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Nothing Phone (1) レビュー | 個性的なデザイン光る話題の新スマホ、その実力に迫る

今月13日、英Nothing Technologyは、同社初のスマートフォン 「Nothing Phone (1)」 をグローバルで発表した。OnePlusの共同創業者カール・ペイ氏が立ち上げたNothing Technologyが手がけた、トランスルーセントな個性的デザインなどで注目が集まっていたスマートフォンだ。

発表に先駆けて、報道関係者向けのプレブリーフィングおよびタッチ&トライが都内で実施され、実機に触れることができた。その際のファーストインプレッションはすでに別記事でまとめたとおりだが、本記事では 「Nothing Phone (1)」 の深掘り、ディープダイブをお届けしたい。

「Nothing Phone (1)」 の実力は見た目だけにあらず?日本国内の発売はまだもう少し先となるが、本製品について気になる方はぜひご覧いただければと思う。

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「Nothing Phone (1)」 のデザインをおさらい

まず 「Nothing Phone (1)」 の製品デザインをおさらいしていこう。

「Nothing Phone (1)」 は、”余計なものは省き、本質を追求する” をテーマに開発されたスマートフォン。Nothingといえば 「Ear (1)」 というスケルトンな完全ワイヤレスイヤホンが日本でも話題になったが、今回の 「Nothing Phone (1)」 はそのスマートフォン版と言えば分かりやすいだろうか。

Nothingは 「Nothing Phone (1)」 について、“他社のスマートフォンメーカーが陳腐化された製品を複雑なパラメーターを駆使で顧客を引き付けようとするなか、我々はその逆を行き、デザインを削ぎ落としシンプルにすることで、ユーザーの体験を最大化することを目指した。” と説明している。実際に手に取ってグルリと眺めてみると、確かにシンプル。背面はともかくとして、表面と側面はかなり無駄の少ないデザインになっていることがわかる。

本体は、一般的なスマートフォンとおなじ四隅が丸まった長方形で、現行のiPhoneシリーズのようにフラットエッジなデザインを採用している。四隅はいずれもおなじ角度で弧を描いており、画面のベゼルは上下左右とも同じ幅。なるべく対称になるように作られており、見たときに違和感を抱かないように工夫しているようだ。

本体サイズは高さ159.2 × 幅75.8 × 厚さ8.3mmで、重量は193.5g。iPhone 13 Pro Maxを細長く、ちょっとだけ厚くしたような感じ。発表前の予想よりは大きかったが、とはいえ幅が75mm程度に収まっているので、画面の大きさの割にはかなり持ちやすい。

本体側面にはアルミニウム素材が使用されていて、プラスチッキーな筐体も含めて高級感は感じられないが、とはいえ安っぽさはない。

左側面には音量調節ボタン、右側面には電源ボタンが搭載。底面には、SIMカードスロットと充電・通信用のUSB-Cポートが搭載されている。3.5mmオーディオジャックは非搭載で、有線イヤホンには対応しない。

ディスプレイは6.55インチのフレキシブルOLEDを採用する。解像度は2400×1080ピクセル、画面密度は402 ppi。輝度は500ニトで、ピーク輝度は1200ニト。コントラスト比は1,000,000:1で10ビット色深度、HDR10+をサポートする。ソニーのフラグシップスマートフォンなどと比べるとスペック上は劣る部分があるものの、有機ELディスプレイということもあって表示はとてもキレイ。色味はわずかに黄色が強いが、日常利用の範囲であればあまり気になるレベルの差ではない。

「Nothing Phone (1)」 の画面は60〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応しており、コンテンツに応じて120Hzで滑らかに描写したり、60Hzに下げてバッテリー消費を抑えることが可能だ。対応するソフトウェアなら、120Hzの滑らかな画面で操作することができるだろう。

ちなみにタッチサンプリングレートは240Hz。ディスプレイのカバーガラスはCorningのGorilla Glassを採用している。

「Nothing Phone (1)」 を語る上で外せないのが、トランスルーセントな背面。パネルのほぼ全面が半透明になっていて、ワイヤレス充電のコイルや各パーツの留め具など内部のパーツを見ることができる。

各パーツは同系色で統一されていることもあって、工業製品ではありながらもアートのような美しさを放つ。この背面のデザインについて、Nothing共同創業者でマーケティング部門トップであるAkis Evangelidis氏は、ニューヨークの地下鉄路線図からインスピレーションを受けたと話す。複雑な地下鉄路線図をシンプルに分かりやすく、かつ美しく描かれていることに着目し、これを 「Nothing Phone (1)」 でも実現したかったという。

他社のスマートフォンが画一的なデザインになっていて、機種変更する先のスマートフォンのデザインは大方想像がついてしまう。そこで差別化という意味も込めて、ユーザーに新鮮さをもたらし、かつ飽きのこないデザインにすることを選択したという。

その片鱗は随所で見ることができる。最も特徴的なのが端末下部にいる象。これはディズニーのアニマルキングダムからインスピレーションを受けたとのことで、人や動物の温かみの感じられるようにしているのだとか。パッと見ではどこにいるか分かりづらいが、じっくり観察すれば発見できるはずだ。

