iPhone 16 Pro レビュー|今年の新モデルは地味?実は嬉しいアプデ盛りだくさん。A18 Proやカメラコントロール、バッテリー持ちなど徹底検証

4.0

2024年9月、Appleはスマートフォンの限界をふたたび押し広げる、新たなフラッグシップモデル 「iPhone 16 Pro」 を発表した。

「iPhone 16 Pro」 の特徴は、グレード5チタニウムを用いた美しいデザインと、ハイエンドSoC 「A18 Pro」 による高いパフォーマンス。そして、さらに進化したカメラシステムやカメラコントロール、Apple Intelligenceといった新たな要素も導入し、次世代のスマートフォンへと昇華している。

筆者はその 「iPhone 16 Pro」 を発売日に購入し、実際に数日間使用することができた。本稿はそのレポートをレビューとしてお届けする。カメラやA18 Proの性能をじっくりと試してみたので、「iPhone 16 Pro」 の購入を検討している人の参考になれば幸いだ。

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デザイン

さっそく、「iPhone 16 Pro」 デザインをチェックしていこう。

「iPhone 16 Pro」 は、引き続きフレームにグレード5のチタニウムを採用し、マイクロブラスト加工で磨き上げた新しい仕上げにより、頑丈さと高級感を兼ね備えたデザインに仕上がっている。全体の印象としては、昨年発売した 「iPhone 15 Pro」 から大きくは変わっていないものの、後述する 「カメラコントロール」 など一部変化の分かりやすい部分も存在する。

左:iPhone 16 Pro/右:iPhone 15 Pro

本体サイズは高さ149.6 × 幅71.5 × 厚さ8.25mm、重量は199g。数値上では 「iPhone 15 Pro」 よりもわずかに大きく&重くはなっているものの、ほぼ誤差の範囲なので手に持ってみたときの印象はほとんど変わらなかった。もちろん、片手での操作にも支障なし。

カラーラインアップは計4色で、今回筆者は 「ブラックチタニウム」 をチョイス。iPhoneで黒系のカラーを選ぶのは久々なのだが、昨年のブラックチタニウムに比べるとわずかに青みがかった色合いになっていて、他の黒系のスマートフォンと比べてより高級感も感じられる。

少しわかりづらいかもだがiPhone 16 Pro (左) はベゼル幅がより狭くなっている

画面サイズは6.3インチに大型化。本体サイズはほぼ変わらずにベゼルが狭くなったことで、6.1インチから0.2インチ分、画面が大きくなっている。ちなみに、このベゼル幅はこれまでのApple製品のなかで最も薄いものになっているとのことだ。

画面上部には、引き続き 「Dynamic Island」 が搭載。インカメラや顔認証用のセンサーなどが搭載されている部分だが、電話やメッセージを受信したときなどにインタラクティブに反応し、大きくなったり表示が増えたりする。

ディスプレイをカバーする前面ガラスには、コーニング社の 「Ceramic Shield (セラミックシールド)」 を採用。仕様としては 「最新世代のCeramic Shield」 と記載があるが、具体的には先代よりも50%強度が増しているとされている。ただ、そうは言ってもガラス割れを完全に防ぐことは難しいと思うので、個人的にはガラス保護フィルムの使用がオススメ。

画面のエッジ部は若干ラウンドしていて、ガラスフィルムは端まで貼りづらい。ただし、ガラスフィルムを販売する各社に聞いてみたところ、エッジ部分がラウンドしていてもしっかりと張り付く特殊な糊を使ったり、画面よりもわずかにガラスフィルムのサイズを小さくすることによって、外側が浮いてしまわないように対策しているとのことだったので、ガラスフィルム併用派の人も以前より安心して使いやすくなったのではないだろうか。

背面には、指紋などがつきにくいテクスチャードマットガラス (すりガラス) が使用されている。サラサラと高級感のある手触りはやはり気持ち良い。

リアカメラは、超広角/広角/望遠のトリプルレンズ構成。カメラの傍には、LiDARスキャナとLEDフラッシュも搭載している。

側面はチタニウムのフレームのおかげでステンレスチールを採用していた頃よりも指紋が目立ちにくく、お手入れラクラク。非光沢なので背面のデザインとの統一感もある。

側面左側には 「アクションボタン」 と音量ボタン、右側には 「サイドボタン」 に加えて、新たに 「カメラコントロール」 が搭載。この 「カメラコントロール」 では、ワンプッシュでカメラアプリを素早く起動できるほか、2回軽く押すとカメラ内のオプションにアクセスできる。カメラコントロールの体験については後ほどカメラの項目で詳しく紹介する。

アクションボタンで起動するアクションをカスタマイズする様子

SIMスロットは、日本モデルについては引き続き搭載。eSIMも便利だが、海外旅行時のSIMの切り替えなど場面によっては物理SIMが便利なときもあるので、しばらくは搭載し続けてほしいと個人的には思っている。ちなみに、「iPhone 16」 シリーズはeSIM+eSIMによるデュアルSIMにも対応している。

