突然だが、筆者の自宅には8個もの外付けストレージがゴロゴロと転がっている。
かつてはRAID (レイド) を組み大容量ストレージとして利用していたが、PCやMacの内蔵ストレージの大容量化やクラウドストレージが当たり前になってきたことから、いつしか外付けストレージを積極的に使うことがなくなっていた。
しかし昨今は、取材はほぼすべてオンライン化し、管理するデータが大幅に増加。さらに、新たな分野のお仕事 (主にトラベル分野) をいただくようになったことで、ローカルストレージを多用する機会が多くなり、いよいよクラウドストレージやデバイスの内蔵ストレージでは手狭になってきた。
そんな折、OWCから外付けストレージケース 「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 をタイミングよく提供いただくことができたので、さっそく試用してみた。自身の用途に合うよう様々検証し、最適な利用方法を見つけたため、今回のレビューで本製品の特徴や使い方をご紹介したいと思う。
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「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 のデザインをチェック
今回紹介する 「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 は、3ポートのUSBハブを備えたストレージソリューション。ハードウェアRAIDに対応したデュアルベイを内蔵し、2台の2.5インチもしくは3.5インチのSSD/HDDを搭載することで、最大32TBの大容量ストレージを実現できる製品だ。
購入時にストレージが内蔵されているものと、自ら所有するストレージを搭載するためのケースオンリーの製品が用意されているが、今回OWCから提供していただいたのは後者の方。よって今回は、筆者が所有するSSDストレージを使って本製品を評価していくことになる。
「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 は、大きく分けて外周ケースとHDD/SSD設置用デュアルドライブベイのふたつのパーツで構成されている。
外周ケース
ケースはアルミニウムによる一体成形で作られており。MacなどApple製品と相性がとても良い。金属製なので触るとちょっぴりヒンヤリするのもMacと同じだが、指で触ったときの質感はすこしザラザラ気味。
正面の 「OWC」 ロゴにはライトが仕込まれており、本体の状態に応じてライトの色が変わる仕組み。電源が入っていると白色、デバイスに接続すると青色のライトが点灯する。
ロゴの上下に配置されているLEDランプは、上が右側、下が左側に搭載したストレージのステータスを表している。片方のLEDランプしか点灯していない場合に、何らかの影響でストレージが認識されていないことが確認できるなど、ストレージの状態が目で確認できて便利だ。
RAID設定のためのボタンやUSB 3.2 Gen2に対応したUSB-C・USB-Aポートなどは、すべて背面に集約されている。USB-CとUSB-Aポートはそれぞれ2ポートずつ搭載されていて、最大10Gb/s (1,250MB/s) での転送に対応する。
これらのUSB-CポートとUSB-AポートはUSBハブとしての役割も果たしており、マウスやキーボードなどの周辺機器を接続したり、スマートフォンなどを充電・同期することもできる。ポート数の少ないMacBook Airなどに接続する際には重宝するはずだ。
ケース内部のデュアルドライブベイ
ケース背面側にある2つのネジを取り外すことで、ケース内部のドライブベイにアクセスできる。搭載できるHDD・SSDの数はふたつまでで、このふたつのストレージを使ってRAIDを構築することが可能だ。
初めからストレージが搭載されたモデルを購入した場合には基本的にアクセスする必要はないが、筆者のようにケースだけを購入した場合には、ドライブベイに自分でHDD・SSDを取り付ける必要がある。
上記はドライブベイを取り外した様子。今回筆者は 「Samsung 870 EVO」 の1TBモデルを2つ取り付けてみた。「SSD」 と記載されているネジ穴に、付属のネジを使って固定する。
あとは外周ケースにドライブベイを収納して完成となる。背面部分のポート穴を見ながら、上下を間違わないようにドライブベイを収納し、ネジをしっかりと止めて設置は完了だ。
続いてRAIDを構築する。本製品はふたつのHDD・SSDでRAIDを構築できるため、利用できるのはRAID 0とRAID 1、JIODとSpanの4種類となる。今回は高速な読み書きを実現できるRAID 0で検証している。
