
9月23日、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA) は、9月25日からスタートした東京ゲームショウ2025に先立ち、「日本ゲーム大賞2025」年間作品部門発表授賞式を開催した。
今年で開催29回目を迎える「日本ゲーム大賞」は、年間を代表するにふさわしいゲームタイトルを選考・表彰する賞。今回の発表会では、2024年4月1日から2025年5月31日の間に国内でリリースされた作品を対象に、選考委員会による審議や一般投票を経て選ばれた「経済産業大臣賞」「ブレイクスルー賞」「ムーブメント賞」「特別賞」「ゲームデザイナーズ大賞」「優秀賞」、そして優秀賞の中から選ばれる「大賞」を発表した。
トップクリエイターがプロの視点から最も優れた作品を選出する「ゲームデザイナーズ大賞」については、審査員長の桜井政博氏をはじめ、飯田和敏氏、イシイジロウ氏、神谷英樹氏、小高和剛氏、トビー・フォックス氏、外山圭一郎氏、ヨコオタロウ氏の8名が審査員として参加。
授賞式では、審査員長の桜井政博氏が「ゲームデザイナーズ大賞」のプレゼンターを務め、本賞の発表ならびに受賞作品の魅力を紹介した。

年間作品部門大賞:『メタファー:リファンタジオ』

“幻想世界”を舞台に、国王の暗殺を機にはじまる王位争奪戦を描いた完全新作ファンタジーRPG。 壮大なストーリーと幻想的な世界観、アクション性と戦術性を両立させた画期的な戦闘システム、背景を彩る美しいサウンドと⻄洋絵画を思わせるユーザーインターフェース、そして圧倒的なプレイボリューム。
作中には見た目や能力、思惑もさまざまな種族が登場。中には思わず目をそむけたくなる言動も。数々の個性的なキャラクターたちによって紡がれる壮大なドラマに、多くのユーザーから熱狂的な支持が寄せられての大賞受賞となった。
年間作品部門:優秀賞










ブレイクスルー賞:『Clair Obscur: Expedition 33』

ベル・エポックと呼ばれる19世紀末のフランスをモチーフにした幻想的な世界を舞台に、遠征隊を編成し命がけの任務に挑むターン制RPG。年に一度目を覚ます謎の少女「ペイントレス」がモノリスに描き出す呪いの数字と同じ年齢の人々が煙となって消えてしまうという恐ろしい現象を防ぐため、プレイヤーは「ペイントレス」討伐を目指す。
ターン制RPGにパリィなどのリアルタイムアクション、フリーエイムなどを掛け合わせた「リアクティブターンベースRPG」という独自のバトルシステムを構築し、多くのユーザーを魅了した点が評価されての受賞となった。
ムーブメント賞:Pokémon Trading Card Game Pocket

「ポケモンカード」を手軽にコレクションできるスマートフォン向けアプリ。毎日2パックを無料開封できる拡張パックには、過去の懐かしいイラストから完全新規のカードも登場し、デジタルだからこそのカードの表現や演出も含め、ポケモンコレクションの楽しさがいっぱい。
集めたカードを使ったオンライン対戦に加え、オートバトルやレンタルデッキといった初心者向けの機能も充実。配信開始から一気にユーザー数が拡大し、「ポケポケ」という略称で親しまれるなど一大ムーブメントを起こした点が評価されての受賞となった。
特別賞:PlayStation Store

ゲーム業界全体のデジタルシフトが始まるかなり前の2006年にオープン。多くのタイトルの初動売上最大化とカタログのセール連動によるライフタイムバリューの最大化・⻑期収益化を実現し、インディーから大手まで、幅広いパブリッシャーとの連携による持続的販売支援を継続。
ゲームビジネスの収益構造に大きな変革をもたらし、パブリッシャーの収益安定化に貢献。コンソールゲームの価値を高める基盤として、流通、マーケティング、ユーザー体験の全てにおいて高い貢献を果たしている点が、選考委員会で評価されての受賞となった。
経済産業大臣賞:Nintendo Switch 2

2025年6月5日の発売に先駆け、4月に詳細な仕様や発売日、予約による販売方式が発表され、国内外で大きな話題に。ユーザーフレンドリーな価格設定とハードとしてのクオリティの高さが支持され、発売後4日間の世界での販売本数は任天堂のゲーム専用機として過去最高の350万台を超え、6月の累計販売台数は582万台を記録。
任天堂の専用ゲーム機として日本国内・欧米のみならず、タイやシンガポール、フィリピンといった東アジア圏でも初めて発売されるなど、日本の家庭用ゲーム産業の発展に貢献した点が評価されての受賞となった。
※「経済産業大臣賞」は、近代のゲーム産業の発展に寄与された人物、制作チームなどの団体、プロジェクトに送られる賞として、2008年に設立。 選考にあたっては日本ゲーム大賞選考委員による審査を行い、授賞作品を決定する。
ゲームデザイナーズ大賞:INDIKA

19世紀末、ロシア正教会の修道女インディカは、修道院のシスターたちから蔑まれ、手紙の使いをきっかけに旅に出ることになる。しかし内から聞こえる悪魔のささやきに苛まれて幻を見ることもあり、時には祈りを捧げて悪魔の幻惑を抑えることも。 インディカの過去は、ピクセルベースのミニゲームで展開される。

審査員長でもあり、「ゲームデザイナーズ大賞」のプレゼンターを務めた桜井氏いわく、ゲームデザイナーズ大賞はゲームシステムの斬新性が評価されることがほとんどだが、『INDIKA』はよくある三人称視点アクション。しかし、その心象風景、反体制的な宗教観、徳などをテーマにした物語や世界設定、雰囲気作りは、ほかの作品では味わえないものになっているとのこと。