底面にはUSB-Cコネクタが搭載。先代モデルからiPhoneシリーズはUSB-Cを搭載するようになったことで、MacやiPadとケーブルを共有できてとても助かっている。Lightningを搭載していた時代に比べると、持ち歩く充電器やモバイルバッテリー、ケーブル類も格段にシンプルになった。

同梱物は、1mのUSB-Cケーブルのみで、環境負荷軽減のため充電アダプタやAppleロゴのステッカーは同梱されなくなっている。もし充電アダプタが必要ならサードパーティ製などを用意しておこう。

左:iPhone 16 Pro/右:iPhone 16 Plus

ちなみに、見た目からはあまり分からない部分ではあるが、「iPhone 16 Pro」 は再生素材・再生可能素材を使って設計されている。具体的には内部構造フレームに100%再生アルミニウムを使用しているほか、複数の部品に80%以上の再生スチールを使用している。2030年までにApple全体のカーボンフットプリントにおいてカーボンニュートラルにするという 「Apple 2023」 の達成に向け、環境に配慮した製品開発を行っているようだ。

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画面性能

有機ELディスプレイなので画面はとてもキレイ。写真は筆者撮影

「iPhone 16 Pro」 は、「Super Retina XDRディスプレイ」 と呼ばれる有機ELディスプレイを搭載している。このディスプレイは 「Pro Display XDR」 の技術を応用したもので、非常に細かい描画と正確な色味で、UIやコンテンツを美しく表示する。

画面輝度は通常時で最大1,000ニト、ピーク時で1,600ニト、屋外では2,000ニトに達する。True Toneや広色域(P3)にも対応し、HDR規格もサポート。これにより、HDR対応の映画、ドラマ・ゲームなどのコンテンツを明暗のバランスを損なうことなく表示できる。

さらに、「iPhone 16 Pro/16 Pro Max」 には最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートを持つ 「ProMotionテクノロジー」 を搭載。1秒間に最大120回画面を更新することで、通常の60Hz動作の 「iPhone 16/16 Plus」 と比べて2倍の滑らかさを実現している。

この技術は主に動画やゲームで効果を発揮するが、スクロール時の滑らかな動作により、目への負担も軽減される。

生体認証はFace IDのみ。Touch IDは利用できない。

また、ProMotionテクノロジーは非動作時にリフレッシュレートを1Hzまで下げることで、バッテリー消費を抑えつつ画面の常時点灯を実現。常時点灯をオンにすると、「iPhone 16 Pro」 がスリープ状態でも画面がうっすらと点灯し、時刻や通知を常に表示する。

朝起きたときや仕事中、料理中など、スマホを手に取らなくても時計や通知を一目で確認できるので、筆者としては重宝している。頻繁な通知チェックが不要になるため、集中力の維持や作業効率の向上にも役立つ。

ただし、常時点灯をオンにすると、完全にオフの状態よりもバッテリー消費は増える。劇的な差ではないものの、長時間充電できない場合は、意図的に常時点灯をオフにしてバッテリー持続時間を優先させるのも一案だ。

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SoC

CPU性能

(画像:Apple)

「iPhone 16 Pro」 に内蔵されるSoCは、「A18 Pro」 チップ。高性能コア×2+高効率コア×4の6コアCPUと6コアGPUを搭載。Neural Engineは16コアだ。

Appleによると、CPU性能は前世代の 「A17 Pro」 と比べて同負荷の作業を20%少ない電力で、15%高速に処理できるという。実際にどれほどの違いがあるのか、Geekbench 6とAnTuTuベンチマークを使ってベンチマークスコアを計測してみた。

Geekbench 6搭載SoCCPUコア構成シングルコアスコアマルチコアスコア
iPhone 16 ProA18 Pro高性能コアx2
高効率コアx4
33197983
iPhone 16 PlusA18高性能コアx2
高効率コアx4
32377775
iPhone 15 ProA17 Pro高性能コアx2
高効率コアx4
28266840

Geekbench 6での計測結果は、シングルコアスコアが3319、マルチコアスコアが7983。先代の 「A17 Pro」 に比べて、シングルコア/マルチコアスコアともに約17%の性能向上が確認できた。コア数が同じであるにも関わらず数値が向上しているのは、第2世代の3nmプロセスで製造されていることなどが影響していそうだ。

AnTuTu v10.0.6搭載SoCCPUコア構成総合スコアCPUスコア
iPhone 16 ProA18 Pro高性能コアx2
高効率コアx4
1773657431885
iPhone 16 PlusA18高性能コアx2
高効率コアx4
1693776430964
iPhone 15 ProA17 Pro高性能コアx2
高効率コアx4
1552231384889

AnTuTuベンチマークのスコアは、総合スコアではiPhone 16 Proが177万点台、iPhone 15 Proが155万点台で、約14%の向上が確認できた。CPUスコアはiPhone 16 Proが43万点台、iPhone 15 Proが38万点台でこちらも約12%向上している。

GPU性能

GPU性能については、Appleは前世代のモデルより最大20%高速になったとしており、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングは最大2倍高速になり、よりリアルな光源と反射を実現するという。

