レノボ、2025年度事業戦略を発表。Hybrid AI時代に向けた多角的成長と日本市場への本格対応

レノボ・ジャパン合同会社は5月27日、報道関係者向けに 「2025年度事業戦略説明会」 を開催した。

説明会では、代表取締役社長の檜山太郎氏が登壇し、同社の基本的なビジョンである 「あらゆる人に、テクノロジーの恩恵を届ける」 に基づき、人間中心のイノベーションを通じて世界中の人々の体験を向上させる方針を改めて強調。

また、これからのHybrid AI時代を見据え、同社の包括的なコンピューティングパワー提供体制をさらに強化していく考えを示した。

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「あらゆる人に、テクノロジーの恩恵を」──檜山社長が語るビジョンと成長戦略

レノボは現在、以下の3事業グループで構成されており、クライアントデバイスからエッジ、クラウド、ネットワークに至るまで、統合的なソリューションを提供できる体制を構築している。

  • IDG (インテリジェントデバイスグループ)
  • ISG (インフラストラクチャソリューショングループ)
  • SSG (ソリューション&サービスグループ)

2024/25年度決算では、PC以外の売上構成比が47%に達し、前年比 (FY2023/24対比) で売上21%増、Non-HKFRS Net Income(調整後純利益)36%増という堅調な成長を記録。

レノボのコアビジネスにおける着実な成長や、Hybrid AI時代に向けたポートフォリオの拡張、Non-PC領域での機会増加が収益基盤を多角化し、中長期的な成長を支える原動力となっているとした。

こうした状況を受け、2025/26年度には「GIGAスクール構想・第二期」や「Windows 10サポート終了に伴う管理のモダナイズ」など、ユーザーが直面する喫緊の課題に対し、レノボは積極的に対応していく方針だ。特にこれらは日本のユーザーにとって喫緊の課題であり、これらに「レノボならではのパーソナルコンピューティングパワーで応える」姿勢を示した。

日本のPC利用環境における「機動性」の需要(テレワーク、フリーアドレス、コワーキングスペース利用率など)にも触れ、これに対応する軽量ノートブックPCや常時接続対応PC、GIGAスクール向け端末+ソリューションを製品投入の加速によって実現していくとした。

レノボは製品の提供に加え、サービス面でも “伴走” を強化していく。たとえば、「広さ」としては、設定から導入・管理までを一括で支援するワンストップ体制を提供。「深さ」としては、ワークショップを起点にした個別最適化を通じ、企業ごとの課題にきめ細かく対応していく。

実際の顧客事例として、たとえば日揮ホールディングスでは、デジタル・ワークプレイス・ソリューションとDaaS(Device as a Service)を活用し、国内拠点の約6,000台のPCを刷新した。

また、島根銀行ではLenovo TruScale IaaSを導入することで「所有しない」インフラ運用モデルへと移行。加えて、ThinkPadの導入により働き方改革を推進している。

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Hybrid AI時代への包括的な対応

今回の発表会の中心テーマのひとつが「Hybrid AI」だ。日本の企業や組織におけるAI利活用の展望として、IT支出に占めるAIの割合が拡大し、AI PCの導入や試験導入が進んでいる状況が示された。

レポートによれば、アジア太平洋地域の企業の約65%が、AIワークロードの処理にオンプレミスまたはハイブリッド型のソリューションを選択しているという。日本国内でも同様の傾向があり、66%の企業がオンプレミス、プライベートクラウド、あるいはハイブリッド環境を活用している。

レノボは、エンドツーエンドのAIソリューションやスマートインフラ、戦略的パートナーとの連携を通じて、「Smarter AI for All」という同社のビジョンの実現を目指していく方針だ。

レノボはHybrid AI時代において、クライアントデバイスからデータセンター、クラウドに至るまで、一貫したコンピューティングパワーを提供できる点を強みとしている。

その一例が、業界をリードするLenovo Neptune液体冷却テクノロジーだ。100%直接水冷方式により、従来の空冷と比べて最大約3.5倍の冷却効率を実現している。エッジ環境向けには、ファンレス設計や静音仕様、DINレール対応といった特性を備えた製品を展開。AIワークロードに求められる高効率かつ高信頼な計算処理とストレージ機能を実現している。

レノボは、AI対応ワークステーションや多彩なAI PCを展開し、持続可能なEnterprise AIの実現に向けたハイブリッド・インフラの構築を進めている。また、業種や用途に応じてカスタマイズ可能な「Lenovo AI Library」を通じて、顧客企業のAI活用を加速する体制も整えている。

自社実践と社会貢献。AI活用による業務改善と未来への投資

レノボ自身もAI活用を積極的に進めており、すでに具体的な成果が現れている。セールスやマーケティング分野ではコンテンツ作成の効率を90%向上させたほか、サプライチェーンにおける意思決定の速度も60%向上。さらに、Microsoft 365 Copilotの活用により、従業員1人あたり週1.9時間の業務時間を創出している。

国内で唯一の修理拠点である群馬事業場では、AIを活用した故障部位の自動診断により、新人エンジニアでも修理対応台数を従来の5倍に拡大するなど、柔軟な人材採用と修理ラインの強化にもつなげている。

また、あらゆる企業や組織、個人にテクノロジーの恩恵を届けるというビジョンのもと、社会貢献活動にも注力している。

たとえば、メタバースを活用した不登校支援サービスでは、東京都、静岡県、大阪教育大学と連携し、バーチャル・ラーニング・プラットフォームや仮想空間の学校を提供。子どもたちの多様な学び方を支援している。

さらに、大阪・関西万博においては、パソナグループのパビリオン内で、軟骨伝導イヤホンを活用したインカムシステムや多言語対応のガイド用イヤホンを導入。スタッフ間のスムーズなコミュニケーションと、来場者にとっての快適な体験づくりに貢献している。

レノボ・ジャパンは、急速に進化するAI時代の中で「すべての人にテクノロジーの恩恵を」というビジョンを軸に、日本市場への深い理解とグローバルな技術力を武器にした事業展開を加速していく方針。伴走型のサービス、社会貢献、そして次世代への投資を通じて、よりスマートで持続可能な未来をともに描こうとしている。

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Lenovo取材
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