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M5 Max「MacBook Pro」実機レビュー。118万円の怪物が「ローカルAI」を日常に変える

2026年3月に発売されたAppleの新型「MacBook Pro」は、外観こそ従来モデルを踏襲しているものの、M5世代の最新SoCを搭載したことで、パフォーマンスが大きく向上している。

なかでも最上位モデルにあたる「M5 Max」搭載機は、これまでクラウドに頼ることが多かったAI処理を、ローカル環境で完結させるという新しい使い方を、より現実的なものにしつつある。

これまで「Max」チップは、動画編集や3DCG制作といった高負荷なクリエイティブ用途向けの存在とされてきた。しかし現在では、その位置づけにも変化が見られる。4K動画編集やRAW現像といった処理であれば、下位の「Pro」チップでも十分にこなせるようになってきているためだ。

では、「M5 Max」の価値はどこにあるのか。本稿では実機検証を通じて、その答えを探っていく。

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外観は変えずに完成度を磨いた新型16インチMacBook Pro。その実力を検証してみた

今回試用したのは、16インチMacBook Pro (M5 Max) のフルカスタムモデルだ。M5 Max(18コアCPU/40コアGPU)、128GBメモリ、8TB SSDという構成で、まさにプロ向けのワークステーションに近い存在だ。

価格は118万3800円。一般的なノートPCの枠を大きく超える金額だが、128GBメモリを単体で買うと25〜40万円、8TB SSDなら20〜40万円ほどすることを考えたら、決してボッタクリではないことがお分かりいただけると思う。

筐体は従来と同様、アルミユニボディを採用。直線的でミニマルなデザインは変わらず、余計な装飾を排したシンプルな佇まい。カラーラインアップは、スペースブラックとシルバーの2色展開。今回試用したスペースブラックは指紋が付きにくい処理が施されており、以前のように見た目が汚く見えないのがグッドだ。

16インチモデルは、持ち運びやすさという点では14インチに劣るものの、表示領域の広さが大きな武器になる。実際に使ってみると、コードエディタとブラウザ、ドキュメントを並べても余裕があり、ウィンドウを切り替える回数が減る。開発や編集作業では、この差がそのまま効率に直結する。

ディスプレイはLiquid Retina XDRを採用。高輝度・高コントラストに加え、色再現性も高く、映像制作や写真編集にも十分対応できる品質だ。Nano-textureディスプレイを選択すれば、外光の映り込みを抑えられ、作業環境を選ばない点も実用的だ。

インターフェースも引き続き充実している。Thunderbolt 5ポート、HDMI、SDカードスロット、MagSafe充電など、プロ用途で求められる端子が揃っており、外部機器との接続に困ることはない。薄型ノートでありながら拡張性をしっかり確保している点は、このシリーズの大きな強みだ。

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M5 Maxが切り開いた「新しい性能領域」

M5 Maxは、18コアCPUと最大40コアGPUを備えるAppleシリコンの最上位チップだ。ベンチマークでもその実力は明確で、「Geekbench 6」ではCPUマルチコア約2.9万、GPU(Metal)スコアは22万超という、モンスタースペックらしい結果になった。

ただし、重要なのは数値そのものではない。このチップの本質は、CPU性能の向上以上に、GPU性能とメモリ性能のバランスにある。

ローカルでAIモデルを扱う場合、処理のボトルネックになりやすいのはCPUではなく、GPUの並列処理能力とメモリ帯域だ。大量のパラメータを読み込みながら連続的にトークンを生成するという特性上、これらの要素が不足すると途端に速度が落ちたり、そもそも動作しなくなる。

M5 Maxは最大128GBのユニファイドメモリと614GB/sのメモリ帯域を備え、この弱点を大きく改善している。結果として、従来のノートPCでは扱えなかった規模のモデルでも現実的に動かせるようになった。

AIベンチマークでもGPUスコアが大きく伸びており、このチップがどの用途を見据えているのかは明らかだ。動画編集の高速化というよりも、「AI処理をローカルで完結させる」ことに重点が置かれている。もっと言うと、M5 Maxは「重い作業を速くするチップ」ではなく、「これまでできなかった作業を可能にするチップ」へと進化しているとも捉えることができるだろう。

処理ユニット指標A18 Pro (MacBook Neo)M1 Max
(MacBook Pro)
M2 Max
(MacBook Pro)
M3 Max
(MacBook Pro)
M4 Max
(MacBook Pro)
M5 Max
(MacBook Pro)
CPUSingle Precision Score471239454352497056115078
Half Precision Score786164477251805693568832
Quantized Score624551705763646171867053
GPUSingle Precision Score70131443917988204772311627483
Half Precision Score83091601219886229972572843857
Quantized Score74341504118648216842384340909
NPUSingle Precision Score471237094130505659945117
Half Precision Score331901589726990326283910244173
Quantized Score452411559530064363145385358268