こちらもGeekbench 6とAnTuTuベンチマークを使ってベンチマークスコアを計測してみた。

Geekbench 6搭載SoCGPUコア構成Metalスコア
iPhone 16 ProA18 Pro6コア32955
iPhone 16 PlusA185コア28043
iPhone 15 ProA17 Pro6コア28281

Geekbench 6のMetalスコアは32955となり、先代モデルに比べて約17%の性能向上が確認できた。

AnTuTu v10.0.6搭載SoCGPUコア構成総合スコアGPUスコア
iPhone 16 ProA18 Pro6コア1773657722761
iPhone 16 PlusA185コア1693776686302
iPhone 15 ProA17 Pro6コア1552231597545

AnTuTuベンチマークのGPUスコアは、iPhone 16 Proが72万点台、iPhone 15 Proが59万点台となり、約21%の性能向上が確認できた。

Geekbench 6とAnTuTuベンチマークのスコアを見る限り、CPUとGPUのコア構成・コア数は 「A18 Pro」 も 「A17 Pro」 も変わっていないことから、アーキテクチャやプロセス技術の最適化が行われた結果、どちらも性能が向上したと言えるだろう。

NPU性能 (AI性能)

Apple Intelligenceは日本で2025年提供予定 (画像:Apple)

「iPhone 16」 シリーズはAI機能 「Apple Intelligence」 が利用できるようになる予定 (日本語環境では2025年内) で、「A18」 世代のSoCは当然ながらこの 「Apple Intelligence」 が動作するように設計されている。それでは、「A18 Pro」 のAI性能がどれくらいあるのか、数値として出すためにベンチマークアプリ 「Geekbench AI」 でスコアを計測してみた。

Geekbench AISoCコア数/TOPSCPUGPUNPU
iPhone 16 ProA18 Pro16コア/35TOPSSingle Precision Score:4478
Half Precision Score:7720
Quantized Score:6151
Single Precision Score:5775
Half Precision Score:6748
Quantized Score:6081
Single Precision Score:4593
Half Precision Score:33141
Quantized Score:45101
iPhone 16 PlusA1816コア/35TOPSSingle Precision Score:4252
Half Precision Score:7350
Quantized Score:5881
Single Precision Score:4098
Half Precision Score:4254
Quantized Score:4124
Single Precision Score:4314
Half Precision Score:32143
Quantized Score:44590
iPhone 15 ProA17 Pro16コア/35TOPSSingle Precision Score:3960
Half Precision Score:6872
Quantized Score:5627
Single Precision Score:5000
Half Precision Score:5927
Quantized Score:5253
Single Precision Score:3913
Half Precision Score:24426
Quantized Score:34086
Single Precision Score
(単精度スコア)
FP32 (32ビット浮動小数点) 演算の性能を示します。高い数値精度が求められるタスクで使用されるものです。例えば、たとえば画像処理など。
Half Precision Score
(半精度スコア)
FP16 (16ビット浮動小数点) 演算の性能を示します。単精度よりも数値精度は低いものの、計算速度が速くメモリ使用量も少ないため、音声認識や顔認識などのリアルタイムアプリケーションなどで使用されます。
Quantized Score
(量子化スコア)
INT8 (8ビット整数) 演算の性能を示します。数値精度を若干犠牲にする代わりに、計算速度と効率を大幅に向上させるため、エッジデバイスやモバイルデバイスでのAI推論に適します。

上記の結果から、A17 → A18に世代が上がったことで全体的にAI性能が向上していることが確認できる。特に注目となるのは、CPU・GPUだけでなくNPU性能も向上していること。35TOPSと最大演算回数は変わっていないにも関わらずスコアが向上しているということは、チップセットのアーキテクチャの改良などが功を奏している可能性がありそうだ。

NPU性能の半精度スコアと量子化スコアが30%以上と大幅に伸びていることから、リアルタイム処理やエッジAIのタスクにおいては、素早く反応を返してくれそうだ。

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RAM容量とゲーム性能

各スコアをチェックしたところで、筆者が最近ハマっているゲーム『ゼンレスゾーンゼロ』をプレイして動作をチェックしてみた。

最新の 「A18 Pro」 チップによって、スマホ向けゲームとしては負荷が重めの『ゼンレスゾーンゼロ』もサクサク動作していて快適だった。本作はまだスマートフォン向けに120fps動作モードがリリースされていないこともあって、より高性能なM4チップを搭載したiPad Proとの比較はできなかったが、本作を日常的にプレイするにも十分快適だったことからiPhone 16 Proのゲーム性能は十分という感じだった。

また、試しに『原神』を動作させてみたところよりヌルヌルと動作していたものの、発熱によって処理が遅くなるとカクついてしまうことも多いため、パフォーマンスを重視する場合は引き続き60fps環境でプレイするのが良いかもしれない。

なお、最新の 「iOS 18」 ではバックグラウンドの動作を最小限に抑えて、ゲームのハイフレームレートを維持する 「ゲームモード」 が登場したことで、「iPhone 16 Pro」 のパフォーマンスをゲームに集中できるようになっている。大幅に軽くなるというわけではないものの、スマホゲーマーにはありがたい機能と言えるかもしれない。

