7月12日、Appleは新型モデル「MacBook Pro(2018)」を発表した。すでに、Apple公式サイトから注文可能になっている。
新型モデルの登場はあまりに唐突だった。事前情報もほとんどなかったため、心の準備ができていなかった方も多かったのではないだろうか。
そんな方達のために、当記事では新型MacBook Pro(2018)の性能や仕様を紹介。さらに、旧型モデルとなった2017年製MacBook Proから何が変わったのかを比較検証していきたい。そして、最後には驚きの事実も……詳細は以下から確認して欲しい。
ちなみに前置きしておくと、今回のアップデートでは13インチ「MacBook Pro(Touch Barなし)の新型モデルは発表されていない。そのため、あくまで今回の記事はTouch Bar搭載モデルの話がメインとなるので、その点は注意していただきたい。
新型モデルと旧型モデルを比較
まずは、新型モデルと旧型モデルの違いを一気に書き連ねてみた。変更点は全部で7点あるので、それを最初に確認しておいていただきたい。これらを踏まえた上で、以下で個別の項目について説明していきたいと思う。
・本体デザインは変更点なし
・第3世代バタフライキーボードが搭載
・画面がTrue Toneに対応
・Apple T2チップを搭載しセキュリティ向上
・Hey Siriに対応
・Intel第8世代プロセッサ(Coffee Lake)が搭載
・RAM容量が最大32GBまで増量可能に
・ストレージ容量が最大4TBまで増量可能に
最初は本体デザインについて。今回、発表された新型モデルは従来機のマイナーアップデートモデルになっており、見た目的には前モデルから全く変化がないと言っても良いだろう。
搭載されているポートはUSB-Cと3.5mmイヤホンジャックのみ。「Touch Bar」も引き続き搭載する。もちろん、「Touch Bar」の右端には指紋認証機能「Touch ID」が搭載されており、スムーズなログインが可能だ。
ただ、本体デザインは変化がほぼないと言ったものの、唯一触って違いが感じられるものとして新たに第3世代のバタフライ式キーボードが採用されたことが挙げられる。
以前のバタフライキーボードでは、キーを打つたびに「パチパチ」という音が鳴るため、一部のユーザーからは「耳障り」と不満の声があがっていた。2017年モデルでキーボードは第2世代になってやや打鍵音が改良されたものの、それでも不満の声はなくならなかった。
しかし、今回から第3世代バタフライキーボードになったことでキーボードはさらに改良。静粛性が増しており、これまでの不満を解消できることが期待できる。
また、音の問題以外にも不具合を多発していた同キーボード。従来モデルについては交換プログラムも発表されており、一部からは「失敗したキーボード」とも言われていたが、第3世代ではさらなる改良を加え、故障などのトラブルを未然に防ぐことが期待される。
【追記】2018.07.14 12:50
「MacBook Pro 2018」はキーボードの機構が変更されており、キートップとバタフライ構造の間にシリコン製の”膜”が導入されており、内部に埃が入りづらい構造になっている。そのため、これまで多発していた問題が解決できている可能性が高い。詳しくはこちらの記事へ。
さらに細かい変更点かもしれないが、画面にはTrue Toneに対応したRetinaディスプレイが搭載された。このTrue Toneディスプレイとは、周辺光の色や明るさを検知することで画面の色合いを調節する機能。すでにiPhoneやiPadに搭載されている機能ではあるのだが、AppleはこれをMacにも導入した。
例えば、夕陽の元でMacBook Proを開くと画面はわずかに赤みがかった色に変化するなど。どんな光源の元でも、自然な色合いの画面を見ながら作業することができる。
また、「iMac Pro」に搭載された「Apple T2」チップも搭載されたおかげでシステムのセキュリティが強化、セキュアブートとストレージのオンザフライ暗号化に対応した。また、Macとして初めて「Hey Siri」に対応するなど新機能も搭載されている。
※ 今回の新型モデル発表は「Touch Bar搭載モデル」だけになっているため、13インチモデルの「Touch Bar 非搭載モデル」にはT2チップは搭載されていない。もちろん、Hey Siriも利用できないので注意。
最大6コアの内蔵プロセッサ、RAM容量32GB、ストレージ最大4TBをサポート
内蔵プロセッサなど、MacBook Proの内部の話に移っていこう。むしろ、ここからがメインの話となる。
まずはプロセッサについて。以前の2017年モデルでは第7世代プロセッサ「Kaby Lake」が採用されていたが、2018年モデルでは新たに第8世代プロセッサ「Coffee Lake」が搭載された。また、コア数も13インチモデルは4コア、15インチモデルは6コアになるなど性能の向上が図られている。
Appleによると、この新プロセッサの搭載によって13インチモデルは最大2倍、15インチモデルは最大70パーセントの高速化を実現しているとのこと。
