
AI関連機器を展開するPLAUDは10月21日、都内で開催した報道関係者を対象とした新製品発表会において、同社の事業規模が世界的に拡大していることを明らかにした。
主力製品であるAI音声デバイス「Plaud」シリーズの累計ユーザー数は、2026年9月30日時点で300万人を突破。日本国内でも取扱店舗数が1,000店舗を超え、企業や団体への導入も1万6,000社以上に広がっている。
世界累計ユーザー数は300万人を突破、普及ペースも加速
発表会では、日本法人でHead of Salesを務める鈴木直幸氏が登壇し、世界的なユーザー数の増加に加え、日本市場における販売網の拡充や法人向け事業の進展について説明した。
「Plaud」シリーズの累計ユーザー数は、100万人から200万人に到達するまでに約9カ月を要したのに対し、200万人から300万人までは約5カ月で到達した。ユーザー数の増加に伴って普及のペースも速まっており、会議や商談などの会話を録音し、AIで文字起こしや要約を行う使い方が、世界各地で広がっている。
音声を記録してAIで整理する仕組みは、議事録の作成や商談内容の振り返り、社内での情報共有など、さまざまな業務に活用できる。PLAUDは、こうした用途に対応する専用デバイスとソフトウェアを組み合わせ、会話の記録から、その後の情報整理までを支援する製品を展開してきた。今回明らかになったユーザー数の伸びからは、日々の業務で発生する会話を記録し、AIを使って効率よく活用したいという需要が、世界規模で拡大していることがうかがえる。
市場におけるPLAUD社の存在感は徐々に高まっている。ユーロモニター インターナショナルが2026年3月に実施した調査によると、「Plaud」シリーズは2025年のブランド別総小売販売台数ペースに基づくAI議事録デバイスのカテゴリーで、世界1位を記録した。
また、米ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(a16z)が発表した、月間売上を基準とするコンシューマー向けAIアプリケーションのトップ50にも選出され、16位にランクインしている。同ランキングではOpenAIやAnthropicなど、AIソフトウェアを主力とする企業も上位に名を連ねる。専用デバイスとソフトウェアを組み合わせてAIサービスを提供するPLAUDがランクインしたことは、アプリやパソコン向けソフトウェアだけでなく、専用機器を通じてAIを利用する形にも市場が広がっていることを示す動きだ。
国内の取扱店舗数は1,000店舗超、法人導入も拡大
日本国内でも、PLAUD製品を購入できる環境が整いつつある。2026年8月18日時点で、家電量販店や専門店などの取扱店舗数は1,000店舗を突破した。オンライン販売に加え、実店舗で製品を手に取り、実際の使用感を確かめられる機会も全国規模で広がっている。
AIを活用した録音・議事録作成ツールは、スマートフォン向けアプリやパソコン向けソフトウェアでも利用できる。そのなかで、専用デバイスを展開するPLAUDにとって、実際に製品を体験できる場所を増やすことは、使い方や利便性を知ってもらううえで重要になる。取扱店舗の拡大は一般消費者への販売を支えるだけでなく、企業での導入を検討する担当者が製品に触れる機会を増やすことにもつながる。
個人向けの販売網を広げる一方で、PLAUDは法人向け事業の拡大にも力を入れている。日本国内で同社の製品を導入している企業や団体は、1万6,000社以上に達したという。
法人導入が広がる背景には、個人での利用をキッカケに、組織内で活用が広がるケースもあるようだ。たとえば、社員が個人で購入した端末を業務で使いはじめ、その使い勝手を評価した同僚や部署が追加導入を検討するといった流れが生まれているという。個人の業務効率化を目的に使い始めた製品が、組織全体の情報共有や業務改善に活用できるツールとして認識され始めている。
組織での情報共有を支える「Plaud Team」
こうした需要を受け、PLAUDは2026年6月に組織向けサービス「Plaud Team」の提供を開始した。個人で利用する場合、録音した会議や商談のデータは利用者ごとに保管されるため、チーム内で共有するには個別にファイルを渡すなどの対応が必要になることもある。「Plaud Team」は、こうした情報の分散を抑え、会話の記録を組織全体で管理・活用できるようにするためのサービスだ。
専用アプリでは、個人用の「マイファイル」と、組織内で共有する「チームファイル」を分けて管理できる。個人の記録を保護しながら、業務上必要なデータだけをチーム内で共有できるため、プライベートな記録と組織で活用する情報を区別しやすい。
また、企業での利用を想定した管理機能も備えている。社内IDを使ったシングルサインオン(SSO)に対応するほか、データの保持期間を定めるポリシーの設定や、複数の部署・拠点をまたいだ管理も可能だ。さらに、社内システムと連携するためのAPI機能も用意しており、各企業の既存の業務環境に合わせて活用できるようにしている。APIは一部の法人向けに先行提供されており、一般提供も予定しているという。
法人向けサービスでは、機能の利便性に加えて、録音した音声や文字起こしデータをどのように管理するかも重要になる。会議や商談では、顧客情報や社内の機密情報などが記録される可能性があるためだ。
PLAUDによると、データは日本国内のリージョンに保管され、顧客の音声やテキストデータをAIモデルの学習には使用しない方針を採っている。情報管理に関する要件が厳しい企業でも導入を検討しやすいよう、組織向けの管理機能とデータ保護の体制を整えている。
「Plaud Team」の活用によって期待できるのは、会議や商談の記録を残す作業の効率化だけではない。例えば、営業担当者が個別に管理していた商談記録をチーム内で共有できれば、担当者の異動や退職に伴う引き継ぎの際にも、過去のやり取りや顧客の要望を確認しやすくなる。担当者本人の記憶や個別のメモに頼る場面を減らし、組織として情報を引き継ぎやすくなるわけだ。
また、部署ごとに会議や商談の記録形式が異なる場合でも、共通のテンプレートを使って要約や記録の出力形式をそろえれば、情報を比較・整理しやすくなる。複数の会議や商談の内容を横断して振り返り、繰り返し発生している課題や顧客から寄せられる要望の傾向を把握するといった使い方も考えられる。
個々の社員が記録した会話を組織内で共有し、必要なときに参照できるようになれば、担当者が得た知識や経験をチーム全体で活用しやすくなる。会話の記録を個人の作業を助けるためだけに使うのではなく、業務の改善や意思決定に役立つ情報として蓄積していくことが、「Plaud Team」の活用を考えるうえで重要なポイントとなる。
今後、PLAUDは公式ストアや1,000店舗を超える販売網を通じて個人向け事業を継続するとともに、法人向け市場の開拓も進める方針だ。「Plaud Team」の普及に加え、各企業の業務手順に合わせた導入支援や、パートナー企業との連携拡大にも取り組むとしている。
世界累計ユーザー数300万人、日本国内の取扱店舗数1,000店舗超、企業・団体への導入1万6,000社以上という数字からは、PLAUDの事業が個人向けデバイスの販売を中心とする段階から、組織での継続的な活用を見据えた段階へと広がっていることが分かる。
今後の焦点は、専用デバイスの普及をどこまで進められるかに加え、個人の利用をキッカケに導入した製品を、企業が組織全体で活用する仕組みへと発展させられるかどうか。会議や商談の記録を組織内で共有し、日々の業務や意思決定に生かす需要をどこまで取り込めるかが、PLAUDのさらなる成長を左右することになりそうだ。