先代のiPhone 15 Proが発熱で持つのが苦痛という声が上がっていたため、iPhone 16 Proの発熱具合を計測してみたところ、ゲームプレイ時の表面温度はおよそ41〜46℃くらいになっていた。全体として発熱は抑えられている印象はあるものの、高負荷のゲームをプレイしたときにはやはり本体は熱くなりがち。試しに30℃越えの屋外環境でプレイしてみたところ、すぐにアラートが表示されたのでゲームはぜひ涼しいところでプレイしよう。

ちなみに、ベンチマークスコアの計測結果を見たところ 「A18 Pro」 に内蔵されているメモリ (RAM) の容量は8GBだった。先代モデルが8GBだったことからメモリ容量自体は変わっていないことになる。

Androidスマートフォンに比べるとやや容量が少ないと感じるかもしれないが、iPhoneのメモリ使用量はOSによって適切に管理されていることもあり、たくさんのアプリを開いていても快適に動作するため、メモリ容量についてはあまり気にする必要はないと言えるだろう。

カメラ

左:iPhone 16 Pro/右:iPhone 15 Pro

「iPhone 16 Pro」 は、広角+超広角+望遠のトリプルカメラを背面に搭載している。カメラ構成は先代モデルから変わらないものの、超広角カメラの画素数が1200万画素 → 4800万画素に向上したり、望遠カメラの光学ズームが最大2倍 → 最大5倍になるなどの変化があった。

また、「iPhone 16」 シリーズは本体側面に 「カメラコントロール」 を搭載したことで、カメラの撮影体験が変わっている。

カメラコントロール

「カメラコントロール」 は本体の右側面、サイドボタンの下に配置されている。

大きさはサイドボタンとほぼ同じくらいで、表面にはサファイアクリスタルが使われており、「iPad Air」 や 「iPad mini」 のトップボタンのようなツルツルとした感触。物理的なボタンのため、電源がオフでもカチカチと押せる仕様だ。

このカメラコントロールを押したり、スワイプすることでカメラに関する操作を指先ひとつでこなすことができる。現時点では純正のカメラアプリでのみ利用できるが、今後SnapchatやBlack Magicなどサードパーティ製アプリも徐々に対応していく予定だ。

カメラコントロールは、1回押すとカメラアプリがすばやく立ち上がってそのまま撮影を始められる。ロック画面からでもすぐにカメラを起動できるため、とっさのシャッターチャンスも見逃すことなく撮影可能だ。

カメラアプリを起動しているときは、カメラコントロールをカチッと1回押すとシャッターを切り、長押しすると動画を撮影する。カメラコントロールを押し続けている間はそのまま動画を撮影し続けるが、離した瞬間に撮影を終了してしまうので長時間の撮影には不向き。絶好の動画撮影チャンスに突然遭遇したときのショートカットキーくらいの感覚で覚えておこう。

カメラコントロールはカチッと押すだけでなく、「軽く押す」 操作をすることで、様々なカメラオプションにアクセスできる。カメラコントロールに指を乗せた状態でググッと力を入れると感圧センサーが反応し、本体の振動によってカメラコントロールを半押ししているような感覚が指先に伝わってくる。これが 「軽く押す」 の状態だ。指でボタンをタップするだけでは 「軽く押す」 操作にはならないので注意。

「軽く押す」 操作を2回繰り返すと、カメラモードの各種設定が表示される。

設定が変更できる項目は露出・被写界深度・ズーム・カメラ・スタイル・トーンの6種類。たとえばズーム倍率を変更したいと思ったら、カメラコントロールを軽く2回押して指をスライドしながら 「ズーム」 を選択し、カメラコントロールを軽く1回押す。これでズーム倍率の設定モードに入った状態だ。さらに指をスライドして希望のズーム倍率を選べば、あとは構図を決めてシャッターを切るだけで撮影できる。

スライド操作時の感度は特に問題はないように感じたが、センサーの一部分だけで操作しようとすると反応しないことがあるため、できれば端から端まで大きくゆっくりと操作するように心がけたい。

使い始めたばかりということもあり筆者の操作はまだまだぎこちないが、右手の人差し指だけで設定変更 → 撮影までできてしまうことから、慣れてくればそれなりに便利に使うことができるのかもしれない。

ただし、ひとつ課題に感じた点がある。それは、iPhoneを横向きに持ったときにカメラコントロールのボタン位置が、人差し指を目いっぱい伸ばしてようやく届くかどうかという奥まった位置に搭載されていること。筆者の手が小さすぎるだけなのかもしれないが、デジカメのような感覚でシャッターを切るのは正直難しいと感じた。せめて人差し指の第二関節をiPhoneの縁に沿って曲げたときにカメラコントロールに届く範囲であるべきだったと思う。

また、この構え方だと左手がカメラに被ってしまうことから、左右で持ち方を変えなくてはならない。なら、いっそのこと 「Nothing Phone (2a)」 のようにカメラ位置を端末中央に持ってくるというのも手かもしれない。少なくともiPhoneの “カメラ化” にはもう少し改善が必要そうだ。

