ロジクール Signature Slim Solar+ K980 レビュー:電池切れの概念をなくしたAI時代の新キーボード

キーボードの電池を替えたり、充電ケーブルを差したり。そんな些細だけれど確実に積み重なる手間。その煩わしさは、ロジクールの新型ワイヤレスキーボード「K980」がスッキリ解消してくれる。

11月27日に発売される「Signature Slim Solar+ K980 ソーラー充電キーボード(K980GR)」は、光で自らを充電し、AIも呼び出せる、まさに現代的なキーボードだ。フルサイズの静音キーボードとしての完成度に加え、環境性能とAI対応という2つの柱を備えた注目のモデルとなっている。

ロジクールは本製品の発表に先駆け、報道関係者向けにメディアブリーフィングを実施。その後、約2週間にわたり実機を試用する機会を得た。本稿では、そこで感じた印象と実際の使い勝手を中心に紹介していく。

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充電はもう不要。ソーラーパネルで半永久的に使えるK980が目指すもの

上:Signature Slim K950/下:Signature Slim Solar+ K980

K980は、ロジクールの「Signature」シリーズに属するプレミアムな日常用キーボードだ。

同社はこれまでも静音性や快適な打鍵感を重視したモデルを展開してきたが、今回のK980では「充電を意識させない」設計思想を徹底している。

本製品には、新開発のソーラー充電システム「Logi LightCharge」が搭載。キーボード上部のソーラーパネルに太陽光や室内の明かりを当てることで、常時充電しながら使い続けることが可能だ。なお、ソーラーパネルを搭載したキーボード製品としては2012年に発売した「K750r」以来。

このソーラーパネルは200ルクス以上の光量で発電できる高効率のものとなっており、蛍光灯下や曇りの日でも安定して発電できる。

一般的に200ルクスというと、家庭のリビングや通路など、くつろぎ空間などに適した照度と言われており、書き物や読書をするには300ルクス以上が理想とされている。

厚生労働省が制定する労働衛生基準では、一般的な事務作業が行われる事務所環境は300ルクス以上の照度が推奨されていることから、ほとんどのオフィスでは問題なく充電できるはずだ。

ユーザーは充電や電池交換といった管理を一切気にしなくて済むため、まさに「充電からの解放」を実現した製品と言えるだろう。電源アダプターが必要ないということは、デスク周りのケーブルを減らすことにもつながり、ワークスペースのミニマル化にも貢献できる。

バッテリー駆動時間は最大4カ月。ただし、これは暗闇のなかで一切充電ができない状態が続いたときの話で、実際には使用中も充電されるため、バッテリー切れを起こす心配はかなり少ないはずだ。

ちなみに、ソーラー充電はキーボードの電源を入れているときにのみに行われる仕組みになっていて、例えば外出先に持ち出すために電源をオフにすると充電されないことになるが、代わりにバッテリー消費も行われないためさほど問題にはならないはずだ。

K980はスリムなフルサイズレイアウトを採用。テンキーを備えながらも圧迫感がなく、机上にすっきりと収まる。ロジクールらしいマットグレーの質感も高級感を感じさせる仕上がりだ。

キー構造はノートPCに近いパンタグラフ式で、軽快な打鍵感と高い静音性を両立。キー表面はわずかに凹んでおり、指の収まりが良い。約1,000万回の入力耐久があり、長期使用にも十分耐えうるだろう。

今回のK980で大きな注目ポイントとなっているのが、ロジクール初の「AI起動キー」だ。

ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AIサービスをワンタッチで起動でき、日常のリサーチやアイデア整理をAIに任せるユーザーにとっては極めて便利な機能と言えるだろう。

専用アプリ「Logi Options+」を使えば、このAIキーを含む最大23個のショートカットキーをカスタマイズでき、さらにマクロ自動化機能「Smart Actions」にも対応している。たとえば「Ctrl+C」→「AIに要約を依頼」→「結果をメモに貼り付ける」といった作業を自動化することも可能だ。

上:Signature Slim K950/下:Signature Slim Solar+ K980

ちなみに、本体裏側にバッテリーとソーラーシステムが搭載されている関係で、角度調整スタンドは非搭載。一応、完全にフラットなわけではなく、わずかに傾斜はついているのだが、もっと傾斜をつけてタイピングしたいユーザーは、別途リストレストやスタンドの併用を検討したいところ。