「Nothing Phone (1)」 の背面には隠し機能(?)として、背面にLEDインターフェイスが内蔵されている。Nothingはこれを 「Glyph Interface」 と呼んでいる。

「Glyph Interface」 についてはあとでもっと詳しく紹介するが、音とLEDの光り方でスマートフォンの “状態” を示してくれる機能で、LEDがピカピカと光ることで、アプリからの通知や充電状況などを視覚的に知らせてくれるというものになる。

ライティングのパターンはある程度カスタマイズできるため、メールやメッセージ、電話などサービスごとに分けたり、特定の人物からの着信に個別のGlyphパターン付きの着信音を設定することもできる。

リアカメラは、デュアルレンズ。カメラ構成は広角+超広角で、画素数はどちらも50MP。詳しくは後ほど。

生体認証は、ディスプレイ内蔵型の指紋認証および顔認証の2パターンに対応する。認証速度は他社スマートフォンと同等レベル、とてもスムーズだ。内蔵センサーは、加速度計、電子コンパス、ジャイロセンサー、環境光センサー、近接センサー、Sensor Core、フロント RGB センサー。

内蔵バッテリー容量は4,500mAhで、1回の充電で約18時間使用することができる。Quick Charge 4.0を利用した急速充電(最大33W)に対応しており、30分で約50%まで充電、最大70分でフルチャージできる。

また、最大15WのQi互換ワイヤレス充電に対応しており、120分でフル充電が可能。さらに、スマートフォン背面で完全ワイヤレスイヤホンをワイヤレス充電できるリバースチャージ(5W)も可能だ。

ネットワークは5Gや4G LTE等をサポート。5GはSub6のみが利用可能だ。なお、本製品はデュアル SIM (nano-SIM) に対応する。国内における対応バンド、および国際ローミングの対応バンドは以下のとおり。

対応バンド (日本国内)
   
5G(Sub6) n1, n3, n28,n41, n77, n78
4G LTE 1, 3, 8,18, 19, 26, 28, 41
3G UMTS (WCDMA) bands 1,6,8,19
2G GSM 900/1800
対応バンド (国際ローミング)
   
5G(Sub6) n5, n7, n8, n20, n38, n40
4G LTE 2, 4, 5, 7,12,17, 20,32, 34, 38, 39, 40, 66
3G UMTS (WCDMA) bands 2,4,5
2G GSM 850/1900
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最大の特徴であるグリフ

「Nothing Phone (1)」 の最大の特徴である 「Glyph Interface」 。スケルトン調の背面に仕込んだミニLEDを光らせることで、着信などの通知を知らせてくれる便利機能だ。

Glyph Interfaceは、厚さ0.45mmのミニLED電球 974個で構成されている。LEDは白く光るように開発されているが、これは青色と黄色の光を合成することで実現しているとのこと。

ただ通知のあり/なしを光って教えてくれるだけでなく、連絡先やアプリによって光り方を細かく変えることができる。固有の光り方を細かく設定しておくことで、誰からどのアプリで連絡が来たのかを判別できるはずだ。

実際に光らせてみると、ただピカピカと光っているというよりはかなり激しめに明滅するため、背面側を表にして机に置いておけば、ある意味バイブレーションよりも通知が来ていることに気づきやすい。

こんなにピカピカと光るスマートフォン自体珍しく、また光り方もカッコ良いので、新しいデバイスを求めているユーザーにはこれだけでも十分楽しめそうだ。ただし、ミニLED電球が974個も搭載されているにも関わらず、点灯パターンはわずか10個ぐらいとバリエーションに乏しく、カスタマイズ要素も少ないため、今後の追加などに期待がかかる。

なお、Glyph Interfaceは通知だけでなく、背面カメラでの撮影の際に被写体を照らす簡易ライトとしても使用可能。実際に撮影してみると、被写体全体をふわっと照らすことができて、雰囲気のある写真に仕上がってくれる。ライトの点灯は、カメラアプリ左上のアイコンをタップすることで、ライトなし/LEDフラッシュ点灯/Glyph Interface点灯を切り替えられる。

SoCの性能は?

「Nothing Phone (1)」 の内蔵SoCは、Qualcommとタッグを組んで開発した6nmカスタムチップセット 「Snapdragon 778G+」。ミッドレンジ向けとなるものの、操作する上でのモッサリ感は感じず、同価格帯のスマートフォンよりも軽快に動作しているように感じている。

性能を数値化するため、ベンチマークアプリでスコアを計測してみた。

まずは、「Geekbench 5」 で計測。シングルコアスコアが827、マルチコアスコアが2954となった。グラフィック性能を示すOpenCLの数値は2501となった。

Antutuベンチマーク(V9.4.2)でもスコアを計測してみた。結果は以下のとおり。

ミッドレンジ向けのプロセッサということもあり、Xperia 1 IVやGalaxy S22といったスマートフォンには性能は劣るものの、カメラアプリや写真アプリといった一般的なアプリケーションの動作は快適に動作していたことから、ほとんどのユーザーが求めるレベルの作業は 「Nothing Phone (1)」 で事足りると言ってよさそうだ。