カメラコントロールに関しては、軽く1回押してピントや露出を被写体に固定し、そのままカメラコントロールを押すことで撮影できる 「2段階シャッター」 が今秋に登場することも案内されているが、筆者が触った感じだと、「軽く押す」 操作からしっかりと1回押しする操作がどうしてもスムーズにできないことから、2段階シャッターの登場前までに練習しておきたいと思った。

ちなみに、「iPhone 16」 シリーズはカメラコントロールを搭載したことで、本体ケースの選び方には一層気をつける必要がある。たとえばApple純正のシリコーンケースやクリアケース、今回初めて登場したBeatsのケースは、カメラコントロール部分に導電層を重ねたサファイアクリスタルを搭載しており、ケース越しでも指の動きをカメラコントロールに伝えてくれる。

しかし、サードパーティ製ケースでサファイアクリスタルを搭載しているものは現時点で少なく、カメラコントロール部分に穴を開けて覆わないようにしているものがほとんど。この穴が小さいと操作性に支障が出る可能性もあるため、できればサードパーティ製ケースを使う場合はカメラコントロール部分に大きめに穴が空いているものを選ぶようにした方が良さそうだ。

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カメラ性能

ここからはカメラ性能について。

前述のとおり 「iPhone 16 Pro」 は広角+超広角+望遠のトリプルカメラを背面に搭載している。画素数は広角が4800万画素、超広角が4800万画素、望遠が1200万画素。すべてのカメラが第2世代のセンサーシフト光学式手ぶれ補正に対応し、ブレの少ないハッキリとした写真を撮影できる。

先代モデルからの大きな変化としては、まずは超広角カメラの画素数が1200万画素 → 4800万画素に向上したこと。画角の広いダイナミックな写真も広角カメラと変わらないくらいの画素数で撮影できるようになった。

また、オートフォーカスにも対応するため、背面の超広角カメラを使ったセルフィー写真もしっかりピントを合わせることができそうだ。グループショットも快適に撮影できるだろう。

たとえば、上記4枚の蜘蛛の写真はそれぞれ超広角/広角(x1.0)/広角(x2.0)/望遠(x5.0)で撮影した写真になる。これまでは超広角カメラで撮影した写真はどうしても広角カメラで撮影した写真に比べて解像感がイマイチだったが、同じ4800万画素になったことでクオリティ変わらずでダイナミックな構図の写真を撮影できるように。超広角を生かした撮影シチュエーションが増えそうだ。

「iPhone 16 Pro」 はズーム機能の進化にも注目だ。先代モデルでは、大型の 「iPhone 15 Pro Max」 のみに5倍光学ズームに対応する望遠カメラが搭載していたが、「iPhone 16 Pro」 「iPhone 16 Pro Max」 はどちらも5倍光学ズームに対応する望遠カメラを搭載するように。広角/望遠カメラのクロップズームそして光学ズームによって、x1.0/x1.2/x1.5/x2.0/x5.0で撮影することが可能。

上記は4枚は、超広角/広角(x1.0)/広角(x2.0)/望遠(x5.0)で撮影した写真を並べたものだが、やはり5倍でしっかりと遠くの被写体に寄れるようになったのは大きな変化だ。より広いレンジで撮影できるようになったため、推し活や旅先での写真撮影も一層捗るはず。

ポートレートモードで 「せんとくん」 を撮影

ポートレートモードでストローを撮影。ポートレートモードが初めて導入された頃に比べてだいぶキレイに撮影できるようになっていることを実感。

たまに仕事で行く機会のある東京タワーも、高い解像感で尖塔まで撮影できた。iPhone 15 Pro Maxを持っていた人はすでにこれが日常的に利用できていたことに少し悔しさも感じつつ……(笑)。

広角カメラは画素数などの仕様は大きく変わらなかったものの、「フォトグラフスタイル」 などの新しい機能が追加したことで、「Fusionカメラ」 と公式名称が変更されている。上記は、広角カメラもとい 「Fusionカメラ」 で撮影した写真の数々。

「iPhone 16 Pro」 では、最新世代のフォトグラフスタイルを利用できるようになった。そもそもフォトグラフスタイルは、コントラストや色温度をあらかじめ調整してユーザーの望む仕上がりにするというものだったが、新しくなったフォトグラフスタイルではカメラアプリでプレビューを見ながら使いたいスタイルを選択できる。

新しくなったフォトグラフスタイルには様々なスタイルが用意されているが、左側がスキントーンだけにアプローチするスタイルで、右側が写真全体に影響するスタイルだ。色々試してみて、個人的には 「ルミナス」 が綺麗でお気に入り。なお、撮影後にも写真の編集画面から別のフォトグラフスタイルをあてがうことも可能だ。

また、「iPhone 16 Pro」 はデータを2倍早く読み込めるクアッドピクセルセンサーを備えたことで、4800万画素のProRAWやHEIFの写真撮影時にゼロシャッターラグを実現した。「シャッターラグ」 とはシャッターを切ってから実際に写真が撮影されるまでのわずかな遅延のことで、「iPhone 16 Pro」 の場合はその遅延を感じることなく、シャッターを切った瞬間にリアルタイムで写真がキャプチャされる。そのため、乗り物や動物など動きのある被写体を撮影する場合にも、シャッターチャンスを逃さずベストなタイミングで撮影できる。

