
まず、今回注目の新製品「Plaud One」は、イヤホンと充電ケースを組み合わせた会話型のウェアラブルAIデバイスだ。「話すだけで、ミッション完了。」をコンセプトに掲げ、音声による指示を起点として、必要な情報の収集から文書作成、メール送信までを支援する。
イヤホン部分には、長時間の装着を想定したハーフインイヤー型のデザインを採用。音響用の12mmダイナミックドライバーを搭載し、アクティブノイズキャンセリング(ANC)にも対応する。Bluetooth 5.4をサポートするほか、高音質伝送用のLDACコーデックも利用できる。
音声処理用のマイクは3基で、VPU(音声処理ユニット)も1基内蔵する。ステム部分には感圧センサーを備え、直感的な操作を可能にした。イヤホンは主に通話やオンライン会議での集音を担い、単体で最大6時間の連続録音に対応する。
付属の充電ケースにも、対面での会話を記録するための機能が盛り込まれている。MEMSマイクを4基搭載し、会議や打ち合わせでは最大5m離れた場所からの音声を集音できるほか、AIエージェントの回答を音声で再生するスピーカーも備える。
ケース上部には録音ボタンとエージェントボタンを配置した。録音ボタンを長押しすると通常の録音が始まり、短く押すと重要な発言をハイライトとして記録できる。
イヤホンを装着していない状態でも、ケースから録音操作やAIエージェントの呼び出しが可能だ。イヤホンと充電ケースを組み合わせた場合、連続録音時間は最大25時間となる。
通信機能も特徴のひとつだ。充電ケースにはeSIMを標準搭載し、日本を含む世界80以上の国と地域で4G LTEによる通信を無料で利用できる。利用者がキャリアの通信設定を行う必要がなく、スマートフォンを手元に置いていない状況でも、デバイス単体でクラウドに接続できる。
AIエージェントは、イヤホンに向かって「ヘイ、プラウド」と話しかけるか、ケースのエージェントボタンを長押しすると起動する。
例えば、移動中に「次の会議についてブリーフィングして」と指示すれば、過去の通話履歴や関連データを参照し、会議に必要な情報を整理してイヤホンから音声で読み上げる。会議の前にスマートフォンを操作して資料を探す手間を減らし、移動中にも準備を進められるという。
会議後の作業にも対応する。「本日の会議内容を整理してチーム向けのフォローアップを作成して」と指示すると、その日に行った複数の会話から決定事項や次のタスクを抽出し、チームで共有する文書を作成する。利用者が内容を確認した後は、メールの送信まで代行できる。録音した内容を文字起こしして終わるのではなく、会話から必要な情報を拾い上げ、次の作業へとつなげることを目指している。
「Plaud One」の価格は44,000円(税込)。日本国内では2026年内に数量限定で販売する予定で、発表当日の10月21日19時から公式サイトで事前登録の受付を開始した。
もう1機種の「Plaud Note Pro Flow Edition」は、カード型ボイスレコーダー「Plaud Note Pro」をベースに、録音性能とデータ転送の自動化を強化したモデルだ。
本体は厚さ2.99mm、重量30gの薄型軽量設計を維持しながら、動作状態などを確認できるAMOLEDディスプレイを搭載する。カラーはシルバーとブラックの2色。連続録音時間は最大50時間で、待機時間は約60日間に達する。
本モデルでは、録音した音声をスマートフォンに転送し、文字起こしや要約を作成するまでの手間も減らしている。同社が「移動するストレージ」と呼ぶ仕組みでは、録音を停止すると音声データが本体のローカルストレージに保存され、その後、近くにあるスマートフォンをBluetoothで検知して、Plaudアプリへの転送を自動的に開始する。
現時点で自動転送に対応するのはiPhone。自動転送するには位置情報へのアクセスが必要だが、位置情報は保存しない仕様となっており、スマートフォンの接近を検知する仕組みを採用した。
あらかじめアプリで自動要約を設定しておけば、音声データの転送が完了した後、AIによる文字起こしと要約の作成も自動で進む。利用者が録音のたびにアプリを開き、データの転送や要約の作成を指示する必要はない。会議が終わってデスクに戻る頃には、内容を確認できるテキストが用意されているという。
「Plaud Note Pro Flow Edition」は10月29日に発売する。価格は29,700円(税込)で、公式サイトのほか、全国の家電量販店や専門店などの取扱店舗で販売する。
両製品とあわせて、音声AI機能群「Plaud Intelligence」の最新バージョンも発表された。加納氏は、会話の記録や質問への回答を中心としていた従来の仕組みから、仕事の状況を理解し、必要な作業を最後まで進めるAIへと進化させる狙いを説明した。
新しいPlaud Intelligenceでは、音声データだけでなく、会議中に撮影した資料やホワイトボードの写真、各種ドキュメントも取り込める。関連する情報を時系列やプロジェクトごとに自動分類して蓄積するため、会議の発言と資料を結び付けながら、後から必要な情報を探しやすくなる。
蓄積した情報を使って、PowerPoint形式のプレゼンテーション資料やWebページ、ドキュメントなどを自動作成する「アーティファクト」機能も用意する。会話から得られた情報を整理するだけでなく、実際に仕事で使う成果物へと変換できる仕組みだ。
外部サービスとの連携を担う「コネクター」機能では、Googleカレンダー、Slack、Notionなどに対応する。会議の内容をもとに情報を共有したり、タスクを登録したりといった作業を自動化できる。
さらに、自然言語で特定の作業手順を登録する「スキル」機能と、特定のイベントが発生した際にスキルを自動実行する「ルーティン」機能も導入する。例えば、商談後に必要な初動対応をあらかじめ登録しておけば、会話の内容に応じて、その後の作業を進められるようになる。
利用者の好みや過去の決定事項を記憶する「メモリー」機能も備える。過去の会話や作業内容を踏まえて対応することで、利用者ごとの仕事の進め方に合わせた支援を目指す。
これらPlaud Intelligenceの新機能は、本日10月21日より順次公開される予定だ。
今回の発表では、会話を記録して後から振り返るためのツールから、会話を起点に情報を整理し、資料作成やタスク管理、情報共有までを支援するツールへと、「Plaud」の製品群を発展させる方向性が示された。イヤホン型の「Plaud One」は移動中や通話中も含めた音声による操作を、カード型の「Plaud Note Pro Flow Edition」は録音から文字起こし、要約までの自動化をそれぞれ重視している。
AIエージェントが実際にどこまで作業を代行できるかは、連携するサービスや利用環境、生成された内容を人が確認する必要性などにも左右される。それでも、録音後のデータ整理や議事録の作成、会議後のフォローアップといった、日々の業務で繰り返し発生する作業を減らすことができれば、音声AIデバイスの使い方は大きく変わりそうだ。
