コロナ禍により指紋認証の需要が高まり、新型モデルの登場が望まれてきたiPhone SE。2022年3月、ついに待望の新型モデル 「iPhone SE (第3世代)」 が発売した。
iPhone SE (第3世代) は、デザインや画面サイズなど見た目の変化はほとんどないものの、内部に搭載されたプロセッサが最新のiPhone 13シリーズとおなじ 「A15 Bionic」 になったり、新たに5G通信に対応するなど内部面のアップデートが行われている。
筆者は 「iPhone SE (第3世代)」 を発売日に入手し、さっそく各仕様をチェックしてみた。同モデルの購入を検討している人は、ぜひ当レビュー記事をチェックしていただきたい。
また、筆者は先代モデル 「iPhone SE (第2世代)」 や、iPhone 13シリーズの最小モデル 「iPhone 13 mini」 などをサブ機として使っているため、各モデルとの比較なども交えながら、どのようなユーザーに適したモデルなのかについても言及していきたいと思う。
デザイン:先代モデルから大きく変わらず
今回発売した 「iPhone SE (第3世代)」 は、2020年4月に発売した 「iPhone SE (第2世代)」 の後継モデルにあたる製品。内蔵プロセッサの変更などのマイナーアップデートにとどまっていて、デザインは大きく変わっていない。
今回筆者が購入したのはiPhone SE (第3世代) の64GBモデルで、カラーはスターライト。白系カラーではあるが、先代モデルが真っ白なホワイトだったのに比べて、スターライトは黄色がかったような色味になり、透明感は減ったものの、代わりにゴージャス感がちょっぴり増した。
本体デザインは引き続き 「iPhone 8」 がベースになっていて、4.7インチの液晶ディスプレイを搭載。ディスプレイ下部には指紋認証センサー 「Touch ID」 が内蔵されたホームボタンが搭載されている。
ちなみに、現行のiPhoneのラインナップの中でTouch IDとホームボタンが搭載されているのは、「iPhone SE (第3世代)」 が唯一。最近はベゼルレス&ホームボタンレスが主流の昨今、ホームボタンがあるスマートフォンはある意味貴重な存在となりつつあり、使い慣れている人にとってiPhone SE (第3世代) のデザインは魅力的に映るのではないだろうか。
本体サイズは高さ138.4mm × 幅67.3mm × 厚さ7.3mmで、先代モデルから1mmの変化もなし。重量は144gで4g軽くなったものの、ほんのわずかな変化でしかなく、実際に持った感じは先代モデルとほぼ同じ。
iPhone SE (第2世代) | iPhone SE (第3世代) | iPhone 13 mini | |
---|---|---|---|
高さ | 138.4mm | 138.4mm | 131.5mm |
幅 | 67.3mm | 67.3mm | 64.2mm |
厚さ | 7.3mm | 7.3mm | 7.65mm |
重量 | 148g | 144g | 140g |
ちなみに、iPhone 13 miniと比べてみると、高さと幅はiPhone 13 miniの方が小さい。厚みはほんのわずかにiPhone SE (第3世代) の方が薄いものの、見た目と持った感じの感覚はiPhone 13 miniの方がやはり小さく感じる。
画面には、先代モデルと同じく4.7インチの液晶ディスプレイが搭載されている。True Toneディスプレイや広色域(P3)にも引き続き対応していることから、どんな場所でも綺麗な映像を楽しめる。
ただし、有機ELディスプレイを搭載したiPhone 13シリーズに比べると最大輝度は625ニトと低めで、HDRに対応していない点には注意が必要だ。画面の品質にこだわるのならやはりiPhone 13シリーズをオススメしたいが、もしそこまでこだわりがないなら、iPhone SE (第3世代) の画面でも十分にゲームや動画視聴などを楽しめるはずだ。
iPhone SE (第3世代) の筐体は、航空宇宙産業で使われているものと同じグレードのアルミニウムが使用されており、ツヤツヤと美しい光沢、そして滑らかな手触りが特徴。日々触るものだからこそ、持っていて気持ち良く感じることは地味に重要なポイントだ。ステンレススチールが採用されたiPhone 13 Pro/13 Pro Maxに比べると高級感は少し控えめだが、ステンレススチールに比べて指紋やキズが付きにくいというメリットもある。