さらに写真撮影においては、すべてのカメラレンズに反射防止コーティングが施され、フレアやゴーストが低減。実際にフレアやゴーストが出やすい環境で写真を撮影してみたところ、完全に出ないというほどではなかったが以前よりも出にくくなった印象を受けた。ちなみに、この反射防止コーティングは 「iPhone 16 Pro/16 Pro Max」 のみ施されていて 「iPhone 16/16 Plus」 にはない。

マクロ撮影時には超広角カメラを使うため、画素数の向上でマクロ撮影のクオリティも向上した。マクロ撮影は被写体に2cmまで寄ることができる。

iPhoneのカメラは被写体に近づくと自動でマクロ撮影になる (右下にチューリップのアイコンが出ることで確認できる) 仕様で、小さなケーキなどを撮影しようとするとどうしてもマクロ撮影になってしまい、通常撮影時よりも画質が荒くなって残念な写真になることが多かったため、いつも一生懸命マクロをオフにしながら撮影してきた。今後はその必要もなさそうだ。

動画撮影においては4K/120fpsのドルビービジョンでの撮影が利用できるように。花の蜜を吸いにきた虫 (スズメガ) を撮影してみたが、やはり120fpsだと映像が滑らかで、かなりリアルな動画に仕上がったように感じる。そして、これを24fpsにフレームレートを落としたプレイバック再生を行うことも可能なので、映画風な映像を手軽に撮影できるのも 「iPhone 16 Pro」 の魅力とも言える。

なお、「iPhone 16 Pro」 は4つのスタジオ品質のマイクを搭載したことで、動画撮影時の音声がよりクリアになっている。また、風切り音を低減する機能も搭載するため風の強い日の撮影も安心だ。先日、グランドキャニオンへ取材に行った際は風が強く、ボフボフというウィンドノイズが乗ってしまっていたことから早くこの機能が欲しかったなあと感じている。

オーディオミックス

せっかく動画を撮影したのに音声がイマイチだったとき、撮影に失敗したと諦めるのはまだ早い。「iPhone 16」 シリーズでは、撮影した動画の音声を編集する画期的な新機能 「オーディオミックス」 が登場している。

オーディオミックスは、機械学習を利用して写っている人の声を周囲の音から特定して分離。フレーム外からの音や声を低減したり、映画のようにすべての声を前面トラックに配置して環境のノイズを周囲に残すなどの調整ができる機能。選択できるオプションは、フレーム内・スタジオ・シネマティックの3種類だ。

フレーム内ビデオのフレーム内に写っていない音源からのサウンドや声を低減する。
スタジオバックグラウンドサウンドと反響音を低減し、プロのスタジオで撮影したようなサウンドにする。
シネマティック映画のオーディオのように、すべての声を前面トラックに配置して、環境のノイズは周囲に残す。

これに前述の風切り音の除去を組み合わせることで、周囲が騒がしかったり、風が強い場所でも鮮明に音声を残すことができる。実際に体験してみたところ、とても良くできた機能だと思った。特にシネマティックモードと組み合わせると映画さながらの映像を撮ることができるので、ホームムービーなど作っておくと、将来見返した時に懐かしんで泣けるときが来るかもしれない。

USB-C

iPhoneシリーズは先代の 「iPhone 15」 シリーズから全モデルでUSB-Cを搭載するようになった。「iPhone 16 Pro」 も引き続きUSB-Cを採用しており、MacやiPadなどのデバイスと充電・通信ケーブルを共有できてとても助かっている。

Apple公式サイトの技術仕様を確認すると、データ通信速度は最大10Gb/sということだったので、USB 3.2 Gen 2相当ということになる。Thunderboltには対応していないためThunderboltアクセサリを使用できないのが注意点とはなるものの、写真や動画などをたくさん撮影する 「iPhone 15 Pro」 なので10Gb/sの転送速度はマスト。

昨年の 「iPhone 15 Pro」 で涙するほど嬉しかった変更点だが、今年新たに 「iPhone 16 Pro」 に乗り換えた人は同じように感涙を流すことになるかもしれない。

14.5V × 1.45A = 21W

ちなみに、充電時の入力について筆者のほうでワットチェッカーを使って調べてみた。負荷の高いアプリを起動するときなどは瞬間的に30Wを超えて充電することもあったが、その瞬間以外は20〜25Wほどの入力にとどまっていた。

神ジューデンなど高速充電をアピールポイントとして掲げるスマートフォンが出てきているなか、依然として20W前後を維持しているのは、おそらくiPhoneのバッテリー寿命を少しでも長くするためなのだろうなあと個人的には推測しているが果たしてどうだろうか。

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映像出力&iPhoneミラーリング

「iPhone 16 Pro」 のUSB-CコネクタはDisplayPortをサポートしているため、外部ディスプレイに映像を出力することが可能だ。

USB-Cポートを搭載したディスプレイにはUSB-Cケーブル1本で映像を出力できる。一方でUSB-Cポートを搭載していないディスプレイを使う場合は、USB-CをHDMIに変換するアダプターを間にかませてあげればOKだ。