どの設定でRAIDを構成するかを決めるには、背面にあるモード切り替えスイッチを利用する。精密ドライバーなどでRAID 0の位置にセット。
電源を入れてMacと接続したら、「Set RAID」 ボタンを長押し。これでRAIDの構築は完了。「Samsung 870 EVO 1TB」 2枚で合計2TBのRAIDが構成できた。ちなみに、Apple製品のみで使用することを想定しているためストレージのファイルシステムはAPFSを採用した。
付属品の紹介
本製品には、付属品として電源アダプタと電源ケーブル、USB-C to USB-Cケーブル、そしてUSB-A to USB-Cケーブルが同梱されてくる。
USB-C to USB-CケーブルとUSB-A to USB-CケーブルはどちらもUSB 3.2 Gen2に対応しているため、本製品とデバイスを接続するのに最適。対応ケーブルを持っていない場合でも別途ケーブルを購入する必要はないのが嬉しいところ。
「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 の実力を検証
ここからは 「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 の性能をチェックしていく。
前述のとおり、本製品にはUSB 3.2 Gen 2に対応したUSB Type-Cポートが搭載されており、最大1,250MB/sの高速転送が可能だ。この数字はあくまで理論値であるものの、実際に検証したところかなり高速な転送速度を実現できていることが確認できた。
以下が、ストレージ転送速度のベンチマークアプリ 「Blackmagic Disk Speed Test」 による実際の検証結果。書込906.1MB/s、読込931.4MB/sで、RroRes 422 HQなら2160p60の読み書きができるスピードで、Thunderbolt対応のSSDにはさすがに敵わないものの、USB-C製品の中では非常に高速であることがわかる。
これほどの高速転送をするにはHDDやSSDの性能が重要となる。今回筆者が検証に使用した 「Samsung 870 EVO」 は、最大読出560MB/s、最大書込530MB/sで、連続書込時にも速度が落ちないことで評価の高いSSDだ。参考までに、筆者が元々持っていたCrucialなどのSSDは高速書込時に速度が落ちてしまい、これほどのハイスピードで転送することはできなかった。
さらに検証として筆者の音楽ライブラリ440GB分を、Macから 「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 内のストレージに転送してみた。すべてのデータを転送するのにかかった時間はわずか8分10秒。1秒間に約900MBかかった計算となり、仮にストレージ容量2TB分をすべて埋め尽くすにはおよそ37分で完了できることになる。
ちなみに、上記の検証はIntelプロセッサを搭載した27インチiMac 5K(2020)で行なっている。仮にM1チップを搭載したMacで計測すると、ベンチマークスコアが大幅に下がることになる。
M1チップを搭載したMacは、何らかの原因で外付けストレージの転送速度が遅くなってしまう(仕様?)なので、これは致し方なし。Thunderboltハブを経由することで多少は転送速度が向上することもあるが、Intelプロセッサ搭載モデルほどの速度には戻ることは残念ながらなかった。
それならMacの内蔵ストレージの容量を増やした方がいいじゃないかという声も聞こえてきそうだが、今回のレビューはあくまでも外付けストレージを利用したい人に向けたものとして捉えていただきたい。
現に筆者は同外付けストレージでデータを管理するようになったことで、クラウドストレージの月々の料金を下げることに成功している。クラウドストレージはいつでもどこでもデータを引っ張り出せて便利だが、やはり大事なデータは手元に置いておきたいもの。「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 は最大32TBのRAIDに対応しているので、今後も長く使うことができるはず。
もし、大容量の外付けストレージの構築を検討しているなら、「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 がオススメだ。記事ではストレージとしての性能に重きを置いたため詳しくは紹介しなかったが、本製品の背面にはUSBハブ機能も備わっている。これを利用すればMacBook Air/Proの少ないUSB-Cポートを節約することが可能。iMacなどでは背面に手を伸ばさなくてもUSBポートにアクセスできるなど地味に便利。まさに一石二鳥を叶えてくれる製品と言えるだろう。
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