前面と背面には、iPhone 13シリーズの背面に使われているものと同じガラス素材が初めて採用されている。とても頑丈なガラスなので、万が一本体を地面に落としてしまっても破損しにくくはなっている。とはいえ、破損を確実に防げるわけではないことから、やはり長期にわたって使いたい人は保護ケース等の装着をオススメしたい。Apple純正のシリコーンケースなら耐久性が高く、色味も良いのでオススメだ。
背面左上に搭載されているメインカメラは広角レンズが1つだけのシングルレンズ仕様で、画素数は1200万画素。基本性能は先代モデルから大きく変わってはいないのだが、内蔵プロセッサが 「A15 Bionic」 にアップグレードされたことで、最終的に仕上がる写真はすこしだけ綺麗さが増している。カメラ性能については、実際に撮影した写真などを踏まえながら後ほど詳しく紹介したい。
端末左側面には、マナースイッチと音量調節ボタン。右側面にはサイドボタンとSIMカードスロットが配置されている。こちらもiPhone SE (第2世代) から変化はない。
底面には通信・充電用のLightningコネクタとスピーカーグリルが搭載されている。3.5mmヘッドホンジャックは他モデルと同じく非搭載なので、有線イヤホンを使いたい人はApple公式サイトなどで販売されている 「Lightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ (税込1,100円)」 を購入すると良いだろう。
Touch ID&ホームボタン:現行モデルの中で唯一の搭載機
iPhone SE (第3世代) の最大の特長と言えるのが、指紋認証センサー 「Touch ID」 が内蔵されたホームボタンが搭載されていること。
最新のiPhone 13シリーズは、全モデルで顔認証機能 「Face ID」 を採用している一方、iPhone SE (第3世代) はiPhone 8がベースになっていることもあり、Touch IDを引き続き搭載している。
iPhone SE (第3世代) に搭載されたTouch IDの認証速度はかなり早く、指を押し当てたとほぼ同時に認証が完了してしまう。認証時のストレスはほとんどない。
昨今の新型コロナウイルス感染拡大を受け、外出時にマスクをつけることが当たり前になってからは、指先だけで済むTouch IDの便利さにふたたび注目が集まり、この点だけでiPhone SEを選んでいた人もいたと聞く。
しかし、先日リリースされた 「iOS 15.4」 で、マスクをつけた状態でもFace ID認証ができるようになったこともあって、Face IDを再評価する声が高まり、Touch IDを求める声は以前ほど多くないように感じる。現時点において顔認証、指紋認証のどちらを選ぶかは、それぞれのメリット・デメリットよりも個人の好みに大きく左右される部分になったのではないだろうか。
ちなみに、Touch IDが内蔵されているホームボタンは、物理式ではなくソフトウェアで制御する感圧式。ユーザーがホームボタンを押し込んだことをiPhone SE (第3世代) が感知し、バイブレーションの振動によって、ユーザーにあたかもボタンを押し込んでいるかのような感覚を与えるという仕組みだ。
そのため、iPhone SE (第3世代) の電源を切るとホームボタンが押し込めなくなる。初めて触る人は故障したかもしれないとビックリするかもしれないが、正しい仕様なので安心していただきたい。
ホームボタンの振動の強弱は、設定アプリの 「一般」 > 「ホームボタン」 の項目内で3段階から選べるようになっている。1〜3の数字をポチポチとタップして切り替えながらホームボタンを押すことで好みの強さに設定可能だ。
プロセッサ:iPhone 13シリーズと同じ 「A15 Bionic」
iPhone SE (第3世代) に搭載されたSoCは 「A15 Bionic」 。先代モデルに搭載されていた 「A13 Bionic」 から2世代分新しいチップだ。
この 「A15 Bionic」 は、最新のiPhone 13シリーズに搭載されているものと同じチップ。コア構成はiPhone 13/13 miniに搭載されているものと同様、6コアCPU/4コアGPUであるため、性能はiPhone 13/13 miniとおおよそ同等ということになる。
最新の 「A15 Bionic」 は言うまでもなく高性能で、3Dゲームなどの重めのアプリも快適に動作してくれる。この性能を、iPhoneラインナップの中でもっとも安いモデルで享受できるのはかなりお得度が高いのではないだろうか。
iPhone SE (第3世代) の実力をチェックすべく、ベンチマークスコア計測アプリ 「Geekbench 5」 で実際にベンチマークスコアを計測してみた。