接続はBluetoothまたはLogi Bolt(別売レシーバー)の2方式に対応し、Windows/macOS/iPadOS/Androidなど複数OSで使用可能。

Easy Switchボタンを使えば、登録した最大3台のデバイスをワンタッチで切り替えられる。ノートPCからタブレット、スマホへと瞬時に入力先を変えられる点は非常に便利で、在宅勤務や複数端末を併用するユーザーに向いている。

環境にも配慮されており、K980のプラスチック部品のうち73%が再生素材で構成されており、パッケージにもFSC認証紙を採用。ロジクールが掲げる「2050年までのネットゼロ排出」目標に沿った設計となっている。

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K980を実際に使ってみた。AIキーは思った以上に自然に使える

実際に数週間使用してみると、まず感じるのは「充電という行為を完全に忘れられる」快適さだ。従来のワイヤレスキーボードで避けられなかった電池切れのタイミングが完全に消えた。

まだ、約2週間しか使っておらず十分に検証できたとは言いづらいかもしれないが、朝から晩まで室内照明のもとで使っていても、バッテリー残量は減るどころか常に安定していたことから、筆者の作業環境においてバッテリー切れを起こすことはおそらくないのではないだろうか。あったとしてもそれはキーボードの故障したとき、つまり半永久的に本製品を使用することができるはずだ。

なお、K980を充電できているかどうかは、専用アプリ「Logi Options+」で確認ができる。試しに夜に照明を消して計測してみたところ「充電するには光が不十分」と表示された。これが出る環境で本製品を使用し続けるのは難しいということになる。

参考までに、筆者のデスクに設置しているIKEA製のLED電球(1球タイプ/345ルーメン)で照らしてみたところ、ライトを直接当てた場合は充電できたものの、斜めから光を当てると充電は行われなかった。

とはいえ、LED電球1球だけで作業しているユーザーはそれほど多くないと思われるため、実用上は大きな問題にはならないだろう。明るさの目安として、その程度の光量を想像してもらえればよいと思う。

キーボード自体の打鍵感は軽めで、静音タイプらしく音はほとんど気にならない。高速タイプ時にもガチャガチャとうるさくないため、小さめなオフィスや隣の席との距離が近い環境で働くユーザーも安心して使えるのではないだろうか。

長時間のタイピングでも指の疲れは少ないものの、ひとつ懸念点としてはキーボードの傾斜を調整できない点は好みが分かれそうだ。ソーラーパネルを内蔵するため構造的に仕方なかった部分だったとは思うが、傾斜のないフラット設計は手首をやや寝かせて使う必要があるため、この点が気になる場合はリストレストを併用していただきたい。

ロジクール製品でお馴染みのEasy Switchは、相変わらず利便性が抜群。ノートPCからiPadにワンタッチで入力を切り替えることができ、さらにはスマホへの切り替えも一瞬で完了する。リモートワークや複数端末の行き来が多い人には、大きな恩恵があるはずだ。

今回初搭載となった「AI起動キー」は、日常の作業の中で自然にAIを呼び出すための導線として非常に良くできている。

特にChatGPTやGeminiを常用しているユーザーなら、この1キーの存在が生産性を大きく変える。文書作成中に要約を頼んだり、リサーチの方向性を相談したりする度に、いちいちブラウザを開く手間がなくなる。まるでAIが手元の延長線上に常駐しているような感覚だ。

ちなみに、カスタマイズ次第では、AIキーを「定型文の生成」「テキスト翻訳」「画像検索」などに割り当てることもできる。ぜひお好みの設定で使用いただきたい。

まとめ:派手ではないが確実に日常をアップデートしてくれる静かな革命

「K980」は派手なガジェットではないが、確実に日常の作業環境を変えてくれる1台だ。

光エネルギーを利用することで、バッテリー切れの不安とケーブルの煩わしさを同時に解消。さらにAIキーによって、生成AIをツールではなく「仕事の一部」として自然に組み込むことができる。静音で、環境に優しく、操作もスマート。

唯一の弱点は角度調整機構がない点だが、これに関しては数千円程度のリストレストやスタンドで解決できたりもするためセルフ改良の余地もある。

充電忘れや、電池交換の手間といったストレスから解放されることで、日々の作業がよりシームレスで快適なものになる。余計な管理を減らし、仕事に集中できる環境を求める人にとって、「K980」は確かな満足をもたらしてくれるはずだ。

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