ハリウッド映画 「インディ・ジョーンズ」 シリーズを原作にした、Xbox Series X|S、PC向けアクションアドベンチャーゲーム『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』が、12月9日に発売する (PlayStation 5版は2025年春の発売を予定) 。
本作でプレイヤーは伝説の考古学者 「インディ・ジョーンズ」 になり、知識と機転を生かして世界中に散らばる古代の謎を解き明かし、古代の力の秘密を求める邪悪な勢力たちに挑むことになる。
発売に先立ち、パブリッシャーのベセスダ・ソフトワークスからオファーをいただき、本作のXbox Series X|S版を先行でプレイすることができたので、実際にプレイして感じたことなどをレビューとしてお届けしたい。
ちなみに、本作は映画のような重厚なストーリーが魅力の作品ということもあり、レビュー内ではストーリーにはできるだけ触れないように心がけている。ストーリーが気になる方はぜひ本作を購入して実際にプレイしてみていただきたい。
まるで映画のようなグラフィック。一人称視点で謎解きを最大限に楽しめる
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』と『最後の聖戦』の間を舞台にした作品だ。開発はMachine Games、パブリッシャーはベセスダ・ソフトワークス。
Machine Gamesによると、本作の開発にあたりルーカスフィルムとの密接な協力があったという。特に、インディ・ジョーンズを演じたハリソン・フォード氏の若い頃の姿を正確に再現するため、当時の映画の資料や古い写真、アートワークなどを徹底的に研究し、それを元に本作のインディ・ジョーンズのモデルを作成したという。
その研究のおかげもあって、本作のインディ・ジョーンズは細部に至るまで、映画さながらのクオリティーに仕上がっている。本作ではトロイ・ベイカー氏 (『The Last of Us』ジョエル役、『デス・ストランディング』ヒッグス役などで知られる) がインディの声と演技を担当しているのだが、これが若い頃のハリソン・フォード氏に本当にそっくり。小さい頃に家族とハラハラしながら観た『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のときのハリソン・フォード氏による新作映画を楽しんでいるようだった。
本作はムービーシーンなどの一部を除き、基本的には一人称視点で物語が進行するため、プレイヤーはインディ・ジョーンズになりきって冒険を楽しむことができる。
たとえば冒険の途中でたびたび遭遇する 「謎解き」 のシーンでは、一人称視点であることで仕掛けやキーアイテムにしっかりと近づいて、細かい部分まで確認しながら挑むことができる。小さく書かれた数字やマークなどの手がかりもきちんと見えるため、「よく見えないから当てずっぽうでいいや」 と運任せになることなく、最大限に謎解きを楽しめる。
一人称視点ならではのスリルも。冒険の途中、シリーズでお馴染みの 「できればリアルではあまり触りたくない動物」 がインディの体に触れるシーンがあったのだが、ムービーシーンではなく通常の一人称視点のときに突然飛び出してきたこともあり、「ひいぃ……!」 となんとも情けない声をあげてコントローラーを落としてしまった。こういった (色んな意味で) ドキドキする体験ができるのも本作の魅力と言えるだろう。
色々な場所を探索して手掛かりを見つけよう。ときには変装したり、見つからないよう慎重な動きが求められることも
本作では、世界中の様々な場所を訪れながら古代の謎を調査していくのだが、各マップにはその場所の文化に関係するものだったり、中にはストーリーを補完してくれる情報が書かれたアイテムなども多数存在する。
ストーリーには直接関係しないものも多く、全て集める必要はないのだが、集めた分だけ 「アドベンチャーポイント」 がもらえる仕組み。アドベンチャーポイントは 「冒険の書」 と呼ばれるアイテムを手に入れたあと、その冒険の書に関連したスキルを解放するために使うポイントで、スキルの解放により効率よく探索を進めることができるようになるため、しっかりと時間をかけて周囲を探索するのがオススメだ。アイテムゲット時に、そのアイテム (書類だったらその内容) についてインディが一言コメントをしてくれるのも面白いところ。
敵が徘徊する危険なエリアを探索するときには、物陰に隠れながら進むなどステルス要素が求められることもある。
手軽かつ比較的安全な方法が 「変装」 。その場所にあった服装に着替えることで、敵に警戒されることなく安全に探索ができる。ただし、「隊長」 級の敵は変装を見破ってくるため、他の兵士を訓練しているなど、少し階級が高そうな行動をしている敵にはできるだけ近づかないようにするのが鉄則だ。
序盤のバチカン市国では、神父の格好に変装して街を歩くことになる。聖職者が多い場所ということもあり、市民や兵士もインディを神父だと勘違いしているようだ。探索を楽にすることができるのはもちろんだが、いつものスタイルとはちょっと違うインディを楽しめるのも面白いポイントだと感じた。
人の出入りが制限されている場所など、変装が効かない場所では、とにかく見つからないように進むしかない。敵の巡回ルートを見極めてタイミングよく物陰に隠れながら進むのはもちろんだが、どうしても避けられない敵がいるなら、ビンなど音がするものを遠くに放り投げて敵の注意を引き、その間にダッシュで目的地に向かうのも良いだろう。