端末名 | iPhone SE (第2世代) | iPhone SE (第3世代) | iPhone 13 mini | iPhone 13 Pro |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2020年4月 | 2022年3月 | 2021年9月 | 2021年9月 |
搭載チップ | A13 Bionic | A15 Bionic | A15 Bionic | A15 Bionic |
シングルコアスコア | 1328 | 1734 | 1743 | 1725 |
マルチコアスコア | 3334 | 4720 | 4776 | 4720 |
METAL | 6358 | 13498 | 13511 | 14332 |
RAM容量 | 3GB | 4GB | 4GB | 6GB |
計測結果はシングルコアスコアが1734、マルチコアスコアが4720で、GPU性能を表すMETALのスコアは6358。ついでにRAM容量もチェックしたところ、先代のiPhone SE (第2世代) よりも1GB多い4GBとなっていた。
先代モデルと比較すると、シングルコアスコアが約1.3倍、マルチコアスコアが約1.4倍に高速化していることが確認できる。METALに関しては約2.1倍になっていた。
同じコア構成の 「A15 Bionic」 を搭載したiPhone 13/13 miniの結果と比べると、事前の想定どおりベンチマークスコアはほぼ同等であることが判明。また、iPhone 13 Pro/13 Pro Maxと比べると、シングルコアスコア、マルチコアスコアはほぼ同じくらいだが、METAL (GPU性能) はわずかに低め。これはiPhone 13 Pro/13 Pro Maxに搭載されている 「A15 Bionic」 のGPUコア数とRAM容量がiPhone SE (第3世代) に搭載されているものよりも多いことが理由だろうか。
実際にiPhone SE (第3世代) を使ってブラウジングやメールチェック、ゲーム、SNS、写真編集など、筆者が普段からメインのiPhoneで行っている作業を一通り試してみたところ、ほぼすべての作業を高速に完了することができた。以前のiPhone SE (第2世代) でも申し分ない性能ではあったものの、それがさらに快適になったようなイメージ。
なお、「A15 Bionic」 はパワフルな処理能力を持っているだけでなく省電力性能も向上しているとのことだが、筆者の検証ではバッテリー持続時間が長くなっていることは確認できなかった。
カメラ:広角レンズのみのシングルカメラ構成
iPhone SE (第3世代) の背面カメラは、広角レンズが1つのみのシングルレンズ構成。画素数は1200万画素で、光学式手ぶれ補正に対応するほか、シングルレンズながらポートレートモードやポートレートライティングが利用できる。ここまではiPhone SE (第2世代) と同じ仕様だ。
カメラ性能に関して、大きな変化があったのはソフトウェア面。写真撮影時に同時に複数の画像を撮影し、それらを合成することで画質を向上させる 「Deep Fusion」 が初めて利用できるようになり、逆光時や暗所での撮影など明暗が激しい場所でも綺麗に撮影できるHDRも最新の 「スマートHDR 4」 に進化している。これらが実現できたのは高性能な 「A15 Bionic」 を搭載したおかげだ。
また、地味ながら注目していただきたいのが 「フォトグラフスタイル」 に対応したこと。
同機能はiPhone 13シリーズから導入されたもので、シャドウやカラー、暖かみなどを自由に設定しておくことができる。設定したスタイルは写真撮影時に自動で適用させられるため、自分好みの写真が撮影しやすくなるはずだ。
ここで、実際に筆者がiPhone SE (第3世代) で撮影した写真を何枚か紹介しておこう。
夜景の撮影においては大きな違いはなかったものの、ノイズの発生が少し抑えられている印象を受ける。
背面カメラでのビデオ撮影においては、新たにナイトモードでのタイムラプス撮影に対応。夜景などのタイムラプスも鮮明に撮影することが可能だ。
前面カメラは700万画素のFaceTime HDカメラが搭載されている。性能に関しては大きくは変わっていないものの、背面カメラと同様に「Deep Fusion」 「スマートHDR 4」 に対応したことにより、セルフィー写真のクオリティもアップしている。これもA15 Bionicによる恩恵だ。
また、前面カメラでのビデオ撮影は、これまでは1080p HDビデオが最大30fpsだったのに対し、今回は60fpsで撮影できるようになった。セルフィー動画にこだわりたい人には嬉しいアップデートとなったのではないだろうか。
