Microsoft、国内データセンター拡張へ。AI基盤強化に向けた大規模投資を推進

3月27日、米Microsoft (以下、マイクロソフト) は、東京ビッグサイトで開催した自社イベント 「Microsoft AI Tour 2025」 にあわせて、国内データセンターの拡張計画を発表した。

本計画は、昨年4月に発表された約4,400億円 (約29億米ドル) の投資の一環として実施する。日本国内におけるAI処理能力・計算資源を強化するため、NVIDIAの高性能GPUをはじめとするAzureハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) を今年4月中旬から導入する計画だ。

マイクロソフトのAI技術は、製造業、金融業、医療、食品業界、自治体など多岐にわたる分野で導入が進んでいるとし、実際の導入企業として日立製作所、三菱UFJ銀行、富士フイルムなどを紹介した。

  • 製造業:日立製作所、クボタ、本田技研工業、三菱重工、JFEスチールなどが活用。
  • 金融業:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、セブン銀行、第一生命保険などがAI導入を推進。
  • 医療・食品業界:富士フイルム、HITO病院、日本ハム、すかいらーくホールディングスがAIを活用。
  • 行政機関:経済産業省、総務省、デジタル庁、東京都、大阪府、港区、世田谷区、中野区がAzure OpenAI Serviceを導入。
  • セキュリティ:NTTコミュニケーションズ、集英社がSecurity Copilotを活用し、セキュリティ強化に取り組む。
  • AIエージェント:ウーブン・バイ・トヨタ、ソフトバンク、大和証券、西日本旅客鉄道、富士通などが業務効率化のために導入。

また、以下の会社でのAI活用実績や事例についても紹介している。

  • 日本航空(JAL):小規模言語モデル(SLM)Phi-4を活用した「JAL-AI Report」を導入し、客室乗務員の報告作業時間を最大1/3に短縮。
  • 住友商事:Microsoft 365 Copilotを全社導入し、年間12億円のコスト削減を実現。
  • チューリング:Microsoft Azureを活用し、完全自動運転の実現を目指す。
  • 東京都教育委員会:都内の中高校生向けハッカソンを開催し、プロジェクト完遂率100%を達成。
  • アイシン:Azure AIを活用し、難聴者の話し方をリアルタイムで書き起こす機能を開発。

昨年発表された日本への投資には、「AIおよびクラウド基盤の増強」「人材育成」「研究拠点の開設」「日本政府とのセキュリティ連携強化」の4本柱が掲げられていた。今年1月には「AIスキルズナビゲーター」を提供開始し、2027年までに国内300万人にAIスキル習得機会を提供することを目指している。

また、上記にあわせて 「CyberSmart AI」 という新たなサイバーセキュリティ関連のスキル習得プログラムを本日より提供するとも発表している。政府機関や基幹インフラ事業者、公営企業向けに無償で提供し、参加者は最新のサイバー脅威に対応するための知識とAI活用スキルを学ぶことが可能だ。

また、女性のAI人材育成を目指すプログラム 「Code; without Barriers in Japan」 の拡充や、「AIドリブン開発」をテーマにした企業向けの研修プログラムなど、既存のプログラムの強化も行なっていくとしている。

(画像:Microsoft)

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