ただし、さすがに3Dゲームなどの重めのアプリを快適にプレイするにはスペック不足で、実際に『原神』を画質 「中」 でプレイしたところ、デバイス負荷が 「非常に高い」 になってしまった。ゲーミング目的での購入はあまりオススメできないかもしれない。

メモリ(LPDDR5)は8GB/12GBの2ラインナップ、ストレージ容量は128GB/256GB (UFS 3.1に対応) の2ラインナップ。ストレージに関してはmicroSDカードが利用できないため、本体ストレージをたくさん使う人は256GBを選んでおきたい。

カメラ性能

Nothing Phone (1)の背面カメラは広角+超広角のデュアルカメラ構成。昨今のスマートフォンに比べるとカメラの数自体は少ないが、画素数はどちらも50MPと高めだ。

広角カメラにはセンサーサイズ1/1.56、F1.8のレンズが採用されており、OIS (光学手ぶれ補正) とEIS (電子手ぶれ補正) のデュアル手ぶれ補正により、明るく鮮明な写真が撮影可能だ。

超広角カメラは114°の画角でワイドな写真を撮影できるほか、4cmのマクロ撮影にも対応する。こちらも画素数は広角カメラと同じ50MP。

以下が実際に撮影した写真。画素数が高いことから、比較的どんなシチュエーションでもきれいに撮影できる印象だ。色味も自然で、日常的な写真の撮影も十分こなしてくれそう。

Nothing Phone (1)のカメラは夜の撮影に特化しているということで、夜の写真も撮影してみた。以下は夜遅くに撮影した写真だが、夜とは思えないほど明るくてシャープな写真が撮影できた。

物撮りの際には、背面のGlyph Interfaceを簡易的な照明として利用可能。被写体全体をふわっと照らすことができて、被写体を際立たせることができる。ライトのオン/オフは、カメラアプリ左上のアイコンのタップで切り替えられる。

写真の撮影においては、カメラ特化のスマートフォンではない割にはきれいな写真が撮影できている印象だったが、気になったのがポートレート写真の撮影時。被写体をきちんと認識できていないことがちょこちょこあり、思い通りに撮影できないことも。もっと認識精度が上がってくれれば文句なしといったところだろうか。

ビデオ撮影においては、最大4K/30fpsでの撮影が可能。最大120fpsのスローモーション撮影や最大1080p/30fpsのナイトモードも利用可能だ。

画面左上には、自撮り用のシングルカメラが搭載されている。画素数は16MPで、これといった特徴的な機能はあまりない印象だが、ポートレート写真などの機能が利用可能だ。

まとめ

OnePlusの共同ファウンダーであるカール・ペイ氏が手がけた新たなスマートフォンということもあって、近年稀に見る注目度を浴びたデバイスだったが、その実物は他には見られないユニークな特徴を持っており、この業界に久々に新鮮な風を呼び込んでくれたと感じている。

スケルトンな背面に、ピカピカと光るGlyph Interfaceなどの遊び心あふれる機能はオタク心をくすぐるには十分で、昨今のありきたりなスマートフォンに飽き飽きなユーザーには、ちょっとしたワクワクも感じられたのではないだろうか。

とはいえ、ファーストインプレッションでも書いたように、(Glyph Interface含む)見た目以外の部分に関しては、ややアピールポイントの不足も感じられる。BALMUDA Phoneのように “見た目” に注力して作られた感が否めず、またiPhoneやGalaxyなどのフラグシップスマートフォンには存在しない特別な便利機能があるわけでもない。

そのため、現状における 「Nothing Phone (1)」 を手にするメリットは人とは違うものを持っているという “特別感” や “面白さ” に浸れる点が大きい。これは、数あるスマートフォンのなかから選び出されるには、やや弱いアピールポイントなのではないだろうか。

そういう意味では 「Nothing Phone (1)」 はサブのデバイス、もっと言うとスマートフォンを集めるのが好きな方が新たなコレクションとして購入する、あるいは既存のスマートフォンに飽きてしまい、変わり種を探している方にはビビッとくる1台かもしれない。

最後はすこし辛口になってしまったものの、世界中のユーザーを注目させたスマートフォンであることには変わりなく、また、筆者としても 「Nothing Phone (1)」 には登場前から期待していたが、それに値する製品だったと今でも感じている。

さらなるファンを掴むためには、さらなる改良が必要になるだろう。いまの特徴を発展させながら、唯一無二のスマートフォンとして今後進化していくことを大いに期待したい。

たとえば、防水性能やFeliCaといった日本のユーザーが望む機能については、コストの面からより多くのユーザーに購入してもらうことが重要になるとNothingは説明していた。もし 「Nothing Phone (1)」 にちょっとでも興味を抱いたなら、今後の期待を込めて一台購入してみるというのはどうだろうか。