
Meta傘下のVRスタジオ、Downpour Interactiveが手がけるミリタリー系VRシューティングゲーム『Onward』の開発が終了した。6月17日に発表された公式声明により、3月に配信された大型アップデート「2.0」が本作にとって最後のコンテンツ更新になることが明らかとなった。
開発スタジオは今後サポートチームを維持せず、技術的なトラブルへの対応はSteamやQuestなどのプラットフォーム側に委ねるとしている。
同時に、Downpour InteractiveはMetaの別スタジオであるCamouflajに「永久的に統合」されることも明らかに。Camouflajはこれまでに『Iron Man VR』や『Batman: Arkham Shadow』などを手がけており、今回の統合により『Onward』チームはVR開発の新たなステージへと進むことになる。
終わりを迎える『Onward』、そしてMeta傘下スタジオ再編の動き
『Onward』は2016年にSteamでリリースされたVRマルチプレイヤーFPSで、リアル志向の戦闘体験と戦術性で人気を博した。2020年にはQuest版も登場し、以降も継続的なアップデートを重ねてきた。特に2024年3月に配信された「2.0」アップデートでは、グラフィックの刷新、新たなCo-opモード、13種の新武器、オペレーターカスタマイズ機能、そして新マップなど、シリーズ史上最大規模のコンテンツが追加された。
だが、Metaによる買収(旧Facebook、2021年)から約3年。かつて同社のマーク・ザッカーバーグCEOは『Onward 2』の存在を示唆していたが、今年6月の発表では「今後のアップデートはない」と明言された。開発元であるDownpour Interactiveも、2023年にCEOダンテ・バックリーが辞任した後、リストラの影響を受けたことが伝えられていた。
Metaはここ数年、自社傘下スタジオの整理を進めている。2024年には『Lone Echo』を手がけたReady at Dawnが閉鎖されており、今回のDownpourの統合もその流れの一環と見られる。ただし、今回は統合先のCamouflajでの活動が明言されていることから、完全な閉鎖ではないという点では扱いは異なる。
現在『Onward』はSteam、Meta Horizon Store(Quest向け)、Meta PC Store(Link & Rift向け)で引き続きプレイ可能。今後も重大なバグ修正などは行われる可能性があるが、新コンテンツの追加や機能拡張の予定はない。サポート体制も解体されており、プレイヤーにはDiscordやRedditなどのコミュニティ活用が推奨されている。
MetaのVR戦略が転換点を迎える中で、『Onward』の終焉は一つの時代の区切りとも言える。VR黎明期から続いたリアル系VRシューターの灯火は、静かに幕を下ろすかたちとなった。
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(画像:Downpour Interactive)