日常的に使うかどうかはさておき、以前はAirPlayを利用する必要があったことを考えるとだいぶ便利になったなあと感じる。想定されるシチュエーションとしては、自宅やホテルのテレビに繋ぐことで大画面で写真や動画を見て楽しむ……などだろうか。

また、最新の 「macOS Sequoia」 では、iPhoneの映像をMacにミラーリングできる 「iPhoneミラーリング」 が利用できる。Mac側に出したiPhoneの画面はマウスでのクリック操作なども自由にできるほか、iPhone側の通知をMacで受け取ることもできる。

出張の計画を立てるときなど、iPhoneのウォレットに入った各種チケット情報・会員情報をMacで表示できたらすごく便利なのに……など、MacでiPhoneの画面を表示できればと常日頃から思っていたので、この機能については個人的にはとても助かっている。

さらに、「Apple Vision Pro」 を持っている人は、AirPlayレシーバーを使って、同じWi-Fiに接続しているiPhoneの画面を 「Apple Vision Pro」 にミラーリングできる。遅延もほとんどないので、iPhoneとBluetoothコントローラーを接続してゲームを起動すれば、Apple Vision Pro上で映像を見ながらゲームするということも可能だ。

ただし、こちらはMacの 「iPhoneミラーリング」 とは違って、Apple Vision Pro上でiPhoneの画面を操作することはできない。どうにか純正の機能だけを利用して、Apple Vision Pro上でiPhoneを操作できないものかとあれこれ試してみたところ、Macの 「iPhoneミラーリング」 でiPhoneの画面をMac側に出力し、さらにそのMacの画面をApple Vision Proにミラーリングすることで、Macを通じてiPhoneを操作することができた。

3台のデバイスを巻き込んで設定する必要はあるが、筆者のように基本的にApple Vision ProにMacを接続した状態で使う人はかなり便利になるのではないだろうか。

ちなみに、この機能はiPhone 16以前の一部デバイスでも利用することが可能。AirPlayレシーバーで一度Macと繋いでしまえば、あとはAirPlayレシーバーを立ち上げさえすれば、テザリング環境であってもすぐ接続できるので、iPhoneとMacを持っている人はぜひお試しいただきたい。

MagSafe

「iPhone 16 Pro」 は、本体背面の円形マグネットによるMagSafe充電が利用できる。MagSafe充電は磁力によってワイヤレス充電器との位置ズレを防ぐことで、最大効率でのワイヤレス充電が利用できる画期的なワイヤレス充電方法だ。

そして、今回のアップデートとして 「iPhone 16 Pro」 は30W以上のアダプタを使うことにより、最大25Wでのワイヤレス充電が利用できるようになった。

実際にはどれほどのスピードで充電できるのか。Apple純正のMagSafe充電器をAnkerのUSBマルチタップ・USB充電器に接続して検証してみた。

USBマルチタップの 「Anker Prime Charging Station (6-in-1, 140W)」 に接続してみたところ、最大22Wで充電していることを確認。さらにAnkerのUSB充電器 「Anker Prime 100W GaN Wall Charger (3 Ports)」 を使ってみたところ、最大25Wで充電できていたのが確認できた。

先代モデルは最大15Wでしか充電できなかったことを考えると、最大25Wに対応したことで、いよいよ有線充電とほぼ同じレベルの速度で充電できるようになったのは大きなメリットと言えるだろう。発熱も15Wの頃からあまり大きくは変わらないようだったので、バッテリーへの負担はさほど気にしなくても良さそうだった。

ちなみに、MagSafeの25W充電を利用するには現状 「MagSafe充電器」 が必要だ。従来のものだと25Wで充電できないので、買い換える必要がある。

15W → 25Wの性能向上は確かに魅力的だが、現状15Wでも満足していることから、手元のアクセサリを更新するかはすこし悩みどころ。充電周りは毎年1年〜2年置きに変わっている印象があることから、筆者は今秋以降のAmazonの大規模セールなど利用して、すこしお得に調達しようかなとも考えていたりする。

バッテリー駆動時間

Apple公式サイトの技術仕様によると、「iPhone 16 Pro」 のバッテリー持ちはビデオ再生で最大27時間、ストリーミングでのビデオ再生で最大22時間、オーディオ再生で最大85時間だ。

iPhone 16 ProiPhone 15 Pro
ビデオ再生最大27時間最大23時間
ビデオ再生 (ストリーミング)最大22時間最大20時間
オーディオ再生最大85時間最大75時間

先代モデルの技術仕様と比べてみると、バッテリー持ちは明らかに向上しているはず。実際のバッテリー持ちを計測してみた。検証方法は、YouTube動画を画面輝度50%の状態でずっと視聴し続けるというシンプルなもの。

