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Photoshop、生成AIの次フェーズへ。AIエージェントが反復作業などを支援

Adobeは、年次イベント「Adobe MAX」で、画像編集ソフト「Adobe Photoshop」の最新アップデートを発表した。

今回のアップデートは、生成AIを軸に据えた進化の集大成といえる。10月28日より、ベータ段階でテストされていた主要AI機能が正式版としてリリースされたほか、外部パートナーAIモデルの統合や新しいAIアシスタントの導入も発表された。

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「調和」「生成アップスケール」が正式提供、外部AIモデルが新たに統合

まず注目したいのが、ベータ版として提供されてきた生成AI機能群の正式実装だ。

ベータ時点で多くのユーザーから好評だった「調和」は、AIがオブジェクトや人物の光やトーンを自動で解析し、背景に自然に溶け込ませる合成支援機能。

これまでPhotoshop上級者が時間をかけて行っていた「馴染ませ作業」をAIが担い、ユーザーはクリエイティブなディレクションに集中できるようになった。なお、同機能は写真同士の合成だけでなく、イラストの合成にも適用可能だ。

画像の高精細化を担う「生成アップスケール」も強力な機能のひとつだ。小さな画像や切り取られた画像といった解像度の低い画像をリアルなディティールで4K解像度に変換する。

同機能は、Fireflyモデルに加えて、パートナーモデルとしてTopaz LabsのAIモデルが採用。Topaz GBixelはポートレート向けで、肌や質感を保ちながら自然にアップスケールできる。一方、Topaz Bloomは多少の描き足しを許容しながら高精細な仕上がりを実現するモデルで、イラストやコンセプトアートなどに向いている。

また、「生成塗りつぶし」には、生成結果向上のために新たなAIパートナーが追加。GoogleのGemini 2.5 flash(Nano Banana)やBlack Forest LabsのFLUX.1 Kontextなどが選択肢として加わり、環境変更やオブジェクト削除の精度が大きく向上した。

Nano Bananaは、夜景への切り替えや背景の一部削除などの指示に対して、他の要素は変更せずに画像の一部だけを編集できるようになった。

FLUX.1 Kontextは、建物に書かれている文字やサインの差し替えに対応しており、商業デザインや広告制作の現場での実用性も高い。なお、日本語にも対応しているが、うまくいかない場合は英語での入力が推奨されている。

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PhotoshopでAIエージェントが作業を支援

もう一つの大きなトピックが、新たに発表された「Adobe Photoshop AIアシスタント(ベータ)」だ。

これは、ユーザーと会話しながらクリエイティブ作業を支援する対話型AIエージェントで、ユーザーがプロンプトで与える指示を理解し、複数のクリエイティブタスクを連続して実行できる。

たとえば「全体を明るくして、人物の輪郭を少し強調して」といった指示を出すだけで、複数のパラメータ調整を自動で組み合わせてくれる。その一方で、明るさやコントラストといった手動操作との併用も可能で、ユーザーがコントロールを失うことはない。同機能については、現在はPhotoshop Web版でベータ登録が開始されている。

今回のアップデートでは、ほかにも「カラー」と「自然な彩度」を統合した新しい色調補正パネルの追加や、デバイス上での処理性能の向上、Firefly Web版との動画生成連携なども実装された。

さらに、Adobe Stockとのシームレスな連携強化、Android版Photoshopの提供開始といったプラットフォーム面の拡張も進んでいる。

(画像提供:Adobe)