刀イマーシブ合同会社は2月4日、東京・お台場 「イマーシブ・フォート東京」 の第2期戦略、および今春より新たに展開する演目を報道関係者向けに発表した。
発表会では、株式会社刀の代表取締役CEOの森岡毅氏に加えて、同社シニア・クリエイティブ・ディレクターの津野庄一郎氏、クリエイティブ・プロデューサーの興山友恵氏が登壇。イマーシブ・フォート東京の刷新を図り、よりディープな体験に特化させた施設へと変貌させると発表した。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) の業績をV字回復させるなど、稀代のマーケターとして注目されている森岡毅氏が仕掛ける、イマーシブ・フォート東京の第2期がどのようなものになるか紹介したい。
イマーシブシアターを常設で複数体験できる施設は新たな試み
発表会の冒頭では、森岡毅氏がこれまでのイマーシブ・フォート東京についての振り返りを行った。
2024年3月に開業してからまもなく1年が経過するイマーシブ・フォート東京 。当初はイマーシブ・シアターというコンテンツの認知度があまり高くなかったことを踏まえて、大きく分けて 「ライトなイマーシブ体験」 と 「ディープなイマーシブ体験」 の2枠でコンテンツを提供してきた。しかし、 1年を通して見るとイマーシブ・フォート東京を訪れた人の7割が後者の 「ディープなイマーシブ体験」 を選んでいることが分かった。
特に、体験時間の長いイマーシブシアター形式の作品の人気が想定よりも高く、追加有料作品の需要がビジネスを牽引し、1作品を複数回体験するリピーターや複数作品を体験するユーザーもいるなど、想像を超える反響があったという。
開幕わずか3ヶ月で日本のイマーシブシアター最多動員を記録した 「ザ・シャーロック〜ベイカー街連続殺人事件」 はその後も動員数を伸ばし、直近では約15万人に到達。「江戸花魁奇譚」 は追加料金が最も高額ながらも完売率が97%とチケット入手困難な人気作品となった。また、登場キャラクターと謎解きをしながら脱出を目指す 「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」 は、驚異の顧客満足度99%を達成している。
このような消費者からの反応に応え、イマーシブ・フォート東京は、1周年を迎える2025年3月1日(土)から、新コンセプト 「さあ、感動の最前列へ」 のもと、極上の完全没入体験を取りそろえたライブ・エンターテイメント施設に進化していく。イマーシブシアターは単独上演が主流であり、イマーシブシアター作品に厳選し、常設で複数体験できる施設は世界でも類がなく、新しい試みになるという。
3月以降には、「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」 「江戸花魁奇譚」 「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」 「真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert’s Castle」 (2025年4月後半スタート) の4作品で新たに運営を行っていく予定だ。
なお、「イマーシブ・フォート東京」 はこれまで1dayパスに加えて追加料金でイマーシブシアター作品を選択する 「1dayパス制」 で提供されてきたが、今後はそれぞれ見たい作品を1作品から楽しめる 「個別チケット制」 に変更する。
これにより、好きな作品を映画のように選ぶように楽しめるようになるほか、平日の仕事終わりなどに 「イマーシブ・フォート東京」 に立ち寄ってイマーシブシアターを楽しむなど、それぞれのスタイルに合わせて作品を楽しめるようになる。
また、館内全体の雰囲気もレッドカーペットを敷き詰めたプレミアムな雰囲気に生まれ変わり、入り口からレッドカーペットを歩き、贅沢な雰囲気を味わいながら各作品の体験に没入できるようになる。以下、3月より順次展開するアトラクション。
ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲
日本のイマーシブシアター最多動員を更新中の 「ザ・シャーロック」 は、これまでの物語を序章とする二幕制の新作 「ザ・シャーロック〜ジェームズ・モリアーティの逆襲」 に生まれ変わる。
リアルに再現された19世紀末のロンドン、シャーロック・ホームズが住むベイカー街を舞台に繰り広げられる本作では、新キャラクターとして、シャーロック・ホームズの永遠のライバル 「ジェームズ・モリアーティ教授」 がいよいよ登場し、ゲストたちは衝撃の結末を最前線で目撃することになる。
一幕は推理編。主にベイカー街で連続殺人が起き、主人公のシャーロック・ホームズとワトソンが事件解決のため奔走する。新エリアや新たな部屋も追加し、はじめて参加する方も楽しめるように、これまでの劇を再編集するかたちだ。二幕は解決編となり、これまで明かされることがなかった連続殺人事件の裏側に隠された真実が現れてくる。