上位モデルであるiPhone 13/13 Proシリーズに比べると、広角オンリーのシングル仕様。望遠・超広角撮影は利用不可。センサーシフト式の手ぶれ補正も搭載されていない。
それでも以前に比べて写真のディティールが向上している気がするのは、やはりソフトウェアによる画像処理に変化があったからだろう。コンピュテーショナルフォトグラフィーによる変化は小さいながらも、地味に重要なアップデートポイントと言える。
とは言っても、スマートフォンで写真を撮ることが好きな人にとってiPhone SEのカメラは十分に満足できるかというと、それはすこし難しいと筆者は考える。
大事な旅行のワンシーンを切り取り保存しておくなら、やはり上位のカメラを搭載し、被写体を画として忠実に再現できるiPhone 13シリーズが最適。iPhone SE(第3世代)に搭載されているカメラは、おまけ程度とは言わないがそれでも最高品位のものではないと考えるべきだろう。
5G:5G対応で高速通信が可能に
iPhone SE (第3世代) は、新たに第5世代移動通信システム 「5G」 に対応し、従来よりも高速かつ低遅延、かつ大容量のデータ通信が利用できるようになった。
5G通信は主にミリ波とSub6の2種類の周波数帯が用いられるが、国内で販売されているiPhone SE (第3世代) はiPhone 13シリーズと同様、Sub6のみをサポートする。
Sub6 (サブ6GHz) 帯は広範囲に電波が届きやすいという特徴がある反面、周辺の電波の干渉を受けやすい。対するミリ波 (mmWave) 帯の電波は直進性が高く広範囲を網羅するにはやや不向きだが、電波干渉を受けることが少なく人口集中エリアなどでの展開に向いているとされている。
以前まで、国内では都内の中心地など限定的な場所でしか利用できなかった5Gだったが、ここ数年でエリアがどんどん拡大しており、その恩恵を受けられる機会は徐々に多くなってきている。
実際、iPhone SE (第3世代) ではどれほどの通信速度が出るのか。ドコモのネットワークを使って検証してみた。
検証結果は上記。もっとも高速で通信できた場所では、下り148MB/s、上り95.3MB/sだった。このエリアで大容量の動画ファイルをダウンロードしてみたところ、数分もしないうちにダウンロードを完了することができた。
ただ、個人的に気になったのがiPhone 13 Proシリーズに比べて通信速度がすこしだけ低く出る傾向にあるということ。これについては更なる検証が必要そうだ。
なお、5G通信は急いでダウンロードしたいファイルがあったり、動画を視聴する上では嬉しい機能だが、バッテリー消費が多くなってしまうというデメリットがある。
もし家に帰るまでバッテリーが持たなさそうなときなどは、あえて5G通信をしないように設定することでバッテリー持ちを長くすることができる。設定アプリの 「モバイル通信」 内から使用中の通信プランを選択し、「音声通信とデータ」 の項目を 「4G」 に設定すればOKだ。
ちなみに、iPhone SE (第3世代) はデュアルeSIMに対応していて、2つのモバイル通信プランをeSIMで登録できる。
Apple Pay:タッチでスムーズ決済
iPhone SE (第3世代) は先代モデルと同様にNFCやFeliCaに対応していて、Apple Payをフルサービスで使うことができる。Walletアプリに交通系ICやクレジットカードなどを登録していれば、駅の改札や店頭などでカードリーダーにタッチして支払いをすることが可能だ。
ホームボタンがなくなってしまったiPhoneでは、サイドボタンの2度押しですばやくWalletアプリを開くことができるが、iPhone SE (第3世代) ではサイドボタンではなく、ホームボタンの2度押しでWalletアプリを開くことができる。そのままホームボタンに指を置きっぱなしにすれば、Touch IDの認証も完了して即座にApple Payでの支払いが可能だ。
SuicaやPASMOなどの交通系ICは 「エクスプレスカード」 として登録しておけば、Walletアプリを開かずともiPhone SE (第3世代) の本体上部をリーダーにかざすだけで支払いができる。iPhoneを取り出すだけで良いため、改札をスムーズに通過可能だ。
ちなみに、バッテリーがなくなってしまっても最大5時間以内であれば改札を通ることができる 「予備電力機能付きエクスプレスカード」 機能はiPhone SE (第3世代) でも利用できる。もし万が一バッテリーがなくなってしまったとしても、まずは改札にタッチして反応を見てみよう。
スピーカー:端末上下のステレオ配置
