今秋に発売予定の 「iPhone 13」 シリーズは、やはり低軌道衛星通信システムをサポートするようだ。
TF International Securitiesの著名アナリストMing-Chi Kuo氏が投資家向けレポートの中で伝えたものだが、米Bloombergの著名記者Mark Gurman氏も同様の見解を示しており、その可能性は高まっている。
ただし、Mark Gurman氏はiPhoneの同技術採用に関して、より掘り下げた情報を伝えている。同氏のよれば、iPhone 13の低軌道衛星通信システム対応は、発売当初は一部国のみがサポートされる可能性があるとのことだ。
低軌道を周回する衛星との通信システム。静止軌道衛星と違い低軌道上を周回するため多数の衛星との連携が必要になるものの、中・高軌道衛星よりも地球に近いことから衛星通信としては通信速度が速いというメリットがある。
また、多数の衛星との連携により一部を除く地球全体をカバーできることから、現在地上基地局で提供されている4G・5G通信のエリアから外れても、低軌道衛星(LEO)通信システムで通信できる可能性がある。
iPhone 13の低軌道衛星通信システムは特定の市場でのみ利用可能?
現地時間5日、Mark Gurman氏は米Bloombergのニュースレター “Power On” の中で、iPhone 13の低軌道衛星通信システムのサポートについて言及した。
iPhone 13は低軌道衛星通信システムをサポートするものの、それは “特定の市場” でのみ利用できるとのこと。具体的な国については挙げられていないが、米国など同技術の実用化で先行している国が対象になるとみられる。
また、同機能はあくまでセルラー通信の届かない場所での緊急手段として利用するものであるとのこと。つまり、普段から衛星通信を利用して通信できるわけではないようだ。
Mark Gurman氏によれば、Appleは同技術を全面サポートできない理由もあると指摘する。理由はiPhoneの販売を手がけるキャリアからの反発が予想されるからだ。
もし、低軌道衛星通信システムをメイン通信用とした場合、iPhoneでキャリア通信をしない、あるいは利用が少なくなるユーザーがいる可能性がある。対象地域を限定し、通信圏外のみの緊急利用に留める理由はここにあるのかもしれない。
とはいえ、Appleとしては低軌道衛星通信システムの対応については、今後の将来を見据え熱心に取り組んでいるとのこと。
なんと独自の衛星を展開し、地球と低軌道間のデータ送受信できるようにすることも検討しているのだとか。ただし、実現するにしても利用可能になるのは数年先であるという。
気になるのは、日本で低軌道衛星通信システムが利用できるようになるのはいつなのか、ということ。新技術の実装に関して、いつも遅れを取れがちな日本のことを考えると、今回も日本は第1次提供国から漏れる可能性はありそうだ。
なお、iPhone向けの低軌道衛星通信システムを提供する会社については、テスラCEOであるイーロン・マスク氏が率いるSpaceXの衛星ブロードバンドサービス「Starlink」が有名だが、Qualcommと提携しているGlobalstarが最も有力視されているようだ。iPhone 13にはGlobalstarのサービスが利用できるQualcommのチップが搭載されると噂されている。
(via AppleInsider)
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