1日5,000万回。LINEリアクションはなぜ“脇役”から基盤機能へ進化したのか【担当者インタビュー】

2025年5月、コミュニケーションアプリ「LINE」の「リアクション」機能が大きく進化した。

本アップデートでは、それまで6種類に限られていたリアクション用絵文字が、ユーザーの保有するすべてのLINE絵文字に対応。約24万種類もの絵文字が使えるようになった。

今回、LINEヤフーで同機能を担当するプロダクトマネージャーの材木駿平(ざいき しゅんぺい)氏から、アップデートに至った背景や、アップデート後に見えてきた変化について話を聞いた。

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6種類からの拡張──ユーザーの声が動かしたアップデート

トーク上のメッセージや画像を長押しすることで、それに対して絵文字で反応できる「リアクション」機能は2021年8月に登場した。

相手に通知が届かないことから、時間帯を気にせず使えることに加えて、UIが控えめで会話の流れを遮らないという点で、「さりげない意思表示」として多くのユーザーに受け入れられてきた。

導入当初、リアクションに使える絵文字は6種類に限定されていた。シンプルさを優先した設計だったが、利用が広がるにつれ、「6種類では気持ちが足りない」「ちょうどいい表情が見つからない」という声が上がっていたという。この声に応える形で、2025年5月の全絵文字対応が行われた。

リアクション機能の拡張について、材木氏は「表情のバリエーションを増やすことで、より楽しく、より便利になると考えました。ユーザー調査でも反応は良く、長く寄せられていた要望でもありました」と当時を振り返る。

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数字が示した「リアクション」機能の広がり

アップデートの効果はすぐに数字に表れた。提供開始初日、リアクション送信数は全世界で6,200万回を記録。リリース前の平均と比べ114%増、日本国内では122%増の約3,000万回を記録した。SNS上では「神機能」「革命」という声が相次ぎ、ネガティブな反応はほとんど見られなかったという。

アップデート前後に実施した調査では、世代別の認知率も明らかになった。若年層中心という印象とは裏腹に、40歳以上でも十分に浸透している実態が浮かび上がった。

〜19歳:93%
20〜39歳:85%
40歳以上:75%

若年層での高い認知は想定通りだった一方、40歳以上でも4人に3人が絵文字を認知しているという結果は、社内でも驚きをもって受け止められたという。「リアクションや絵文字は若い世代のもの、という印象がありましたが、40歳以上の認知率の高さには正直驚きました」と材木氏。

リアクション機能のアップデートは、絵文字市場にも影響を与えている。リアクションをきっかけに絵文字を購入するユーザーが増え、単体販売・サブスクリプションともに好調に推移。

最新の人気絵文字TOP3は以下の通り(2026年1月29日時点)。いずれも表情が分かりやすく、小さく表示されても感情が伝わりやすい。リアクションというUIに最適化されたキャラクターが、自然と支持を集めている形だ。

1位:ちいかわ絵文字
2位:えもじの子(((動)))の絵文字
3位:おぱんちゅうさぎの絵文字

クリエイター側でも、リアクションで使われることを前提とした、視認性の高い絵文字制作が活発になっている。材木氏は、「LINEスタンプは完成されたプロダクトと思われがちですが、まだ十分な可能性があると考えています」と語る。

小さな絵文字がつくる、コミュニケーションの変化

現在、リアクションの送信数は全世界で1日あたり約5,000万回。日本国内でも約2,500万回にのぼる。LINEの中でも定着した機能のひとつになったと言えるだろう。

リアクション機能の全絵文字対応は、利便性の向上だけにとどまらなかった。利用回数の増加、世代を横断した浸透、そして絵文字市場への波及——その変化は、LINEというコミュニケーション基盤の広がりそのものを示している。

もともと「会話の脇役」として設計された機能が、いまや日常のやり取りを支える存在へと成長した。テキストやスタンプの横にそっと添えられる一つの表情。その自由度を広げることが、コミュニケーションの解像度を高めている。

リアクションは、まだ発展途上の機能とも言える。使い方が変われば、新たな価値が生まれる。成熟したサービスに見える領域にも、余白は確実に残されている。

日常のやり取りの中で重ねられる小さな選択が、LINEという基盤の価値を着実に拡張している。

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