iPhone SE (第3世代) は、本体上部の前面カメラの隣と本体下部のLightningコネクタの隣にスピーカーが搭載されていて、横向きにして動画などを視聴するときにはステレオサウンドを楽しむことが可能だ。
iPhoneのスピーカーがモノラルだった頃に比べれば格段に音は良くなったと言えるが、最近のiPhoneシリーズではスピーカーで空間オーディオとDolby Atmosでの再生ができるように進化していることから、音のリッチさは残念ながらiPhone 13シリーズの方が上と言えるだろう。なお、先代モデルからの比較では、さほど良くなった印象はない。
ただし、iPhoneのスピーカー性能に関しては、ゲームプレイ・映像視聴時にiPhoneから直接音を出す人のみが気にする部分で、普段からイヤホンやヘッドホンを使う人にはあまり関係がない部分とも言えるため、スピーカー性能についてはあまり気にしなくても問題なさそうだ。
ちなみに、筆者も基本はHomePodやAirPodsシリーズで音楽を聴くため、個人的にはiPhoneの内蔵スピーカーそのものにはそこまで大きな期待は持っていない。
ワイヤレス充電
iPhone SE (第3世代) はワイヤレス充電に対応していて、Qi規格に対応したワイヤレス充電器の上に置くだけでバッテリーを充電可能だ。最大出力は7.5W。
ワイヤレス充電はわざわざ充電ケーブルをiPhoneに接続する必要がないため、片手でポンっとiPhoneをワイヤレス充電器の上に置くだけで充電を始められる。
筆者が個人的にオススメなのは、スタンドタイプのワイヤレス充電器。充電しながら通知を確認でき、横置き対応タイプなら充電しながら動画も楽しめる。各メーカーから様々なワイヤレス充電器が発売しているため、ぜひお気に入りを探してみていただきたい。
ちなみに、残念ながらiPhone SE (第3世代) は、マグネット式ワイヤレス充電機構 「MagSafe」 には対応していない。MagSafe充電器やMagSafeバッテリーパックなどを背面にピタッとくっつけて充電したい人は、iPhone 13シリーズなどMagSafeに対応したモデルを購入するようにしよう。
バッテリー持ち
Apple公式サイトで公開されている技術仕様によると、iPhone SE (第3世代) のバッテリー持ちは先代モデルよりも少し伸びているという。
具体的にはビデオ再生が最大15時間、オーディオ再生が最大50時間。iPhone SE (第2世代) はビデオ再生が最大13時間、オーディオ再生が最大40時間だったことから、バッテリー持ちは約1.1〜1.2倍になったはずだ。
端末名 | iPhone SE (第2世代) | iPhone SE (第3世代) | iPhone 13 mini |
---|---|---|---|
ビデオ再生 | 最大13時間 | 最大15時間 | 最大17時間 |
ビデオ再生 (ストリーミング) |
最大8時間 | 最大10時間 | 最大13時間 |
オーディオ再生 | 最大40時間 | 最大50時間 | 最大55時間 |
では、実際にiPhone SE (第3世代) を使ったときのバッテリー持ちはどれくらいになっているのか。画面輝度50%に設定した状態で、Wi-Fi環境下でYouTube動画を視聴し続けたときのバッテリー残量の推移をチェックした。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
計測開始 | 100% |
1時間 | 89% |
2時間 | 77% |
3時間 | 66% |
4時間 | 54% |
5時間 | 41% |
6時間 | 29% |
7時間 | 18% |
8時間 | 7% |
9時間 | 0% |
検証の結果、バッテリーは1時間で約11〜13%ずつ減っていき、9時間後にゼロになった。ストリーミング環境下でのビデオ再生時間に関して、Appleは最大10時間と案内していることから、今回の環境下ではすこし短い結果となった。
以前、筆者がiPhone SE(第2世代)で同様の検証をしたときは、10時間程度持っていたことから、今回の検証においては 「バッテリー駆動時間が短くなった」 ことになる。
iPhoneのバッテリー持ちはユーザーの作業内容や通知頻度のほか、iOSのバージョンなどによって変わることもある。あくまで今回の結果は参考程度に捉えていただきたいが、iPhone SE (第3世代) を1日中使い続けてみたところ、筆者の体感的にはあまりバッテリー持ちが良くなっているとまでは感じなかった。
実際のところ、普通に持ち歩く分には半日以上は余裕で駆動できるため、あまり気にする必要はないと思うが、ヘビーに使用することを前提にするならばモバイルバッテリーを別途持ち歩くのが最も安心できるだろう。もし、デバイス単体のバッテリー持ちを重視するなら、やはりiPhone 13シリーズを購入するのがベストな選択肢なのではないだろうか。