2016年モデル(Skylake)から2017年モデル(Kaby Lake)にアップデートされた際もプロセッサの世代が1つ上がったが、だからといって飛躍的な処理性能の向上は見られなかった。しかし、2018年モデルはコア数の増加も相まって処理性能が大きく変わっているはずだ。
次は、メモリ容量(RAM)について。これまでMacBook Proの最大RAM容量は16GBだったが、新型モデルからは32GBを搭載することができるようになった。
これによって同時に実行できるアプリケーションの数が増えるほか、大容量のファイルをメモリに読み込んだりするのもより簡単になる。Appleの発表によると、従来の16GBモデルに比べて処理能力が2.8倍高速になっているという。
ただし、これはMacBook Proの15インチモデルだけのオプションになっており、13インチモデルについては最大16GBまでとこれまで通り。ちなみに、標準構成では13インチモデルは8GB、15インチモデルは16GBとなっている。
最後にストレージ容量について。今回の新型MacBook Proでは最大ストレージ容量に変更がある。
これまでは13インチモデルが最大1TB SSD、15インチモデルは最大2TB SSDだったが、2018年モデルでは13インチモデルが最大2TB SSD、15インチモデルは最大4TB SSDが搭載可能になっている。今までより多くのデータを保存することができるはずだ。
最少ストレージについては旧型モデルから変更点はなし。13インチモデル(Touch Barあり)が256GB SSD、15インチモデルが512GB SSDとなっている。ちなみに新型モデルが発表されなかった13インチモデル(Touch Bar 非搭載)の最少ストレージは128GB SSDだ。
ここまで、MacBook Proのスペック・機能・端末デザインなどの変更点を一通り説明してきた。全ての変更点を簡単にまとめると以下の表の通りになるので、確認していただきたい。
MacBook Pro 2017 | MacBook Pro 2018 | |
---|---|---|
ディスプレイ | Retinaディスプレイ | True Toneテクノロジー採用 Retinaディスプレイ |
キーボード | 第2世代バタフライキーボード | 第3世代バタフライキーボード |
プロセッサ |
第7世代プロセッサ 13インチ(Touch Barなし):2コア |
第8世代プロセッサ 13インチ(Touch Barあり):4コア |
内蔵チップ | – | Apple T2チップ搭載 Hey Siriに対応 |
RAM容量 | 13インチ:8GB / 16GB 15インチ:8GB / 16GB |
13インチ:8GB / 16GB 15インチ:16GB / 32GB |
最大ストレージ容量 | 13インチ:1TB 15インチ:2TB |
13インチ:2TB 15インチ:4TB |
価格は据え置きだが、全盛りモデルはなんと731,800円 (税別)
最後に価格について。新型MacBook Proはマイナーアップデートである上に大きな変更も少ないことから、価格については前モデルからの据え置きとなっている。
標準構成の価格は以下のとおり。これに、必要に応じてCPUのアップグレードやメモリ増量などのCTOオプションを追加して購入することができる。価格は13インチモデル(Touch Barなし)が142,800円から、13インチモデル(Touch Barあり)が198,800円から、15インチモデルが258,800円から購入可能だ(いずれも税別)。
13インチ (Touch Barなし) |
13インチ (Touch Barあり) |
15インチ | |
---|---|---|---|
標準構成 | 142,800円 | 198,800円 | 258,800円 |
全盛り | 285,800円 | 407,800円 | 731,800円 |
※13インチモデル(Touch Barなし)は2017年モデル
そして、驚きの事実。MacBook Pro 15インチモデルについては、プロセッサやメモリ、ストレージなど全てを最大にした場合、なんと価格は731,800円 (税別)になる。もはや過去最高の性能を持つiMac Proですら余裕で買えてしまう値段だが、もし持ち運びができる最強のMacを購入したい場合はぜひ全盛りモデルの購入を。
まとめ:「MacBook Pro(2018)」は買いなのか
せっかく旧モデルと比較したので、新型「MacBook Pro(2018)」は買いなのか、という疑問についてお答えをしておこう。
もし、あなたがMacBook Proを持っていないのであれば、おそらく「買い」ではないだろうか。ここ数年のMacBook Proは、性能的には十分なものだったものの、キーボードやGPUなどの問題が多発したことでユーザーからは不満の声が上がっていた。
しかし、2017年モデル、そして2018年モデルと2度のアップデートを経て様々な改良が行われた結果、現行デザインのMacBook Proは完成に近づいていると筆者は見ている。キーボードの打鍵音の静粛性が増し、RAM容量もユーザーの希望通り最大32GBに対応するなど、概ね多くのユーザーが求めていたMacBook Proが誕生したように思える。