結果は以下のとおり。OSの違いはあるものの、昨年の発売時に 「iPhone 15 Pro」 のバッテリー持ちを検証したデータも一緒に掲載してみた。

経過時間iPhone 16 ProiPhone 15 Pro (参考)
0時間100%100%
1時間98%98%
2時間92%91%
3時間86%85%
4時間80%78%
5時間73%69%
6時間65%60%
7時間59%53%
8時間52%46%
9時間45%37%
10時間39%30%
11時間32%23%
12時間24%15%
13時間17%8%
14時間10%0%
15時間3%
15時間半0%

検証の結果、「iPhone 16 Pro」 は15時間半駆動することができた。Appleの公称値である22時間までは届かなかったが、昨年の 「iPhone 15 Pro」 よりも1時間以上長く駆動し続けることができたことから、より安心して外出しやすくなったと言えそうだ。

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Wi-Fi 7

「iPhone 16」 シリーズは、いずれも最新のWi-Fi規格 「Wi-Fi 7」 に対応している。先代モデルは 「Wi-Fi 6E」 までの対応だったことから、Wi-Fi 7対応ルーターを自宅・職場に導入している人は、より快適なWi-Fi通信が利用できるようになるはずだ。

Wi-Fi 7は、通信速度がWi-Fi 6Eに比べて約4倍である最大40Gbpsに対応することに加えて、マルチリンクによって複数の帯域を同時に利用できるため、安定した高速通信が利用できるという利点がある。特に高解像度のビデオストリーミングやVR・ARコンテンツの体験が向上するはずだ。

ただし、現状はWi-Fi 7に対応したルーターが少なく高価であることを踏まえると、一般家庭でWi-Fi 7の恩恵を受けるのは難しいかもしれない。職場がWi-Fi 7対応ルーターを導入していたり、自宅の近くにWi-Fi 7対応ルーターを導入したネットカフェなどがあれば高速通信が利用できてラッキー、くらいに捉えておいた方が良さそう。

総評:「iPhone 16 Pro」 を手にすると生活は便利になるのか

ここまでじっくりと検証してきたが、最後に 「iPhone 16 Pro」 は購入に値する有益なデバイスなのか考えてみたい。

総合的に見ると、「iPhone 16 Pro」 は着実な進化を遂げたデバイスだったと言えるが、一方で期待通りではなかった部分もある。

まずは期待通りではなかった点。これは2点ある。カメラコントロールとApple Intelligenceだ。

Apple Intelligenceについては、単純に日本語のローンチが2025年であることから利用できないというだけなので、残念というよりも来年が楽しみという感想を持っているが、個人的にはカメラコントロールはもう少し改良が必要だと思っている。

特に搭載位置については人差し指が届く範囲であって欲しかった。また、操作性についてもやや難ありなところもあることから、画面を操作する従来の方法を置き換えるにはいまの仕様では不十分だと思えた。ただ、同機能が全く使いものならないかというとそうではないことから、来年以降の改良に期待したいところ。

個人的に良いなと思ったのは、カメラ性能とマイク性能の向上だ。

この2つは、いろんな取材を経験するなかで際限なく進化してほしいと思っている部分で、特にカメラについては光学ズームがx5に対応し、「Pro Max」 との性能差がサイズとバッテリー持ちぐらいしかなくなったことは、小型で高性能を求める筆者のライフスタイル的には嬉しいポイントだった。

4800万画素の超広角カメラや光学5倍ズームを備えた望遠カメラは、特に写真撮影を重視するユーザーにとって魅力的に感じるはず。筆者の日々の取材においても大いに役立ってくれそうだ。

動画撮影においても、新機能の 「オーディオミックス」 や風切り音を低減する機能など、周囲の環境に左右されずに良い動画を撮影しやすくなったのは個人的には嬉しかった。筆者はイベントの取材で動画を撮影することがあるが、屋外イベントで風が強かったり、周囲がザワザワしていると肝心の音声が聞こえづらいことが多々ある。純正の写真アプリで簡単に編集できれば、音声がちょっと残念な動画であっても素早く修正してSNSに投稿できるはず。

マイクについても、最近は大規模会場でのインタビュー機会も増えたこともあって、iPhoneのマイクでインタビュイーの声を拾いきるには限界も感じていた。今週は 「東京ゲームショウ2024」 でいくつかインタビューをする機会もあることから、早速役に立ってくれそう。

あとはリアルタイム翻訳と音声の書き起こし機能が揃えば、とりあえず 「iPhone 16 Pro」 だけでも十分に日々の取材をこなすことができそうだ。

最後に、多くの人が気になるであろう 「iPhone 16 Proに買い替えるべき?」 という質問について回答しておきたい。まずはカメラ性能やカメラコントロールに魅力を感じた人は買い替えをオススメしたい。特にカメラ性能は、先代モデルの 「iPhone 15 Pro」 よりも大きく向上している。ただし、SoC性能やその他については大きな変化はあまりなかったことから、必ずしも買い替えるべきとまでは言えないというのが筆者の意見だ。

ただし、「iPhone 14 Pro」 以前のデバイスを使用しているユーザーの場合、Apple Intelligenceが使えないことに加えて、SoCの性能に差がついてきたこと、充電コネクタがUSB-Cに変わっていること等を踏まえると、そろそろ最新世代への乗り換えを検討しても良い頃なのではないだろうか。

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