防水性能
iPhone SE(第2世代)は、水濡れや埃に関して高い防御性能を持っている。
iPhone SE(第2世代)の防水等級はIP67。これはiPhone 8やiPhone XRと同じ防水性能で、理論上は最大1メートルの水深に最大30分間放置しても水没しないレベルとされる。
スマートフォンの故障原因の多くは水没と落下による画面割れ。このうちの水没を防げるというのはとても大きなアピールポイントになる。海やプールなど水関係のアクティビティ、キッチンや洗面所など本来であれば水没の危険がある場所でも安心して使えるだろう。実際、筆者の友人はiPhone 8をプールに落としてしまったことがあるようだが、急いで引き上げたところ無事に生還したという実績がある。
ただし、そうは言っても油断は禁物。スマートフォンメーカーが提示する防水性能はあくまで目安のひとつであり、故障しないことを保証しているわけではない。電子機器である以上、水に晒されることはご法度。あくまで水濡れに強い設計であるという認識に留めておくのがセーフティだろう。
ケース/保護フィルムの流用:第2世代対応なら可能
iPhone SE (第3世代) は、iPhone SE (第2世代) と本体のデザインと画面サイズが同じであることに加えて、カメラの位置や側面のボタンの位置などにも変更がなかったことから、基本的に第2世代モデル用に作られたケースや液晶保護フィルムを流用可能だ。
本体デザインはiPhone 8と変わらないことから、iPhone 8用のケースも流用可能だが、保護フィルムに関しては貼り付けた際に端が浮いてしまって使えない商品もあるとのこと。
これはiPhone SE (第3世代) やiPhone SE (第2世代) のフロントパネルの湾曲角度とiPhone 8のフロントパネルの湾曲角度が異なることが理由とされている。保護フィルムを購入する際には、iPhone SE (第3世代) もしくはiPhone SE (第2世代) 対応の商品を購入していただきたい。
まとめ:iPhone SE(第3世代)は買いなのか否か
iPhone SE (第3世代) は、先代モデルであるiPhone SE (第2世代) の内部をアップデートしたマイナーアップデートモデルだ。最新プロセッサを搭載したことで性能が向上しただけでなく、5Gにも対応したことで全体的なパフォーマンスは向上している。Touch IDを搭載した旧デザインを採用しているものの、業界最高レベルの性能をもった高コスパデバイスであることは疑いようがないだろう。
ただ筆者としては、「iOS 15.4」 で顔認証機能 「Face ID」 がマスク装着時にも使用できるようになったことは、iPhone SEの魅力そのものに大きく影響を与えたと思っている。これまでは、マスク装着時はFace IDを突破することはかなり難しく、それゆえにTouch IDを搭載していたiPhone SEには一定の需要があったとみられる。しかし、マスク装着時に顔認証で突破できるようになったいま、必ずしもiPhone SE (第3世代) を選ぶ必要は薄くなってきているような気もする。
iPhone SE (第3世代) だけに搭載されている機能はTouch IDとホームボタン以外にはほとんどなく、その魅力はこれらの機能と価格だけとなる。一方でホームボタン&Touch IDを搭載しているiPhoneはiPhone SE (第3世代) だけとなり、出費も抑えられる。
そういう意味では、iPhone SE (第3世代) の魅力はお求めやすい価格でiPhone 13シリーズの性能を手にできるという手軽さにあると言える。自身で持つのはもちろん、自社の従業員などに持たせるビジネス用スマートフォンにもピッタリだろう。
また、かつてのホームボタン搭載iPhoneから変えたくないという方、手のひらにスッポリと収まる小さなiPhoneが欲しい方にもピッタリ。
A15 Bionicプロセッサを搭載したことで長く使えることも安心材料。Appleはソフトウェアアップデートも長く提供する傾向にあるので、しばらくは使い続けることができるだろう。
指紋認証できる唯一のiPhone。顔すら見せずとも認証ができるiPhone SE (第3世代) は便利と感じる人もいるのではないだろうか。もし最新のiPhone 13シリーズやiPhone 12シリーズのデザインを好きになれないと感じたなら、iPhone SE (第3世代) を一度お手に取ってみてはどうだろうか。はじめてのiPhone、エントリーモデルとしてはiPhone SE (第3世代) は優秀なデバイスなはずだ。