
Metaがスマートグラス事業の次なるステージへと踏み出す。Ray-Banとの協業で成功を収めたAI搭載スマートグラスを足がかりに、同社は提携先のEssilorLuxottica(以下、Luxottica)との関係をさらに強化。新たにOakleyおよびPradaブランドでもスマートグラスを展開する方針が明らかになった。
OakleyとMetaのスマートグラスが6月20日発表へ。スポーツ市場を視野に
MetaとOakleyは、6月20日の製品発表に先駆けて、すでに「Oakley | Meta」名義の公式Instagramアカウントを開設し、ティーザー投稿を開始している。MetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏も、自身のInstagramストーリーズでこの投稿をシェアしており、Ray-Banとのコラボと同様に大規模な展開となる可能性が高い。
Bloombergの報道によれば、Oakley版スマートグラスは同社のスポーツ向けモデル「Sphaera」をベースにしたデザインで、フレーム中央部にはカメラを内蔵。サイクリストやスキー、テニスといったアクティブなユーザー層を主なターゲットとしているという。実際、Ray-Ban Metaグラスの初期ユーザーの多くが、運動中の動画撮影に活用していたという社内データもある。
価格はおよそ360ドルを想定。Ray-Ban版に比べて耐候性が強化され、屋外でのアクティビティ使用に適した設計となる見込みだ。搭載技術はRay-Ban Metaと同様で、音声アシスタント「Meta AI」に対応。カメラ撮影、音楽再生、通話機能なども利用できるとみられる。
Ray-Ban Metaグラスは、第2世代モデルが2023年に登場し大ヒットを記録。2024年2月時点での販売台数は200万台を突破している。LuxotticaのCEOであるフランチェスコ・ミレリ氏は、2026年末までに年間1,000万台の生産体制を目指すと語っている。
MetaとLuxotticaのパートナーシップは、2023年10月に再締結されており、契約規模は50億ドルにのぼる。これによりMetaはRay-Ban以外のLuxottica傘下ブランドにおいても、独占的にスマートグラスを展開できる権利を獲得している。
Pradaも参入。厚めのテンプルがスマートグラス向きに
CNBCの報道によると、Metaはさらに、ラグジュアリーファッションブランドPradaとの協業にも着手している。Pradaは2023年12月にLuxotticaと10年間のライセンス契約を更新しており、「Prada」「Prada Linea Rossa」「Miu Miu」といったブランドでアイウェア事業を継続している。
Prada版スマートグラスの詳細はまだ明らかになっていないが、関係者によれば、Prada製アイウェアの多くが採用する厚めのテンプル(つる)は、バッテリーやマイク、チップといったスマートグラスに必要なパーツを組み込むうえで理想的だという。
競争激化ーー。Google、Snap、Appleも参入準備
スマートグラス市場には、他の大手テック企業も続々と参入を予定している。GoogleはWarby Parkerと提携し、自社のAI「Gemini」を搭載したスマートグラスを2025年以降に発売予定。
Snapも「Specs」ブランドの第6世代スマートグラスを2026年にリリース予定で、AR技術を搭載し、従来よりも小型・軽量化される見通し。さらに、AppleもAIスマートグラスを2026年後半に投入すると報じられている。
そして、Meta自身もARグラス「Orion(オリオン)」のプロトタイプをすでに披露しており、2027年の本格展開に向けて開発を進めている。
(画像:OAKLEY)