また、現行デザインになってからMacBook ProではUSB-Aなどのレガシーポートが容赦なく廃止されてしまったため一時は批判もあったが、最近ではUSB-C対応アクセサリが増えてきたこともあり、USB-Cへの移行も割と簡単になりつつある。そういう意味では、もしこれまでMacBook Proの購入を検討しながらも、購入できずにいた方は今回の新型モデルの登場が良い機会かもしれない。
また、旧型モデルを持っているユーザー(特に2016年モデル)に関しては、買い換える必要があるかどうかは人それぞれだろう。
筆者は、すでに2017年モデルを持っているユーザーに関しては買い換えるほどのアップデートではないと感じているが、中にはより高い性能を持ったMacBook Proが必要な人もいるかもしれない。
重要なのは今持っているMacBook Proに不満があるかどうか。Hey Siriなどの新機能も搭載されているので、ぜひ真剣に悩んでみてほしい。
以下が、現在販売されているMacBook Proのスペック詳細。購入はこちらからどうぞ。
Touch Barなし(2017年モデル) | Touch Barあり | |
---|---|---|
ディスプレイ | 13.3インチRetina 広色域ディスプレイ(P3) 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) |
13.3インチRetina 広色域ディスプレイ(P3) 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) True Toneテクノロジー |
プロセッサ | 2.3GHzデュアルコアIntel Core i5 Turbo Boost使用時最大3.6GHz 64MB eDRAM オプションで |
2.3GHzクアッドコアIntel Core i5 Turbo Boost使用時最大3.8GHz 128MB eDRAM オプションで |
ストレージ |
128GB SSD オプションで |
256GB SSD オプションで |
メモリ | 8GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ オプションで16GBに変更可能 |
8GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ オプションで16GBに変更可能 |
グラフィック | Intel Iris Plus Graphics 640 | Intel Iris Plus Graphics 655 |
キーボード | 第3世代バタフライ式キーボード | 第3世代バタフライ式キーボード Touch Bar搭載 |
外部ポート | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 2 | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
価格 | 142,800円(税別)〜 | 198,800円(税別)〜 |
下位モデル | 上位モデル | |
---|---|---|
ディスプレイ | 15.4インチRetinaディスプレイ 広色域ディスプレイ(P3) 2,880 x 1,800ピクセル(220ppi) True Toneテクノロジー採用 |
15.4インチRetinaディスプレイ 広色域ディスプレイ(P3) 2,880 x 1,800ピクセル(220ppi) True Toneテクノロジー採用 |
プロセッサ | 2.2GHz 6コアIntel Core i7 Turbo Boost使用時最大4.1GHz 9MB共有L3キャッシュ オプションで |
2.6GHz 6コアIntel Core i7 Turbo Boost使用時最大4.3GHz 9MB共有L3キャッシュ オプションで |
ストレージ |
256GB SSD オプションで |
512GB SSD オプションで |
メモリ | 16GB 2,400MHz DDR4オンボードメモリ オプションで32GBに変更可能 |
16GB 2,400MHz DDR4オンボードメモリ オプションで32GBに変更可能 |
グラフィック | Radeon Pro 555X Intel UHD Graphics 630 オプションで |
Radeon Pro 560X Intel UHD Graphics 630 |
キーボード | 第3世代バタフライ式キーボード Touch Bar搭載 |
第3世代バタフライ式キーボード Touch Bar搭載 |
外部ポート | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
価格 | 258,800円(税別)〜 | 302,800円(税別)〜 |
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