もし敵が一人しかいないなら、背後から忍び寄ってスコップなどの使い捨て武器で殴って排除するのも有効。ただしかなり派手な音が出てしまうため、周囲に別の敵がいないかを確認してから排除を。また、倒した敵を放置していると巡回してきた別の敵が発見してしまうこともあるため、倒した敵は見つけにくい場所に隠しておくようにしよう。
パリィのタイミングなどシビアな要素もあるが、そこらに落ちてる道具を “機転を効かせて” 手当たり次第ぶつける爽快アクションも魅力のひとつ
もし危険なエリアで敵に見つかってしまった場合は、もちろん戦うことになる。バトルでは 「鞭」 と 「銃」 、そして周囲に落ちているスコップやなどの使い捨て武器や己の拳を使って敵と戦う。
丸腰の敵との戦いでは、近接戦闘が基本になる。左右の拳を構えて、相手のパンチをガードしながらタイミングを見計らってこちらもパンチ。パンチは軽くボタンを押すとジャブ、長押しで強力なパワーパンチになる。パワーパンチは動作が大きく、相手からカウンターを食らってしまうこともあるため、相手が反撃できないタイミングで使うのが効果的だ。
相手のパンチはガードで防ぐことができるほか、突き飛ばすことで相手をよろけさせて攻撃を無効化したり、左右に動いたり後ろに引いたりして回避することも可能だ。あとはパリィ攻撃もあり、ガードの代わりにタイミングよくパンチを繰り出すことで、相手の攻撃を無効化して反撃するということもできる。
近接戦闘においては、パリィを活用することでスムーズに敵を排除できるが、タイミングが意外とシビアなので慣れないうちは難しいかもしれない。序盤の敵は単独で動いていることが多いので、序盤のうちに積極的に敵にパンチ対決を挑んで、パリィのタイミングを練習しておくと後々役に立つはずだ。
もし近くに使い捨て武器があるなら、パンチよりも強力な攻撃を相手に叩き込める。採掘現場でお馴染みのスコップ、鉄パイプはもちろんながら、バイオリンや松葉杖、調理用の鍋など、ありとあらゆるものが武器になる。なかなか爽快なので色々な使い捨て武器を試していただきたい。
不利な状況に陥ったときには、鞭を活用することで形勢逆転を狙える。鞭は遠距離から仕掛けを作動させたり、何かに引っ掛けてスイングして穴を飛び越えたりと探索で役に立つアイテムだが、戦闘時にも強力なお助けアイテムとして活躍してくれる。
敵が武器を持っているときには手を狙うことで武器をはたき落として丸腰にすることができるし、足元を狙って敵を転ばせたり、上半身を狙って敵を引き寄せるなど、敵が複数人いるときに1対1の状況に持ち込みやすくなる。
また、犬は鞭の音を怖がるため、襲われたときに鞭を鳴らしてやると追い払うことができる。鞭はボタン一つですぐに使うことができるため、戦闘中に何か困った状況になったらまずは鞭を使うのを心がけよう。
あとは強力な武器として銃を使うことができる。ヘッドショットはどんな攻撃よりも大きなダメージを相手に与えることができるため、最強の武器とも言えるだろう。ただしインディの持つ銃はリボルバータイプで連射はできない上に、撃った瞬間に大きな銃声が周囲に鳴り響くため、敵が警戒モードになり、大量の敵が押し寄せてくる可能性も。銃はここぞというときのみに使うようにした方が良さそうだ。
高クオリティな 「インディ・ジョーンズごっこ」 が楽しめる作品。急がずじっくりプレイするのがオススメ
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』を実際にプレイしてみて、各キャラクターの動きや表情などのグラフィックのクオリティの高さや、「これぞインディ・ジョーンズ」 と思える要素が作中にたくさん散りばめられていることから、映画 「インディ・ジョーンズ」 シリーズに続くひとつの作品として存分に楽しむことができた。
謎解きに関しても、ただ同じようなパズルを繰り返しやらされるというわけではなく、たとえばバチカン市国ではキリスト教に関連した仕掛けが用意されているなど、一つ一つの謎解きがその場所の雰囲気にあったものになっている。解き方もそれぞれ異なるため、インディと一緒に毎回新鮮な気持ちで謎解きを楽しめるはずだ。
本作をプレイする上で、各所で 「ほどよいアナログ感」 を感じる点も好印象だった。というのも、本作の時代背景は第二次世界大戦が始まる直前の1937年。スマートフォンのような便利な機器はもちろんあるわけもなく、覚えておきたいことは紙にメモしたり、調べたいことは紙の本で調べる必要がある。何もかもがアナログな時代だ。
昨今のオープンワールドゲームでは、画面端にミニマップが表示され、自分の位置や目的地などを常に表示し続けるものが多いが、本作では地図を手に持って見ているときだけマップ情報が分かる仕様で、地図をしまうともちろんマップ情報は見えなくなってしまう。ただし、この 「不便さ」 もまた時代背景とマッチして、作品の雰囲気作りに一役買っていると感じた。
ストーリーに関しては、説明が少なく端折りすぎかなと感じる部分や、登場人物が多すぎて名前と顔がなかなか一致しにくいと感じることはあったものの、手帳を見たり、関連書類を見つけることで後から情報を補完することはできる。ストーリーの続きが気になって早く先に進みたい気持ちは分かるが、得た情報をしっかりと噛み砕いて整理しながら、急がずじっくりとプレイするのが本作を最大限に楽しむコツだと感じた。
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は2024年12月8日に発売する。まずはXbox Series X|SとPCでプレイすることが可能で、2025年春にはPlayStation 5での発売も予定している。
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(画像提供:Bethesda Japan)