本作品は、西武園ゆうえんち 「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」 、「ウルトラマン・ザ・ライド 世紀の決闘」 などの大規模ライド・アトラクションやハウステンボス 「HAUNTED HALLOWEEN」 などを制作し、イマーシブ・フォート東京でクリエイティブの統括責任者を担う津野庄一郎氏が引き続きクリエイティブ・ディレクターを務める。
「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」 概要
登場キャラクター数 | 約40 |
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体験可能人数 | 最大180人 |
体験時間 | 120分 |
料金 | 7,800円(税込) |
クリエイティブ・ディレクター | 津野庄一郎 |
真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert’s Castle
貴族の世界の “光と影” を最前列で目撃できるイマーシブ体験。イマーシブ・フォート東京初の飲食が付いたシアターとなっており、ゲストたちは煌めくシャンデリアと燭台が照らす優雅な晩餐会で豪華なコースディナーを楽しみながら、時には出演者に話しかけられたり、個別体験があるなど、インタラクティブな体験ができる。
19世紀のヨーロッパをモチーフにした舞台は、貴族の住む贅沢な邸宅だけでなく、礼拝堂や理髪店など街の様子も再現されており、ゲストたちはその時代に生きているかのような感覚で、貴族の優雅な生活と、その裏に隠された誰も知らない秘密を目撃することになる。
本作品は、過去にユニバーサル・スタジオ・ジャパン 「ホテル・アルバートⅡ」 (2019年) や西武園ゆうえんち 「没入型ドラマティック・レストラン 豪華列車はミステリーを乗せて」 (2023年~開催中)、イマーシブ・フォート東京 「江戸花魁奇譚」 などの、日本を代表するイマーシブシアターの制作総指揮を担当した、株式会社刀の興山友恵氏がクリエイティブ・ディレクターを務める。
「真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert’s Castle」 概要
登場キャラクター数 | 25 |
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体験可能人数 | 50人 |
体験時間 | 120分 |
料金 | 未定 (2万円台になる予定) |
クリエイティブ・ディレクター | 興山友恵 |
江戸花魁奇譚
江戸遊郭の独特な世界観に没入し、そこに息づく住人や怪しげな雰囲気、巻き起こる衝撃的な瞬間を最大30人の少人数制で体験する 「江戸花魁奇譚」 がアップグレード。
これまでの濃密で官能的な体験をそのままに、マルチエンディングでさらに美しく、切ない結末を体験できる。これまでもマルチエンディングで提供していたが、より深みを増した ”もう1つの結末” が新たに加わる。
「江戸花魁奇譚」 概要
体験時間 | 70分 |
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料金 | 14,800円(税込) |
クリエイティブ・ディレクター | 興山友恵 |
東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ
脱出型イマーシブシアターで、顧客満足度99%という驚異的な数字を叩き出している 「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」 もアップグレード。
アップグレードによって、キャラクターと間近で接する体験が従来の3倍に増え、武道、ドラケン、場地、千冬など東卍メンバーとの関係性がさらに親密になれるため、より深く世界に没入できるようになる。
東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ
体験時間 | 105分 |
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料金 | 7,800円(税込) |
クリエイティブ・ディレクター | 津野庄一郎 |
イマーシブ・フォート東京は、これまでにない完全没入型のライブ・エンターテイメント施設として、新たなステージへと進化を遂げようとしている。イマーシブシアターの魅力を最大限に引き出し、より深く、より感動的な体験を提供するための戦略が本格始動する。3月からの新演目や個別チケット制の導入により、訪れる人々はこれまで以上に自由なスタイルでイマーシブ体験を楽しめるようになるだろう。
一方で、『今際の国のアリス』を含む既存コンテンツの多くは終了を迎える。『今際の国のアリス』については今後続編などの新たな展開も検討されているようだが、果たして新たな局面を迎えるイマーシブ・フォート東京がどれほど来場者を惹きつけるか、今後の展開に注目だ。