9月7日、NTTドコモ設立のプログラミング教育サービス企画・開発・開発を行うe-Craftは、メディア向けにオンライン事業発表会を開催した。
今回の事業発表会では、e-Craftのプログラミング事業に関する発表と、吉本のパパ芸人たちがプログラミング学習を体験する様子が配信された。本記事では、同事業発表会のレポートをお伝えしたい。
これから注目のプログラミング分野。イノベーション人材を作り出すために必要なこととは
e-Craftは、NTTドコモが今年8月2日に設立したプログラミング教育サービス企画・開発・開発を行う会社。2019年よりタカラトミーと提供していた 「embot」 を軸とし、プログラミング教育サービスの企画・開発を行なっている。「embot」 を用いたプログラミング授業やワークショップの企画・実施、教員向け研修、プログラミングスクール事業も手がける。
embotは、e-Craft代表の額田氏を含む3人ではじめたプライベートのプロジェクトから誕生。その後、ドコモの新規事業創出プログラムである 「39works」 で事業として成長し、タカラトミーをパートナーとし、一般販売に至る。一般販売後もユーザー数は順調に伸びており、多くの自治体や教育委員会にも教材として採用されている。
embotは、ダンボールと電子工作パーツを用いてロボットを組み立てることで、電子工作やものづくりの基礎を学ぶことができるプログラミング教材。組み立てたロボットは、タブレットやスマートフォンにインストールしたビジュアル・プログラミングの専用アプリを使って、子どもでも簡単に操作できる。
プログラムはフローチャート形式で組むことができるため、すこし高度な要素となるif文やfor文なども、直感的に身に付けることが可能だ。
今回の事業発表会では、embotの代表取締役社長 額田一利氏、タカラトミー 執行役員NEXTビジネス本部長 兼 グローバルパートナー戦略室長の沢田雅也氏、NTTドコモ イノベーション統括部長 稲川尚之氏、CANVAS代表・慶應義塾大学教授 石戸奈々子氏が登壇。「イノベーションが生み出すこれからの教育について」 と題した討論会を実施した。
稲川尚之氏はイノベーションが生み出す人材について、イノベーションを起こす人材には、グローバル人材と被るスキルセットがあると思っている。重要なのは、コミュニケーション力、社交力(人との出会いで事業が生まれることが多いから)、知らない世界を受け入れる力、決断力。さらに、目標に対して試行錯誤を繰り返す、そういう経験をしてきた人が、大人になってから大きく成長していくのではないかと述べた。
石戸奈々子氏は、イノベーション人材を生み出していくための教育のあるべき姿について、「イノベーション人材と一言に言っても色々あると思うが、新しい価値を作り出す裾野をどう広げていくかに注力してきた。それが教育の役割だと思っている。家庭環境に恵まれた人だけが、学校外でプログラミングに携わるのではなく、必修化することで、すべての人が最先端のテクノロジーを使って価値を作り出す体験ができる環境を作っていくことが大事。」 とし、「遊びと学びは融合するものではなく、もとより一体。子どもたちは身の回りで起こるハテナとビックリマークのなかでたくさんのことを学び、次のステップに成長していくことをしていた。しかし、いまは気づかないうちに遊びと学びが別々のものになってしまっていて、学びがあたかも苦行であるかのようになっていることがおかしい。遊びと学びが一体化したものに戻して、自然に知的好奇心を満たせるものにしたい。」 とコメント。
沢田雅也氏は、「子どもは遊びからいろんなものを学んでいく。大事だと思うのはあまり既成概念を被せないで遊ばせてあげること。手前味噌だが、プラレールも実はモジュールと同じで、プログラミングのひとつ。円やオーバルをモジュール化しプログラミングのような考えが必要。これはembotに似ている。」 と発言していた。
よしもとパパ芸人がembotでプログラミング体験
今回の事業発表会では、よしもとパパ芸人の麒麟 田村裕、エハラマサヒロ、パンサー尾形貴弘さんが登壇し、embotを実際に触って、プログラミング学習を体験した。
バスケットが好きな麒麟 田村裕さんは、embotでバスケットのシュートフォームを再現。エハラマサヒロさんはお笑いコンビ見取り図の盛山晋太郎さんのツッコミの動き、尾形貴弘さんは自身のネタ サンキューの動きを再現した。
embotのプログラミングは、iPadでわずか10分程度で完成した。実際に動作させてみると、自分たちの期待どおりに動いたことに感動していた。
今回の体験を通して、田村裕さんは 「自分で目標を設定し、そこに辿り着けるのはとても気持ちいい。」 とし、「最近は子どもたちのしたい習い事で1位になるプログラミング。長女も興味を持つと思うので、ぜひ長女にやらせてみたい」 とコメント。
エハラマサヒロさんは 「昔はトントン相撲で、叩いて動くだけでも楽しかったのに、いまはそれがさらに高度になって、しかも作り方も簡単になっている。いまの子どもたちがうらやましいと思うぐらい楽しかった。」 と感想を述べた。
尾形貴弘さんは 「アイデアが湧いてくる。(自虐的に) 僕はアイデアがないけど、子どもたちはこういったものでアイデアがどんどん湧いてくる。絶対いいと思う。」 とコメントしていた。