
Netflixは12月5日、Warner Bros. Discovery(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、WBD)と最終合意に達し、WBD傘下のWarner Bros.(ワーナー・ブラザース)の映画・テレビスタジオ事業と、HBO/HBO Maxを含むエンタメ部門を買収すると発表した。企業価値ベースで約827億ドルという巨大ディールで、実現すればハリウッドの勢力図に大きな影響を与える可能性がある。
取引は現金と株式を組み合わせ、WBDの1株あたりの評価額は27.75ドル。Paramount SkydanceやComcastとの入札競争を経て、Netflixが落札した形だ。WBDの株主は1株あたり23.25ドルの現金と、4.50ドル相当のNetflix株式を受け取る見込みとなる。
Netflixの共同CEOであるテッド・サランドス氏は、ワーナー・ブラザースが持つIP群を「信じられないほどのライブラリ」と表現し、『カサブランカ』や『ハリー・ポッター』、『フレンズ』といった作品がNetflixの既存タイトルと並ぶことで、同社のコンテンツ力が大きく強化されると述べた。『ゲーム・オブ・スローンズ』やDC作品などのフランチャイズ級のタイトルも加わり、ポートフォリオは過去最大規模に広がる。
共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は、ワーナー・ブラザースの劇場公開モデルを含む既存の運営を維持する意向を示しつつ、制作体制の拡充によって長期的にオリジナルコンテンツへの投資を強化していくと説明した。Netflixは買収完了から3年以内に年間20億〜30億ドル規模のコスト削減効果を見込んでいる。
今回の買収は規制当局の承認が前提となる。競合のParamount Skydanceは、独占禁止法上の問題から「成立しない可能性が高い」と批判しており、ハリウッドの業界団体やDGA(米監督組合)もNetflixの市場支配力が強まり過ぎるとして懸念を示している。
取引の成立には、まずWBDがCNNやTNT Sportsなどを含むテレビネットワーク部門を「Discovery Global」としてスピンオフすることが条件となる。買収の完了は12〜18ヶ月後、2026年Q3が見込まれている。Netflixは、規制当局が承認しなかった場合のブレイクアップ・フィーとして50億ドルを支払う提案も行っており、このディールが抱えるリスクの大きさを示している。
情報ソース
- Netflix to Acquire Warner Bros. Following the Separation of Discovery Global for a Total Enterprise Value of $82.7 Billion (Equity Value of $72.0 Billion) – About Netflix
- Netflix Will Acquire Warner Bros. In $83 Billion Deal
