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Microsoft、新PCカテゴリ 「Copilot+ PC」 発表。AI機能+長時間駆動を可能にする新時代のWindowsラップトップ

現地時間5月20日、米Microsoftは新たなPCカテゴリとして 「Copilot+ PC」 を発表した。

「Copilot+ PC」 は、PCに内蔵するAIハードウェアとOS全体で、AI機能をサポートする “AIファースト” のPCカテゴリ。Microsoftのサティア・ナデラCEOは、この 「Copilot+ PC」 はすべての主要ラップトップパートナーから提供されると発表した。具体的には、デル/レノボ/HP/エイサー/ASUS/サムスンが挙げられている。

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“AIファースト” のPCカテゴリ 「Copilot+ PC」 各社から発売へ。Appleとの差を埋められるか

「Copilot+ PC」 として認定されるためには、Microsoftが定める一定のスペック要件を満たしていることが求められる。まずは、40 TOPS以上のパワーを持つNPUを搭載していることが必要だ。

それを満たす最初のチップとして、Qualcommの新しい 「Snapdragon X」 シリーズが 「Copilot+ PC」 に搭載されることになる。IntelおよびAMDのチップを搭載した 「Copilot+ PC」 は今年後半に登場することになる。

スペック要件としては、他にも16GBのRAM、256GBのSSDを内蔵することも求められる。RAM容量に関してはMacBook Airの吊るしモデルの2倍の量だ。

Microsoftは、この 「Copilot+ PC」 はMacBook Air (M3)に比べて58%高速に動作するとアピールする。また、QualcommのARMベースのチップを搭載したモデルは最大15時間のウェブブラウジングが可能とし、同社は 「Copilot+ PC」 を “新たな時代のWindowsラップトップの始まり” として位置づけている。

前述のとおり、主要なラップトップメーカーから 「Copilot+ PC」 が投入されることになるが、Microsoft 自らもSurfaceラインから 「Copilot+ PC」 を投入する。「Surface Pro」 「Surface Laptop」 の2機種だ。Microsoftは、この 「Copilot+ PC」 ブランドのもとで、5,000万台のラップトップが出荷されると予想している。

「Copilot+ PC」 の発表にあわせて、Microsoftは 「Recall (リコール)」 という新しいAI機能を発表している。これは、PC上で行ったことや見たことを記録してくれる機能。これらの履歴は、すべて自然言語によって検索することができ、どのアプリでも利用できる。この機能は、ラップトップに内蔵されたNPUで実行しており、バックグラウンドで動作するとのことだ。

ARMベースの 「Copilot+ PC」 に関する主な懸念点は、既存のアプリケーションとの互換性が十分に確保されているかどうかだ。AppleのARMアーキテクチャの成功は、既存のアプリの大部分が問題なく動作したことが大きな要因だった。

Microsoftは、今回の「Copilot+ PC」のために「Prism」というエミュレータを用意している。Microsoftによれば、このエミュレータはAppleの互換エミュレータ「Rosetta 2」と同様に効率的に動作し、従来のWindows on Armデバイスに比べてアプリのエミュレーション速度が2倍速いと述べている。

実際の動作速度は実機で確認する必要があるものの、すでに多くのアプリがARMチップをネイティブにサポートしていることを考えると、互換性の問題はそれほど深刻ではないかもしれない。

この 「Copilot+ PC」 は、ライバルであるAppleに対して大きな対抗策となり得るだろう。Appleは2020年にM1チップを搭載したMacBookを発売したが、このMacBookはWindowsラップトップに比べてより高いパフォーマンスとバッテリー駆動時間を実現していたため、MicrosoftはAppleに対して大きな遅れを取ることになる。

Microsoftは2012年にARMプロセッサを搭載したSurface RTを発売していたものの、パフォーマンスは低く、アプリの互換性も十分ではなかった。2019年にはSurface Pro Xでアプリの互換性の部分など大きな改善が行われたが、それでもAppleのMacBookを負かすことはできなかった。

今回の「Copilot+ PC」は、Appleとの間に開けられた溝を埋めるチャンスかもしれない。動作速度やバッテリー寿命だけでなく、多数の新しいAI機能を実行できるようになり、MacBookよりも使い勝手の良いPCになる可能性もある。少なくとも従来のARMベースのWindows PCよりは良い製品になりそうだ。

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(画像:Microsoft)