ローカルLLMが現実的なツールに。カップラーメンも茹でられないスピード感溢れる「ローカル生成」

今回の検証で最も印象的だったのは、ローカルLLMの扱いやすさだ。

128GBメモリを活かし、「LM Studio」で80Bクラスのコード特化モデルをロード。Next.js、TypeScript、Prisma、PostgreSQLを組み合わせたフルスタックのブログアプリ生成を指示し、認証やCRUD、コメント、いいね機能まで含めた実装を要求した。

あえて「すべてのコードを省略せず出力する」という条件を付けたが、生成は途中で止まることなく最後まで完走。所要時間は約2分で、生成速度は約88トークン/秒に達した。

体感としては「待つ」という感覚がほとんどなく、一定のリズムで処理が進み続ける。M1 Max世代では同様の処理に5〜15分かかることもあり、場合によっては途中で停止することもあった。

さらに別モデルでも検証したところ、70Bクラスで約12tok/sec、27Bクラスで約24tok/secと、用途に応じて現実的な速度で動作することを確認できた。GPU使用率は高く、ファンも回転するが、温度は85℃前後で安定しており、長時間の処理でも破綻する様子はなかった。

この新型MacBook Proが示してくれたのは、ローカルAIがいよいよ「試せるもの」から「日常的に使えるもの」へと変わっているということだ。

小規模なWebアプリであれば、設計から実装までをローカル環境だけで完結できる。しかも、それがデスクトップではなくノートPCで実現できている点は大きい。持ち運び可能な環境でここまでの処理ができるというのは、正直に驚きのポイントだった。

ローカルLLMだけでなく、写真の現像作業を行なってみた。約100枚のRAW画像を書き出す作業をわずか25秒程度で完了できた。M4 Maxでは約1分、M1 Maxでは2分40秒ほどかかっていたことから、かなり高速化されていることがわかる。

また、ゲーミング性能も簡単にテストしてみたところ、『BIOHAZARD VILLAGE』は1440p解像度において150〜180fpsを維持していた。また、MetalFX Upscalingをオンにしてみたところ150〜200fpsあたりを推移。非常に滑らかな映像のもとでゲームをプレイすることができた。紛れもなく、M5 MaxチップのGPU性能のおかげだろう。

118万円のフルカスタム MacBook Proを試してみてーー。高価だが、それでも成立する理由

118万円という価格は、さすがに誰にでも勧められるものではない。ただ、その金額にはきちんとした理由がある。その理由のひとつが、本機の「役割」の変化だ。

M5 Maxを搭載したMacBook Proは、これまで通り「高性能なノートブック」であることに変わりはない。しかし、その潜在能力を考えると、もはや「高性能なノートブック」と呼ぶより、「ローカルでAIを動かすための環境そのもの」と言った方が近い。

先日、MacBook ProでローカルLLMを実際に動かした検証結果をソーシャルメディアに投稿したところ、世界中の開発者から驚きの声が寄せられた。フルスタックのブログアプリが、カップラーメンができるよりも短い「わずか2分」で完成してしまったのだ。この結果は、筆者自身にとっても衝撃的だった。

ローカルで大規模モデルを動かせるため、機密データを外部に送信せずに処理できる。プライバシーや情報漏洩を懸念する企業や開発現場にとって、これは大きな強みになる。

さらに、見逃せないのがコスト面だ。AIを継続的に使う場合、クラウドの利用料は積み重なる。一方、ローカル環境なら初期投資こそ大きいものの、長い目で見ればコスト効率に優れるケースもある。

開発者にとっては、コード生成や設計を支援する「常駐エージェント」のように使え、思考から実装までの流れを途切れさせずに済む。クリエイターにとっても、長文生成や翻訳、画像・動画処理の下準備といった作業をローカルで完結できるメリットは大きい。

M1〜M3世代が「まずは試せる環境」、M4が「実用レベルの環境」だったとすれば、M5 Maxは「日常的にストレスなく使い続けられる環境」にようやく到達したと言える。

もちろん、すべてのユーザーにここまでの性能が必要なわけではない。ただ、ローカルAIを本格的に活用したい開発者や研究者にとっては、この1台でできることは確実に広がる。価格の高さを理解したうえで、それでも導入する価値があると判断できる人にとっては、完成度の高い選択肢だ。

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